冠模試 1
ここに掲載されている問題は、冠模試としては架空のものですが、数学の問題として成立しています。先に問題を見てから、できれば解いてから見ると効果的だと思います。
https://drive.google.com/file/d/1NAxMqsMf-QMHzQlUFW7lg-Soe2xb1uen/view
2024年8月4日。僕は、今現在受験しようと考えている大学の冠模試(大学別模試)を受けるべく、家から電車で3駅(乗り換え1回)のA駅に降り立った。セミの鳴き声がうるさいが、夏を感じさせるともいえる。夏ではあるが今年は比較的冷夏なので絶望的に暑くはない。それでも、暑いという言葉はウソにならない程度の気温だ。
試験会場はA駅から歩いて数分のところにある。地下鉄の改札を左に抜け、突き当たりで右手に見えるエスカレーターから地上に出る。その後、西口(バスロータリーがある方)を右手に進み、角にあるラーメン屋を右に曲がる。高架線の下を抜け、交差点ではす向かいの先に行く。坂を下ると、先ほどとは別のラーメン屋が右手に見え、その先には交差点がある。そこを右(信号は渡らない)に進めば、2分程度で右手にあるその予備校にたどり着く。
僕は非常に汗をかきやすい体質のためもうこの段階で非常に汗をかいていたが、予備校の中は冷えていて涼しい。僕は、スタッフの指示を受けて、階段で3階へと向かっていった。
周りにはかなり人がいる。コロナウイルスのワクチンが普及して1年強で、人々も密をあまり気にしなくなった印象だ。マスクをしている人も、0ではないにせよ、夏場ではあまり(といっても、コロナ以前よりは多いが)いなくなっていた。
僕は番号が印刷された席に座った。この冠模試は年2回行われる。 いま日は第1回(夏の回)なのだが、毎回第1回模試は簡単になっているということだった。しかし、簡単になっているとはいえ、それは本試と比較しての話であり、この時期でまだ基礎が完成していない人には残酷な現実を突きつけることもあると聞いている。
僕は、カバンを机の下に置いた。机の上には、試験の受け方の注意および受験カードが置いてある。僕は本名・所属高校・生年月日・志望学部を書きこんだ。理系の大学ではあるが、7つの学部(正式名称は違うが、分かりやすく表現)に分かれている。本試では第3志望まで出すことができる。それは模試でも同様のようだった。
書き終えたあと、僕は近くにあるコンビニで昼ご飯の鮭おにぎり2つと麦茶、糖分補給用のチョコレート
模試は同じ大学を志望している友人の加藤も受験しているようだ。彼は隣の教室にいるということで、会いに行って話をした。たわいもない話をしていると、もうすぐ試験が始まる9時の15分前になりそうだ。僕は、じゃあまたあとでね、と言って試験の教室に戻っていった。
教室につくと、もう先生たちは来ていた。僕は、スマートフォンの電源を切ってカバンの中にしまった。試験監督が問題の注意を読み上げる。あと数分で模試が始まるのだ。試験監督は、最初に解答用紙を配布した。最初に行われる科目、数学の解答用紙だ。
解答用紙は左がホチキスで止められており冊子のようになっている。解答中にページが取れてしまわないようにという配慮だろう。数学の解答用紙のサイズはB4で5枚だが、実際の解答スペースはA4程度だった。上に名前を書くところがある(聞いた話、本番では書かないらしい)。
「それでは、名前、高校、受験番号を記入してください。5枚ありますので、忘れずに行うようにしてください」
僕は試験監督の指示に従いそれらを記入した。全員が終わったのを確認したあとのタイミングで問題が配布された。
「試験開始の9時まで、表紙の注意事項を読んでおいてください」
僕は、表紙を読んでいるふりをして問題を透かして読もうとした。しかし、見えたのは「試験問題は,次のページより始まります.」の1文だけだった。僕は読むのをあきらめて持ってきていた腕時計を見つめていた。
「それでは、解答を始めてください」
腕時計が8時59分52秒を指したタイミングで監督は指示する。周りからページをめくる音が響き渡る。僕も、ページをめくった。
まず最初の10分で、どんな問題が出ているかを把握するのが重要だと聞いている。僕は、ぱっと見でそれぞれの問題に目を通した。
大問1は、tan xの導関数に関する問題だ。大問2は、コインを投げたときの確率の話だった。大問3は積分漸化式の問題。大問4は空間図形の問題(積分をつかわないタイプ)であり、大問5は微分・積分の問題だった。見た感じ、やりやすそうな大問1から手を付けていった。
「nを1以上の整数とする.
(1)y=tan xのn階導関数は,あるn+1次多項式Pn(x)を用いて,d/dx tanx = Pn(tan x)と表されることを示せ.
(2)Pn(x)のx^(n+1)の係数を求めよ.
(3)nが奇数ならばPn(x)は偶関数であり,nが偶数ならばPn(x$は奇関数であることを示せ.
tanxの導関数は1/(cos^2x)と教科書には乗っているが、先生からは確か$+tan^2xと教わった記憶がある。先生曰く、「同値だということはすぐにわかるし、どっちで覚えてもいいけど、個人的には定義に従って計算したときに出てくる1+tan^2xの方が好きですね」と言っていた。置換積分したとき、記述量が減るということも述べていた記憶がある。
とにかく、(1)は帰納法を利用することができそうだった。n=1のときに成立し、n=kのときに成立すればn=k+1のときにも成立するというものだ。僕は、答案を縦に2分割し、左上から解答を記した。
だいたい左半分の上半分が埋まるか埋まらないかくらいで解答を書き終えた。次は(2)だ。最高次の係数を求める問題なのだが、実際に何項か計算して予測しないと難しそうだった。
((2)は、P_n(x)=1+x^2P'_{n-1} (x)だから、P_1(x) = 1+x^2, P_2(x) = 2x+2x^3で、P_3(x)=6x^4+……になるのかな?)
僕はn=3くらいまで計算して予想し、数学的帰納法で証明した。ここまでは難なく解くことができるといった印象だ。(3)は少し記述が難しそうではあったが、それでも決して難しくはなく、5分程度で完答できた。
ここまで25分ほど経過している。(1)が割とやりやすかったため自信につながった。僕は、ページをめくり大問2を解き始めた。




