9 会話
送ってから、数十秒で返信が帰ってきた。1つ目は、「レッスンやってた時に聞いたんだけど、アニメの影響らしい」、2つ目は「どうしても信じられないなら、四国に行く機会あればライブ行って見てみるといいけど、むしろ逆に身長低く言ってる可能性もある」とのことだった。
音楽を聴きながら彼女とラインでしゃべっていると、もう7時になっていた。彼女は元アイドルというだけあって内気な性格ではないようだが、男友達はあまり多くないようだ。彼女は話し続けた。
「もう遅いけど、実は関東に引っ越してきた時、四国でアイドルやっていたということは隠して高校生活を過ごすつもりだったんだよね」
「学校生活始まって1日目では、誰にもアイドルの事言われなかったから、良かった、知ってる人誰もいないんだねって思ったんだけど」
「偶然とはいえ、始まってから数日でバレるとは思わなかった。まだ他の人には言われてないけどね」
「本当に誰にも言わないでね、本当に他の人たちには打ち明けずにやっていくつもりだから」
僕は、わかった、と返信した。僕としても、誰にも知られていないアイドルと会話できているという優越感のようなものがあるので、人に話そうとは思わない。僕が話したところで、誰の利益にもならないだろう。ちょうど親が帰ってきたようなので、僕はラインを閉じた。
夜ご飯はカレーにするつもりらしい。僕は、ものすごく眠かったので、カレーができるまでベッドで寝ることにした。起きたら9時。僕は、お皿に米とカレーをもって、テレビのよくわからない番組を見ながら食べた。
そういえば、高校入ってからの部活を何にするか、全く考えていなかった。中学時代は、将棋部に入っていた。運動系は全く得意ではないため、運動部だけは避けておきたい。特にやりたいことがあるわけでもないので、僕はまあ帰宅部でいいかと思っていた。
ラインで聞いてみたんだが、元アイドルの女子も、部活については特に考えてはいないようだった。彼女は、中学時代は軽音部をやっていたらしい。バンド活動には少し興味はあるが、中学時代の山村の様子を見ていると、どうも大変そうだな、という印象だ。僕は、ちょっと考えてみる、とだけ言っておいた。
僕は、深く考えずに、ゲームをちょっとだけやって眠りについた。