表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

本当の気持ち

「あちゃー、これはひどいね。」


私たちは今、となりのクラスに来ている。人は倒れ、机や椅子も散乱し…なんか…こう…。

一言で言えば、ぐちゃぐちゃ。


「とりあえず、起こしてみるか。」



10分後…


「…起きない。」

「起きないね。」

「なんでだろうね。」


全然起きないのが、不思議で、可愛い言葉遣いになってしまった。危機感ゼロ。


「なんでこんなに起きないの?」


皆が首を傾げていたら、パーンという音が教室内に響いた。


「だめか…。」

紗矢さや!何やっているの?」


紗矢が倒れている人の頬を引っ叩いたのだ。


「いや、叩いたら起きるかなって思って…。起きなかったけど。」

「びっくりした!頭おかしくなったのかと思ったよ。」

千晴(ちはる)は私をなんだと思っているの?」


あーあ。紗矢に呆れられてしまった。


「ちょっと、他のところも見に行こう。」





「同じか…」


全てのクラスをまわったが、どのクラスも同じだった。


「なんか、気を失うっていう感じよりも、寝てるって感じがする。」

「そうだね。目立った外傷はないし。寝てるのかな?」

「なんか、可哀想。」

「えっ!何?花音(かのん)?」


声が小さくて、聞き取れなかった。


「このまま放置は可哀想。どこか一箇所に寝かせようよ。」

「えっ!全員を?」

「うん!」

「時間かかるし、面倒くせ〜。」

「いいんじゃない?」

「千晴?」

「何が起きているか、わからないから、一度に全員を確認できる方がいいと思うよ。急に皆の体調に変化が起きるかもしれないし。」

「でも、時間かかるし、そもそも、どこに集めるの?」

「体育館はどう?あまり遠くないし。広いから、うちの体育館。」

「…そうしよっか。皆、いい?」

「いいよ。」

「了解。」

「オッケー。」

「よし、じゃあ始めようか。」





1時間後…


「終わったー!」

「あんま時間かかんなかったー!」

「わー!」


歓喜の声が体育館中に響いた。

すると、花音が、


「戦時中みたい。」


と言った。その一言で歓喜の声は止んだ。


「…花音、たしかにそう見えるけど、言っちゃダメだよ。」


紗矢の言葉に頷く一同。


「?」


花音は上を見、少し考えてから


「あっ!ごめん。よくなかったね。」

「気をつけてね。」

「はーい。」





「さてと、教室に戻ってきたのはいいものの、何しようか?」

「とりあえず、家、帰る?」

「たしかに!端山(はしやま)、よく気がついたね。」


褒められた端山は満面の笑みを浮かべた。

その後、少し話し合って、明日やることを決めた。


私たちは、帰路についた。




〜千晴の家〜


「…ただいま。やっぱり、いないよね、家族。」


カチッ


「あれ?電気つかない。」


キュッ


「水も出ない。」


トン


「…スマホも使えない。電気会社も、水道会社も、壊れちゃったのか。」


何もやることのない私は、とりあえず、家の片付けを始めた。

黙々と作業していたら、頰が濡れていることに気がついた。いつから、泣いていたのだろう。なんの涙だろう。悲しい?寂しい?悔しい?分からない。

頭では、わかっていた。世界が変わってしまったこと。理解しているつもりだった。でも、私の体は正直だった。私の心の奥底にあった気持ちを分かっていた。泣けば泣くほど、その思いは強く私を支配していく。

寂しさ、悲しみ、悔しさ、不安。そう言ったものが混ざって私の涙を作っていた。初めての感情。言葉では、言い表せない。とにかく私は泣いていた。ずっとずっと、泣いていた。





朝になった。私は昨日、泣き疲れてそのまま寝てしまったらしい。


「学校、行かなきゃ。」


とにかく、誰かに会いたかった。一人でいたくなかった。

私は、身だしなみを整えるため、洗面所に向かう。


「…ヤバ。」


鏡に映った自分は目こそ腫れていないものの、涙の跡が残っていた。


「水…使えない。どうしよう。」


迷路に迷い込んだような気分になった。






「よし、行く準備万端!行こう!」


私は家を出て、学校へと向かう。

顔は、ウエットティッシュで拭いた。朝ごはんは、パンを食べた。

まあ…いつもと比べると良くないけど…いいでしょう。

こうして私の1日は始まった。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

よければ、感想や評価お願いします。


不定期になるかもしれませんが、投稿はしますので、どうか、見守っていてください。


皆様と過ごせる日々に感謝を込めて……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] やっと千晴ちゃんが、人間らしくなった。 [気になる点] かわいそうは、可愛そうじゃなくて、 可哀想がいい。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ