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52 告白その後 帰り道


 僕は、とりあえず告白に成功したことに安堵した。心に余裕ができたので、堀川の告白はオーディエンスとして盛り上げることができた。


 その後、先輩方の軽音部のバンドの演奏があった。最近はやったドラマの主題歌であり、「もいえる」さんが作曲している歌「運命の人」を、DEGREE CELCIUSの5人は演奏していた。


 「運命の人はどこかにいるとしても 出会えるとはかぎらないんだね」


 昔何かで、「運命の人は存在するが出会えるとは限らない」というのを読んだ覚えがある。妙に矛盾をはらんだ表現だが、僕個人的には結構好きな言葉だった。運命は個人的にはないと思っている。あったとしても、それを知る方法が存在しないのは間違いないだろう。


 先輩方はほかにも数曲演奏をした。


 時計を見るともう5時だ。片付けをしなきゃいけなかったりする都合で、後夜祭はもう終わりとなった。僕はクラスの人たちに見つからないように教室まで戻っていった。


 当然だが、教室に入れば(いや)が応でもクラスメイトの山村とか太田・大橋さんに会うことになる。彼ら彼女らには「まだ付き合っていない」と伝えていたので、これが正式な告白だと認識してくれているようだ。


 一方、あまり仲が良くない沢村や中根、他にもクラスの女子からは、(予想通り)付き合っていると思われていたらしく、他の3人の「愛を確認する公開告白」と同じようなものとみられているようだった。


 時計は17時40分を指している。周りから色々言葉が飛んでくるが、僕は、周りを振り払い、”彼女”となったなっちと一緒に帰り道についた。


 なっちが”彼女”となったからといって、そこまで2人の間で関係が大きく変わるようなことがあるわけではない。単に認識が変わっただけだった。


 「なっちさ、今日の昼にさ、後夜祭のことについて聞いてきたけどさ、察しはついてた?」


 僕は、「なっちは告白されることを理解していた」と思っていた。


 「もしかしたら告白かな?とは思ってたよ。ショウが告白するような人って言っちゃえば私しかいないでしょ?」


 案の定、自分の読みは正しかったようだった。なっちの言う通り、告白するような相手はなっちくらいしかいない。そもそも良く話す女子自体も軽音部仲間のひかり・なっちの2人くらいしかいない。ひかりとコウはもう付き合っているため、考えられるのは、なっちくらいしかいないだろう。


 なっちは元アイドルで今は休業しているが、そもそもヘリアンサスガールズに恋愛禁止ルールは存在しない。もしあったら、「未成年の主張で告白するのやめてね」となっちから言うつもりだったらしい。


 昨日なっちと帰り道に遠回りをする約束をしていたので、僕たちは普段通らない道を一緒に通って帰った。


 アイドルと付き合うことになった(前から付き合ってたようなものかもしれなかったけど)という事実があるだけで僕はうれしくて心が止まらなかった。


 昨日と同じで、途中まではK駅の辺りを道にまっすぐ沿って歩いて帰った。今日は、K駅の大きい駅舎の方の道を通った。


 K駅の大きい駅舎から出て左に曲がり階段を昇れば、全国大会で使われるようなプールにたどりつく。運動不足を実感している僕は、たまにでもいいから行ければいいな、とぼーっと考えていた。


 なっちは体を動かすのはまあまあ好きらしい。僕も別に嫌いというわけではないのだが、運動は昔からどうも苦手だった。前にも言ったが100m走は女子と比較しても遅い。


 握力も左16kg/右19kg。なっちは左22kg/右23kgと言っていた。男子の平均は40.3kg、女子の平均は26.4kgとネットには書いてある。どうやら、僕の握力も、女子と比較したとしても弱いようだ。


 僕は厳しい現実を突きつけられたように感じた。


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