34 夜ご飯
ラーメン屋さんは混んでいるが、座れないほどではなかった。なっちも僕も、同じあっさりラーメンを、麺を普通の固さで頼んだ。食券を買ってから席に座って運ばれてくるまでの間、なっちが話し始めた。
「12月に行われるヘリアンサスガールズのライブのことで、少し話しておきたいことがあるんだけど」
「まさか、僕が入れなくなるとか? それともなっちのサプライズ出場がなくなるとか?」
「いや、そんなネガティブなことはないけど、ショウにお願いしておきたいことがあるの」
僕はとりあえず一安心した。なっちは続ける。
「CDに入ってる撮影券ないと、メンバーとの写真撮影ができないから、まずそれ覚えといて。CDは、いつ発売されたものでも構わないから」
僕は、今年の4月に中古でCDを買ったことを思い出す。その中には確か撮影券が入っていた。それでもいいのか、となっちに聞いてみた。
「入ってれば大丈夫。あと、その券にあるQRコードを事前に読み込んでくれれば入場がスムーズになるよ。最悪公式サイトからFC登録しといてね。無料会員でも大丈夫だから」
僕は水を飲みながら話を聞いた。言ってくれた内容を簡単にスマートフォンにメモし終えると、なっちは続けた。
「あと一応いっておくと、わかってると思うけど、握手会はないし、撮影会でもメンバーと接触するような写真はダメだよ」
それはTwitterの拓也さんが去年の8月に投稿していたライブレポートで読んだ。そのことをなっちに伝えると、なっちは少し驚いた表情でこういった。
「拓也さんって、私を推してる人だよね? よくライブに来てくれて、グッズ買ったり写真撮ったりしてくれてたから覚えてる!」
なっちは、ここでその人の名前が出るとは思っていなかったようで、驚きながらも喜んでいた。彼女は続ける。
「本題に戻るけど、2つ目ね。ショウが推してるのは『しふぉん』ちゃんって言ってたから多分大丈夫だと思うけど一応。万が一の場合の話をするけど、推しが変わった際に、『れんれん』ちゃんか『かわみん』ちゃんを推すことになったら、サイリウム・タオルの色を間違えないように気を付けてね。『れんれん』ちゃんは蓮色で、『かわみん』はピンクなのね。」
「ピンクの方が、蓮色より若干濃いの。だから、二つ並んでたり、サイリウムとかタオルについてるタグをちゃんと見てくれたりすればわかると思うけど、ぱっと見で『これだ』って選ぶと間違えるから気を付けてね」
「あと、たくさん買えば『何か特典がもらえる』とか『次のライブで何か得になる』とかは一切ないから、物販で買うものは必要な分だけで大丈夫だよ」
注文してから10分弱でラーメンは届いた。僕たちは、ラーメンをゆっくり食べた。




