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60 12月のライブ6

 時間は1人一分半。タイマーで管理されているため、引き延ばすことは何があっても認められない。


 スタッフは僕に1分半のタイマーを渡した。僕としふぉんはスタッフの付き添いのもと、撮影会の部屋へと向っていった。


 今日とる写真は2枚に絞っておく事に決めていた。僕は、スタッフにスマートフォンを渡し、しふぉんと2枚のショットをとってもらった。時間内であれば話すことは許可されている。僕は、さっきのあの不自然な反応について聞いてみた。


 「さっき、ちょっと焦ってた様子だったんですが、何かあったんですか?」


 僕は少したどたどしい感じの聞き方になってしまったが、気にしていないような表情でしふぉんは話す。


 「1分で話せるかな、まあ言えるところまでいうけど、時間足りなくなったらごめんなさい」

 「後付けで何とでもいえるから信じてもらえないのも当然かもしれませんけど、3年ぐらい前から時々なっきぃがいなくなっちゃうって夢見てたんですよね」

 「当時は単なる夢としか思っていなかったんですけど、ある日本当にいなくなっちゃうって知ってショックで」

 「その時夢の中で、なっきぃと大体一緒にいたのがあなた・長谷川さんだったというわけで」

 「見覚えがあったから、実際に目にして驚きだったんですよね。実在する人だとは思っていなかった」


 しふぉんは何とか時間に収まるような早口で話した。途中で僕を長谷川さんと呼んだが、僕は1回も名乗っていない。僕はかなり驚いたが、その瞬間にタイマーが鳴ってしまった。


 いくら驚いていようが延長など認められようはずもないので、当然だが撮影会は既定の1分半で終了となった。僕は、ありがとうございました、とだけ言って部屋を出ていった。


 僕は少しがっかりという気持ちもあったが、詳しくはあとでなっちに聞いてみればいいやくらいの気持ちでいた。僕は、なっちがしふぉんと協力して僕をびっくりさせようとしたのだろう、くらいに考えていた。


 もう必要なものは買ったし、寂しいけどもう終わりか、となった僕は、公会堂から出ていった。スマートフォンを確認すると、1個上の階のトイレ前の広場にいるから来て、という連絡がなっちから届いていた。僕は、エスカレーターで2階へと向かっていった。


 なっちは僕を認識して、こう話しかけた。


 「どうだった? 楽しかった?」


 僕は思ったことを正直に話した。


 「まあ、一言で言えばめっちゃ楽しかった!」


 僕はボキャブラリー不足を実感する。僕は続けて、しふぉんの件について聞いてみた。

 

 「しふぉんに長谷川って名前知られてたんだけど、なっちから何か話した? 結構びっくりしたんだけど」


 なっちは笑いながら話す。


 「あー、あれね、うん、裏で話したよ。紫の服着てきてって言ったじゃん? あれはしふぉんがきみを見分けられるように、という意図なのね。身長とかの外的特徴を伝えれば、どんな人なのかはわかると思ってね。びっくりさせてみようってなって、苗字だけ教えちゃった。普通の苗字だから大丈夫だろうって思ってね」


 僕は一安心した。なっちは続けて話す。


 「でもね、私もちょっとびっくりしたんだけど、しふぉんにショウの外見の特徴を伝えた時にね、3年前から夢で見ていたって言ったんだよね。予知夢なのかわからないけど、あの子結構そういうことがあるみたいでね」

 「名前はわからないって言ってたけど、きみなのか似た人なのかを夢で見たことがあるって言ってたよ。見せていいのかわからないけど、中1のころに『なっきぃが横浜に行って居なくなっちゃう夢見た』ってLINEで言ってきたことがあるんだよね。それからも回数は多くないけど言われてた気がする」

 「その時見た夢では、いつも私と一緒の知らない男子がいたって言ってた。多分それがきみだったってことなんだろうね。私もそうだったけど、きみもしふぉんも、多分みんな驚いてるんじゃないかな?」


 しふぉんはなっちと組んで、僕を驚かせるために真っ赤な嘘をついているのかと思っていたが、なっちが言っていることが本当なら、「しふぉんが話していることが全部嘘」というわけでもないようだった。なっちの嘘をつくときの特徴はわからないが、嘘を言っていそうな表情ではない。


 僕は湯呑み一杯分程度のペットボトルのお茶を飲んだ。ある程度時間がたって、外はもう暗くなっている。もう帰ろうか、といって、僕となっちは帰路についていった。


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