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53 帰り道 2

少し短くてすみません。明日は夜(明後日になるかもしれません)になりますが更新できそうです。

 ベンチに座ってお茶を一杯飲む。秋の訪れを感じさせる、涼しい風が僕たちの顔に当たった。なっちは話す。


 「私、実はショウみたいな頼りないけど一途な人が好きなんだよね」


 確かに僕は結構一途かもしれない。高校に入ってからなっち以外の人を好きになったことがない。ひかりとは部活仲間という関係でよく話すが、二人以外の女子と話しているところをほとんど見ていないところから、なっちは僕が一途だと思ったらしい。


「単に僕にコミュ力がないだけだよ」


 僕はあんまり女子と喋るような性格ではなかった。そのことを話すと、なっちは笑った。

 

 帰り道もいつもと道は違うが、感じ方はあまり変わらない。単になっちが正式に”彼女”となっただけで、実際今までも”彼女”のようなものだったからなのかもしれない。


 普段通らない道を通ると、意外と発見があったりする。スーパーマーケットの前を通り、昨日いった公園を通って、昨日とは違う道で家へと帰る。街灯がほとんどついていなくて夜になると真っ暗だとか、意外と畑が広がっているとか、知らないことはまだまだたくさんあるということを(いやではないけど)嫌でも実感することになった。


 なっちに告白したからと言って、特に昨日までと接し方が違うとかはなく、相変わらずたわいもない話をして家へと向かっていくだけだ。なぜか僕にとってはそれが幸せだった。

 

 夜の帰り道、曲がる角を1つ変えるだけで全く知らない道に出る。住宅街なので特に何かあるというわけではないが、新鮮な感覚だった。何分か歩いているとなっちの家に着く。僕は、じゃあね、といってなっちと別れ1人で家へと帰っていった。


 公開告白は今まで人生で経験したイベントの中で1番緊張感が半端ないものだった。高確率で成功すると自分に言い聞かせていても万が一を思うと不安で胸がドキドキしてしまう。


 結果は成功。家に帰って1人になってから、ついに思っていたことが話せた、という思いが、僕の頭の中を駆け巡っていた。




 「花は咲いて ついには枯れてしまうけど その笑顔 この坂で きっとまたいつか見る日が来る」


 ベッドに横になっていると、ふとなっちの今までの様々な姿が頭の中に印象的に浮かぶ。彼女の今までの生き様は、この歌詞にまとめられるような気がする、と客観的に見て思っていた。


 花は必ず枯れてしまう。だけど枯れた花はまた咲く。


 横浜の僕が住んでいる地域には非常に坂が多い。なっちが徳島にいた頃は割と平坦な地形だったということで、違いに驚いたと言っていた。だがすぐ慣れたようで、山が多い地形でも割と平気になったようだった。


 最寄りのH駅の付近には特に何もない。なっちの最寄駅にも特に何もなかったと言っていた気がする。なっちが横浜に引っ越すとなった時、それがどんな都会なのか楽しみだったようだ。だが実際に蓋を開けてみると、(交通の便は良いものの)まあまあ田舎ということで、若干ショックを受けたと言っていた気がする。


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