62 クラス替え
高1冬のヘリアンサスガールズのライブ以降、特に”強く”印象に残ったイベントはなかった。クリスマスもどこにもいかなかったし、バレンタインデーも「チョコ作るのめんどくさいからもってきてない」と言っていた(ただ、軽音部仲間のひかりからはもらったので、ホワイトデーにそれのお返しはした)。
3月に行われたバンドとしてのライブはある程度印象に残っているが、申し訳ないがヘリアンサスガールズのライブほどではない。演奏したのは、(どれも数年前の歌だが、)国民的アイドルグループであるスモールラズベリーの「世界は回る」、合成音声の歌「マーニ」とRivageオリジナル曲「始まりの街」3曲だ。
今日は4月7日、金曜日。雨が降っているが、そこまで激しくはない。気温は程よいが、風のせいで少し肌寒いと感じる瞬間もある。僕は、傘を差しながらなっちと一緒に学校まで向かっていた。
山村は高2になるにあたり東京(渋谷)の方へと引っ越した。弟の進学先の都合で、地元からは通いにくいのが原因だ、といっている。僕の高校があるC北も、新宿駅からそこそこアクセスが良い(確か、1回の乗り換えで行ける)。
今高2には280人くらいの人がいる。理系は100人弱。多分3クラスになるだろう。単純計算だが、僕となっちが同じクラスになれる確率は3分の1だ。僕は昨日、家の近くにある神社に、同じクラスになれますようにと願っておいていた。
文系は山村(日本史)・大橋さん(世界史)・ひかり(日本史)・コウ(日本史)で、太田は理系(生物選択)だといっていた。それに対して僕もなっち・星野も物理選択。生物は15人くらいらしいと聞いているから、多分同じクラスに集まるだろう。
昨日の夜、なっちとLINEで「同じクラスになれたらいいね」みたいな話をした。生物15人が全員同じクラスに集まると仮定し一クラス33人で計算すれば、(クラス替えの確率が完全にランダムだと仮定すれば)約33.5%(2418/7225)の確率で同じクラスになれる。
神様、どうか僕たちを同じクラスにしてください。そう祈りながら、僕は校舎の中に入った。
クラス替えがかかれている紙は2階のテラス前の広場のような場所の壁に貼られている。7組になると思っていた僕は、7組の名簿のリストから見ることに決めていた。
例年、理系のクラスは後ろの方(番号が大きいほう)に割り振られる。クラス数が高1の時と同じで8クラスならば、生物は6組か8組(端になる)だろう。だから7組になる可能性が一番高いと思っている。
人が集まりすぎていて見えない。教室行って見た方が早いんじゃないか、というなっちの提案に乗り、僕は7組に向かっていった。
7組の教室にはまだだれもいない。黒板には座席表が貼られていた。
「同じになってるといいね」
なっちはそう言った。僕は教室に書かれている張り紙を読む。出席番号は真ん中よりちょっと後ろくらいだろう。そこには2人とも名前はなかった。
隣の教室が6組・8組。生物は8組だと書いてあったので、まず6組から見てみよう。片方の名前しか書いてないということがないことを僕たちは祈っていた。
どっちに行くかなっちと話した結果、じゃんけんで僕が勝てば6組、なっちが勝てば8組に入って座席表を見る、という方針に決めた。
「「最初はグー、じゃんけんぽん!」」
なっちはグー、僕はパーを出した。僕たちは2人で6組の教室へと向かっていった。
6組の張り紙。出席番号21番に、前田夏樹と名前が書かれていたが、僕の名前は見つけられなかった。
2人で8組に向かい8組の座席表を見てみると、そこには僕の名前(と太田の名前)が書かれていた。僕となっちは違うクラスになってしまった。
クラスは違ってしまったけれど、これからも多分関係は変わらないだろう。僕はそう思って高2への一歩を踏み出していった。




