7 好意
彼女は、返信が早いタイプの人のようだ。送ってすぐ既読がついて、「え、横浜の中古屋さんで売ってるの!?嬉しい!」とメッセージを返してくれた。そのアイドルグループのMVは、YouTubeには上がっているが、2番以降はカットされたバージョンになっている。僕はCDをPCに入れて、スマートフォンに音楽のデータを映して、イヤフォンをつけて音楽を聴いた。
どうやらインターネットの音楽販売のサイトでも売られているらしいが、僕は若干値段はかかるが、歌詞カードを手に入れる目的でCDを購入した。
音楽を聴きながら話をつづけているうちにわかったことだが、その女子は「卒業」ではなく「休業」したようだった。つまり、そのうちグループに戻って活動するらしい。彼女としても進学先は地元(四国)の大学を考えているらしく、大学生になったら1人暮らしという形で戻るつもりらしい。一瞬「薬学・医学系なのか?」と思ったが、聞いたところ「まだあまり考えてはいない」とのことだった。
アイドルグループのメンバーは、今は13人(1期生、2期生それぞれ4人+3期生5人)で活動していると聞いた。もともとは2期生も5人になるはずだったが、1人「振りが覚えられない」という理由で脱退したようだった。詳しく聞いてみると、彼女は教えてくれた。
「公式ページにも乗ってると思うけど、説明してほしいってことだから説明するね」
「まず、送っていいのかわからないけど、2期生の歌があるからGoogle Driveで送るね!このファイルは拡散はしないでね」
このメッセージの次に、「2つ目の希望.mp3」というファイルが送られてきた。彼女は続ける。
「歌詞に『風の中咲く向日葵のよう』って部分があるでしょ?もともと、風咲ちゃんって子が入る予定だったんだけど、さっき聞いてくれたように、振りが覚えられなくて脱退しちゃったのね」
僕は、そのアイドルの色々な経緯、あと彼女のことがかなり気になってしまい、その子を彼女にしたいと思うようになっていた。