表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/146

57 12月のライブ 3

 僕はしふぉんに挨拶し物販を買うために、彼女推しの人が並んでいる列の最後尾に入った。


 まだ撮影会はないため、列自体は早く流れていく。僕が買える番になるまで、10分もたっていなかった。しふぉんは僕の顔・姿を見た瞬間、かなり驚いていたようだった。


 「え、待って、嘘でしょ?」


 彼女は独り言のように呟くが、明らかに僕にも聞こえるような声の大きさだった。もちろん、まだ僕は何も名乗ったり言ったりはしていない。しふぉんはすぐ落ち着いた様子で、僕に向かって話しかけた。


 「ちょっと取り乱してしまってごめんなさい! ライブに来てくれてありがとうございます! 何か買っておきたいものありますか?」


 平静を保とうとしているのはわかるが、それでもかなり動揺しているようだった。どうしたんですか、と聞きたかったが、後ろにも並んでいる人がいることを考えて聞けなかった。僕は、撮影会の写真を2枚程度に済ませ、そのあと会話した時に聞いてみようと心に決めた。


  僕はしふぉんのタオル・本・サイリウム・CDを1つずつ買った。沢山買えば何かもらえるとか安くなるとかはないが、推しのグッズは1つずつはあってもいいかなとは思っていた。


 ヘリアンサスの希望は文庫本サイズだが、表紙には青空の下に咲くひまわりの写真が印刷されている。側面・表紙には「ヘリアンサスの希望」のタイトルが印字されていた。




 僕はライブステージの観客席に座った。椅子は600ほどあるが、座っている人は多くても20人だ。ただ、まだ13時20分だから、始まるまでにはあと40分ほどはある。僕は、しふぉんから買った本を読み始めた。


 (文体という意味ではなく本の材質的に)少しばかり読みにくいが、気にならない程度ではあった。14時20分から消灯されるらしいが、まだ暗くない。僕はゆっくりと読み進めていった。



 小説(実話と言った方がいいのかもしれないが、小説の体をとっている)はしふぉんが3年前の夏休みにオーディションに申し込んだところから始まる。7回目に受けたユニットがヘリアンサスガールズだった、という話だ。


 あくまで実話がもとになっているということだから、彼女の言っていた通りそこまで(エキサイティングな意味での)面白みがあるというわけではない。しかし分量がまあまあ多いので、読んでいると時間がつぶれるのは間違いないだろう。



 周りには徐々に人が来ている。席も徐々に埋まっているが、完全に埋まっているわけではない。あと200人は入れそうだ。周りを見てみたが、部活仲間・クラスメイト含め同じ学年の人はいないようだった。


 なっちが昔アイドルやっていたことはバレずに済む。僕はとりあえず一安心した。


 今日のセットリストは以下のようになっている。1年半前の夏のライブ(拓也さんがTwitterでレポートを公開していたので知った)とあまり変わらないようだ。


1.希望の花言葉

2.タイムマシン

【1期生の自己紹介】

3.タビソラ

4.続く

5.Departure

【2期生の自己紹介】

6.2つ目の希望

7.道端花

8.サヨナラの先へ

【3期生の自己紹介】

9.大冒険時代

10.???(伏せられている)

 

 全ての曲を聞いたことがあるわけではないが、しふぉん(1期生)が歌っているの(1、2、3、5、7、8、9)はちゃんと覚えていた。ただ、コールは覚えていなかったので、それは周りに合わせることになってしまいそうだ。


 僕は本を読みながら、セットリストに目を通し、???ってなんなんだろうと楽しみにしていた。


 舞台の電気が消えた。気づけば14時10分になっていた。予定通りならあと10分でメンバーの披露が始まる。僕はスマートフォンの電源を切って鞄の中にしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ