58 12月のライブ 4
去年の夏のライブでは、2期生で1番人気がある早川(れんれん)がMCを務めたようだが、今日のMCは2期生の山本(まりりん)だ。彼女はステージに立ってこういった。
「みなさん来てくれてありがとうございます。普段は地元の徳島で活動しているのですが、しふぉんとりりおんの実家がここ横浜にあるということで、遠征してきました。今日MCを務めさせていただくのは、2期生のまりりんです!」
「それでは早速ですが、メンバーの皆さん、どこに住んでいますか? 横浜に住んでいるという人は、手を挙げてください!」
僕は手を挙げる。周りを見てみると、8割くらいの人が手を挙げているようだった。ただ、あげていない人もそれなりにいるようだった。
徳島からきている人も結構いるのだろうか。
「じゃあ、隣の市から来ている人!」
隣の市は川崎市だ。ここから川崎市は十分近く、1回の乗り換えでここまで来ることができるし、少し体力があれば歩いていくこともできる。
周りを見渡すと、1割程度の人が手を挙げているようだった。山本は話す。
「まさかと思いますが、徳島からわざわざ来てくれたって人いますか!?」
後ろを振り返ると、手を挙げてる人が10人弱いる。根拠はないが、多分その中の一人が拓也さんなんだろう。
「一番遠くから来た、って自信ある人いますか?」
周りを見渡すが誰も手をあげない。山本は残念そうな顔をしてもう1度聞き直す。
「九州からきてくれた、って人いますか?」
この質問にも誰も手を挙げていない。多分、そんな遠くからきている人はいないようで、(僕もそうだけど)だいたいは地元の人なのだろう。北海道・中国地方についても聞いていたが全滅なようだ。
「今日初めてヘリアンサスガールズを知った人ってどのくらいいますか?」
彼女は質問する。見た感じ4分の3くらいが手を挙げている。僕は今年の4月に知ったが、なっちがいなければ多分存在に気づくことすらなかっただろう、と思いを馳せた。
「皆さん、答えてくれてありがとうございました! それでは、早速1曲目と行きたいと思います。私たちの1stシングルのタイトル曲、『希望の花言葉』です!」
山本のあいさつに合わせて音源が流れる。13人が一斉に歌い始めた。舞台の広さの関係なのかわからないが、この曲はダンスはしないようだ。
希望の花言葉は、歌自体は1stシングルの表題歌ということもあり、1期生の歌なのだが、ヘリアンサスガールズを代表するような歌なので2期生以降も歌っている。最初から13人の歌というのはそれなりに印象的だった。
「『希望の花言葉』の次は、3年前のアニメ『ラストラベンダー』のエンディングテーマ「タイムマシン」です。ラストラベンダーを知っている方、手を挙げてください!」
周りを見てみると7分の1くらいが手を挙げている。ぽつぽつと上がっているようだ。
「タイムマシンを聞いたことがある人、手を挙げてください!」
挙手率は10分の1くらい。どうやら、タイムマシンを知っている人は全員ラストラベンダーも知っているようだった。
「それでは1期生の披露となります!」
合図に合わせ、1期生の4人は、2曲目のタイムマシンを歌い始めた。
タイムマシンは、僕がヘリアンサスガールズを知るきっかけになった歌だ。アニメ「ラストラベンダー」のエンディングテーマ。もしこのアニメを見ていなかったら、僕がヘリアンサスガールズを知ることは決してなかっただろうとまで言える。
僕は1期生の4人がタイムマシンを歌っているのを聞いて、得も言われぬ感情に襲われた。なっちは舞台上にはいないが、4人でも5人でも感動することに変わりはなかった。
タイムマシンは、ヘリアンサスガールズの曲の中でも、普段からよく聞いている曲だった。隣の席の女子がそのユニットに昔は言っていたことを知ってから、とくに好きになった歌だ。
(古参ではないものの)思い入れが強すぎるだけに、4人が楽しそうに歌っている・踊っているのを見て・聞いて、僕は涙腺が崩壊しそうになっていた。




