16 遊び
「あの映画、面白かったね! もう1回見たいね」
なっちは僕に、透明感あふれる笑顔で話す。
今日見た映画は、有名な作家による漫画が映画化されたものだ。高校の部活が決められなかった男子、高島が籤引きで部活を決めたところ、吹奏楽部に入ることになった。彼にはもともと楽器経験は全くない。しかし、彼を含め誰も知らなかったことだが、彼には音楽の才能がある。そんな高1男子の物語だ。
「これね、実は私のアイドル仲間のしふぉんって子が勧めてくれてた漫画なの。しふぉんちゃん、実は結構この漫画の古参でね、3年前の夏から読んでたらしいの」
その漫画は、2年前の5月ごろからに流行り始めた。記憶が確かなら、自分もそのころに名前を知った記憶がある。今ではそこそこ人気だが、昔は全く売れていなかったと聞いている。
僕は、「そろそろ昼ごはんにする?」となっちに提案した。彼女も、もう1時だしちょうどいいね、と同意してくれた。
僕たちは映画を、学校の最寄り駅であるC北駅の近くの7階建てショッピングモールで見た。大型商業施設で、6階にはゲームセンター、3階にはフードコートがある。僕たちはエレベーターに乗って、3階まで下りていった。
僕は麺類(特にそば・うどん・ラーメン)が好きという点でいえば誰にも負けない自信がある。なっちも僕ほどではないにしろ好きなようで、昼ご飯は二人ともフードコートのうどんにすることに決めた。
混んではいるが、座れなくはないので、僕はリュックをかけて席をとった。
「ここ来るの、私は初めて」
なっちは話す。僕は地元ということもあって中学生のころからよく来ていたが、友達とくることはあまりなかった。特に、女子と来たのはなっちが初めてだった。
「食べ終わったら、カラオケでも行く?」
僕の提案に、なっちは「いいね!」と言ってくれた。僕は、軽くうどんを食べて、カラオケがある建物まで向かった。
「家の近くにカラオケとかショッピングモールがあるのっていいよね。私が住んでいたところ、田舎だから何もなかったんだよね」
そんな話をしながら、僕たちは2人で、カラオケのある駅前の建物「p-ヨコハマ」まで歩いて行った。




