48 帰り道&家
今はなっちは将来ケーキ屋さんになることを考えているようだが、実際決意ができているかというと、まだ完全にはできていないらしい。自分の想いは今後変わることもあり得る、と言っているが、とりあえず高校卒業後は徳島に戻るという考えは変わっていないようだった。
徳島に戻ってからすぐケーキ屋さんで働くというよりかは、ヘリアンサスガールズを卒業した後に働くつもりだ、となっちは言っている。活動している間に女優を目指すという方向性に変わるかもしれない、と話した。
なっちの親は、私立でも、遠い場合なら認めるかもしれないと話しているが、基本的には国公立または医学部・薬学部なら1人暮らしを無条件で認めると言っているようだ。だから、徳島の大学に進むことは彼女の頭の中ではもう決まっているようだった。
公園の時計を見てみるともう19時を回っていた。公園からなっちの家までは約10分強で、そこから僕の家までが5分程度だ。僕もなっちも、この程度なら遅くなっても何も言われない家庭なので、2人はゆっくりと家まで帰っていった。
家に入るとクーラーがきいていて涼しい。親はもう帰ってきていた。僕は水筒に残ったほんのわずかの量のお茶を飲み干して、弁当と一緒に台所に出した。僕はその後自分の部屋に戻って、ベッドの上で自分の将来について何となく考えた。
考えてみると、僕は将来何になりたいというのはなかった。エンジニア系に興味はあるのだが、具体的に考えているかと聞かれれば考えていないという答えになる。
大学も特に考えていないが、自分の中に一人暮らしするという選択はなかった。言ってしまえば、地元の(乗り換え1回程度で行ける)大学に行きたい。わざわざ一人になりたいなど考えたこともなかった。
現実逃避になるが、僕は、軽く伸びをして、12月のヘリアンサスガールズの横浜のライブを想像しながら、YouTubeに公開されている、徳島市のショッピングモールで3年前に行われた披露会の(ようなものの)ダンスの動画を見て時間をつぶした。
当時なっちは背が低かったらしい。今こそ175cm弱と平均(164cm)より1.5回りほど高いものの、当時(中1)は149cmしかなかったようだ。動画を見てみても、顔立ちこそあまり変わっていないものの、メンバーの中で身長が1番小さいのが割とはっきりわかる。
そして、当時からしふぉんは身長が高かったようだ。中1で169cm。僕の中学時代の男子でも、そんなに身長が高い人はクラスにはいなかったと思う。今は183cmとのことで、(伸び幅はなっちの方が大きいけど)僕のクラスの男子の誰よりも高い身長となっている。
本人に聞いたわけではないが、4組の福原が187cm、6組の横田が185cmらしい。彼ら以外で、しふぉんより背が高い人は(多分)いない。しかもしふぉんは女子だ。ちゃんと計算していないが、男子に換算すれば多分190cmを超えると思われる。
しふぉん自身は身長をコンプレックスには全く思っていないようだ。むしろチャームポイントとして認識しているらしい。よく「身長分けて」と言われるらしい(なっちも言っていたらしい)が、YouTubeのラジオでは彼女としてはもっと高くなりたい、と言っていた。
30分ほど動画・ラジオを見ているとちょうど夜ご飯ができたようなので、僕は食べて風呂に入った。
風呂に入りながら、僕は明日の後夜祭のことについて色々考えていた。なっちには隠しているが、明日の後夜祭の未成年の主張枠で、彼女に告白する予定だ。僕となっちは(まだ)付き合ってはいない(という認識)なのだが、周りには恋人の関係にあると思われているらしい。
なっちも、さすがにこのタイミングならOKしてくれるだろう。真偽は不明だが、祭りの状況の時は告白がOKされやすいという話を何かで読んだ覚えがある。僕は、晴れてなっちが”彼女”になることを楽しみにしていた。
僕は、のぼせないようにゆっくり風呂をあがり、パジャマに着替えた。




