冠模試 8
模試自体、数3や有機化学をまだ習っていない現役性に全く配慮されていない出題内容だ。正直なところ、他のライバルがここから追い上げてくる可能性もじゅうぶんある。油断は禁物だろう。
自分がどのくらいできるのかの参考にするための模試だ。そもそも志望生であっても、出題範囲が配慮されていないため受けないという人もいる。この模試はあまり他人と比較しても仕方ない。僕はそう思った。
しふぉんが僕と同じ大学を受ける可能性があるということはなっちから聞いていたためそこまで驚いたというわけではなかった。聞く話によると、夏休みの間は横浜にある実家に帰省しているらしい。具体的にどこにあるとは聞いていないが、駅と反対の方向に向かっていったことを考えると、青葉区からそこまで遠くないところにあるのだろう。
僕は、そんなことを考えながら自己採点をつづけていった。特に、解けなかった確率の問題と積分漸化式を復習していた。
とりあえず答えを合わせるだけ合わせた感じだ。僕は、加藤が言っていたオイラーの公式を使って解く方法を、手を動かして確認してみた。
「言われればなるほどって感じではあるけど、よくこんな方法思いつくな……。」
僕は素直にそう思った。オイラーの公式自体は知っているがこの問題で利用しようなど全く思わなかった。僕は、なるほど、とだけ理解しておいた。
僕は、自己採点を終わらせた。だいたい400点弱となるだろうと読んでいる。Twitterで模試の感想をアップロードした。
自己採点を終わらせた後、僕はシャワーを浴びてベッドに横になった。スマートフォンの電源を入れてYouTubeを開くと、そこにはヘリアンサスガールズ5周年記念のトーク配信が公開されていた。本当にそういえばになるが、今日はヘリアンサスガールズの結成5年目になる。僕がヘリアンサスガールズを知ったのは2022年の4月なので、もう2年半がたつことになる。
しふぉんがメンバーからいなくなった今のところは、特に誰かを推しているということはない。何となく箱推しくらいの感覚だ。実際にライブに行くこともかなわないだろうし、本当に何となく推している以上の熱はなくなってしまった。
しふぉんは生まれつきの理系だと配信で何回も言っていた。理系ということは、恐らく大学院まで行くことは間違いないだろう。メンバーに復帰できるとしてもだいぶ先(2031年あたり?)のことになってしまうだろう。ヘリアンサスガールズ10周年を超えた先のことだ。ただ、現役で合格できれば会えるかもしれないという希望があることは救いと言える。
僕は、YouTubeで公開されているお披露目会(2019/8/4)の動画を見返した。
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「私は、事前に募っていた沢山の質問から、5つ選びました。これを1つずつ全員に聞いていきたいと思います。それでは最初の質問は、『みなさんの10年後の夢は何ですか?』です。先ほどと同じ順番で並んでいるようなので、右から答えていっていただきます。まずは、なーなんさん、よろしくお願いします」
「学校の先生になって子どもたちと一緒に時間を過ごしたいです!」
「できれば地元のケーキ屋さんで働きたいです。甘いものが好きなので」
「私は親のうどん屋を継ぎたいと思っています」
「私は10年後、トロンボーン奏者として有名になりたいです」
「将来の夢はまだ決まってないですが、趣味の裁縫・料理を活かせる仕事に就きたいです」
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しふぉんの発言は4番目のトロンボーン奏者になりたいというものだ。いつだったかの配信で、彼女は早い段階で吹奏楽部をやめてしまったといっていたはずだ。そういえば、いつだったかの配信で登山部に入ろうと考えていたことも言っていたような記憶がある。
いずれにせよ、お披露目会はだいぶ前(僕がヘリアンサスガールズを知る前)だ。吹部をやめたのもそれより前のことだろう。正直あまりピンと来ていないのはあるのかもしれない。
僕は、動画を見返して過去を振り返っていた。
僕としふぉんは同い年(2006年度生まれ)なので、結成された当時の僕は中1だった。今がこうなっているなんて、当時の僕には想像さえもできなかっただろう。
2019年と2024年を振り返って比較してみると、日本は大変なことになっていたなと感じる。新型コロナウイルスの発生から4年と8か月。そんな中でもヘリアンサスガールズはまっすぐに活動を続けていたようだと感じた。
僕は、まっすぐに太陽の方を見つめる向日葵の姿にただ脱帽することしかできなかった。




