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番外編4 大学で 8

 僕たちは、駅まで歩いて向かっていった。駅からしふぉんの家までは乗り換えを挟むが改札は出ないらしい。残念ながら、宮田の家ともしふぉんの家とも反対側だ。僕は、じゃあね、といって駅で去っていった。


 電車はそこまで混んでおらず座ることができた。僕は、しふぉんにDiscordのDMで、ヘリアンサスの希望のpdf送ってほしい、と頼んでみた。しふぉんは、容量大きいからGoogle Driveで送るね、といってデータを送ってくれた。


 送られてきたリンクを読んでみたが、ページ数がかなり多い。988ページのpdfというのもなかなかないだろう。最初の方は物販で売られていたものと同じようだった。今読んでも結局間違いなく読み切れないので、僕は家に帰ってから読むことに決めた。


 僕は、終点の駅で市営地下鉄に乗り換えて家まで帰っていった。親はまだ帰っていないようだ。


 なっきぃと別れてから1ヶ月が経とうとしている。活動のためには仕方ないとわかっていたことだが、たまに過去を思い出して懐かしむことがある。そんなときに、僕がいつも思い出す言葉がある。なっきぃがいつも言っていたことだ。


「花は永遠ではないが、だからこそ美しい」


 ここでは、「花」は高校時代のことを指す。「永遠などない」というのがなっきぃの座右の銘らしい。いつか終わるということは分かっていたし覚悟もしていた。仕方ないというか必然だったのかもしれない。


 正直、しふぉんと付き合いたいという感情はあまりない。恋愛感情自体が薄くなってしまったのかもしれない。いずれにせよ、今のところ自分に「好きな人」はいない。


 僕は、シャワーを浴びてから自分の部屋へと戻っていった。そして、PCを立ち上げて、ヘリアンサスガールズのYouTubeのライブを開いた。しふぉんの引退ライブの動画だ。



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 みなさん、今までありがとうございました。私は大学受験に向け、少しばかりヘリアンサスガールズの活動を休止することになりました。もう戻れないかもしれませんが、決して卒業のつもりではありません。いつになるかはわかりませんが、またここで皆さんと会える日が来ることを、楽しみにしています。



 順調に進んだとしても、大学院を卒業するまで、7年間はこの舞台に戻れないことになりますが、きっといつかは戻ってきたいです。もし仮にメンバーが一新してしまったとしても。もうく去ってしまったあのメンバーたちのためにも、今同じ時間を共有して頑張ってくれている1期生から4期生のメンバーたちのためにも、今まで応援してくださった、そしてこれからも応援してくださるファンの方々のためにも。



 そろそろ加入する新メンバーたちへ。私の思いを引き継いでくれると嬉しいです。いつになるかはわかりませんが、きっと戻ってきます、戻ってきたいです。私の、今まで青春を過ごしてくださった19人のメンバーと、ファンのみんなと、5期生の人たちとの思い出は、私の一生忘れることのできない宝物です。本当に今までありがとうございました。

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 しふぉんは、アイドル活動には戻って来れない可能性が高いと覚悟を決めているようだった。実際どうなるかは不明だし、もしかしたら活動を再開できている未来もあるのかもしれない。このまま順調に進めば24歳のときに復帰できる可能性がある。それはそれで楽しみだ。


 しふぉんの話し方には、明らかに悲しんでいるのは間違いないものの、どこか未来への希望を持っているようにも感じられた。


「正直、戻りたいと思う?」


 僕はしふぉんに聞いてみた。しふぉんは、戻れるなら戻りたいけど、戻れないとしても未来には希望があふれていると思っていると返信した。僕は、なるほど、とだけ返信し、Discordを閉じてスマートフォンを充電器に差し込んだ。


 未来が明るくなることを、僕は頭の中で願った。

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