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番外編4 大学で 5

 バイト先のことは特に問題なかったといっていた。3限は14時20分から始まる。僕たちは、それまでに昼ご飯を食べなきゃ、という話をした。僕たちは、生協食堂まで向かっていった。


「しふぉんが理系をめざしたきっかけって何?」


 宮田はしふぉんに聞いていた。彼女は、私が文系に行っていたことはまずないと思うみたいな返事をした。小学生のころから理系に行くとわかっていたらしい。


「なるほどね」


 宮田は相槌を打った。僕たちは、食堂の中に入っていった。僕は醤油ラーメンを、宮田はカレーを、しふぉんはうどんを頼んでいた。僕たちは、窓際の席に座った。


「いただきます」


 そういって僕たちは食べ始めた。


 食事中の雑談で聞いたことだが、しふぉんは数学系の道に進むことを考えているらしい。割とイメージ通りだという印象だ。宮田は入試で失敗したらしく、学部を替えることを考えているようだ(詳しくないが、少し頑張らなければならないらしいと聞いている)。僕はそのまま情報系の学科に進もうと考えている。


「でさ、私ほぼ毎日数学のことについて考える時間をとるようにしてるんだけどね。こないだ寝てるとき、円周率が3.05より大きいことはsinx < xという関係式にx=π/12を代入して整理した3(√6-√2)<πから簡単にわかるんじゃないかなと思ったんだけど、どう?」


 しふぉんは唐突に数学の問題の解法を言ってきた。間違いなく寝てるときに思い付くことではないだろう。宮田も、ラマヌジャンみたいに夢の中でナマギーリ女神が教えてくれたのか?と笑って茶化していた。


「いや、寝てるときって、眠ってるわけじゃなくて、眠ろうとベッドで横になってるときのことなんだけどね」


 僕は、なるほど、とうなずいた。宮田は、なるほどじゃないよ、と突っ込みを入れる。僕は思わず笑ってしまった。しふぉんも笑っているようだった。


 確かに、√6>2.44と√2<1.42を用いれば3(√6-√2)>3.06を導くことができそうだ。僕は、確かにそうなるって実感できた。


 たわいもない話をしていると全員が食べ終わった。僕たちは食器を返却口に置いて食堂の外に出た。


「いま13時か、あと1時間どうしよう」


 次の力学基礎の授業が始まるまであと1時間残っている。僕たちは、屋内のベンチに腰掛けた。



「私、昔から変な夢ばっかり見てるんだけどね、なんでか知らないけど、長谷川くんの存在を知る前に長谷川くんが出てくる夢を見たことがあってね」


 しふぉんは話す。僕としふぉんは高1の冬のライブで会ったのが初めてであり、それ以前に見かけたことはなかった。しふぉんは中1のころからその夢を見てるといっていた。本当かどうかはわからない(確かめようがない)が、本人は嘘をついている様子はなさそうだ。


「最近だと、夢の中で積分してたり、場合によっては高校なのに周りに小学校の頃の人がいたりして正直よくわからない夢ばっかり見てるかな」


 宮田は不思議な話を聞く気分で聞いているようだった。僕としても不思議な感覚だ。夢というものは謎が多いと実感させられた。

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