38 学園祭当日 1日目 1
金曜日の準備も終え、学園祭1日目。僕はなっちと2人で学校へと向かっていた。予定通り、2人で一緒に回ることになった。シュレディンガーの猫のシフト(時間帯)も1回を除いて一緒になるように太田が仕組んだ(仕組んでくれた)ので、ほぼ完全に行動できる時間帯が一致している、という状況だ。
明日の途中1時間だけ、実行委員の仕事の関係で抜けてしまう、という話は聞いている。その時にはシフトが入っているので、一緒に行動できなくなってしまうが、それは僕は気にしていない。
なっちは嬉しそうに僕に話しかける。彼女は今日のバンドの披露を楽しみにしているようだった。
いつも通りのペースで歩いていると、7時45分に学校に着いた。太田と山村はまだ来ていないようだ。僕は、教室にあるスタッフルームのような場所に置いて、軽音部の活動が行われる音楽室へと向かっていった。
ひかりとコウはまだ来ていないようだ。僕はベースを荷物室から取り出して、チューニングを行った。
「今日、練習できると思う? ラストに1回、バンドでやってみなきゃって思ってるんだけど」
僕の質問に対して、なっちは答える。
「ひかりたちがいつ来るかによるけど、たぶんできるんじゃない? 8時半にホームルームだから、それまでに2曲練習するとしても、15分もかからないでしょ?」
噂をすると人がくるというが、なっちが言い終わった直後に2人がやってきた。7時53分。僕はもうチューニングは終わった。コウはギターのチューニングを3分弱で済ませて、早速練習の流れに入っていった。
基本的に歌うのはなっちだが、1曲目の「荒野の朝」のラスサビに、観客のみなさんも一緒にどうぞ!という部分がある。そこだけは、バンドメンバーの僕たちも歌うことになっている。
荒野の朝は複雑なベースラインがないため、演奏自体はそれなりに簡単である。リズムがずれないように注意さえすれば、そこまで練習に時間を費やすほどでもないだろう、という感じだった。
2曲目はバンドオリジナルの曲、「始まりの街」だ。なっちが作詞した曲だが、サビ前のCメロにヘリアンサスガールズの1stシングル収録歌「ナツアオソラ」のBメロのメロディが流用されている。
「作曲者的には問題はないって、歌詞を丸ごと使わなければ、メロディーは有限だから、1曲をまるまるとかじゃなかったら、ぜんぜん使っていいって言ってたよ。特に元メンバーだからってこともあるかもしれないけど、一応許可はとってるから大丈夫」
少し前に、「これ大丈夫なのか」と聞いたときは、「多分大丈夫でしょ、バレないでしょ」的なノリで言っていたが、昨日の夜聞いたとき、作曲者からも許可をもらっていることが判明した。
コウもひかりも、(思ってるけど言ってないだけかもしれないが)まだ「これヘリアンサスガールズのやつと同じじゃん」とは言ってきてない。入学から5か月以上たつが、なっちが地元でアイドルをやっていたということはいまだにバレていないようだった。
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