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番外編6 映画 4


「正直さ、ヘリアンサスガールズのエンディングテーマ『もう過去には戻れない』を初めて聞いたとき、どう思った?」


 YouTube上にはフル(約5分半)のMVが公開されており、この映画を見る前に何回も聞いていた。歌詞がネタバレになっている部分もあるとはいえ、「映画のネタバレ→歌詞」とつながっても「歌詞→映画のネタバレ」を推測するのは難しい。何となく、ヘリアンサスガールズにありそうな1曲以上の印象は受けなかった。映画があると知らなければ、普通の曲以上の印象は受けない。


「自分はね、曲名の『もう』に引っかかってたんだよね」


 確かに、そう言われてみれば「もう過去には戻れない」とは「昔は過去に戻れた」というニュアンスになりうる場合がある。


「英語版があるんだけど、これが"We can no longer go back to the past"でね。iTunesみたいな音楽配信サービスでも聞けると思うけど、これだと明確に『No longer』が『昔はそうだったが、今はそうではない』というニュアンスを含むようになってると思うんだよね」


 英語版の存在は知らなかった。自分は、聞いてみる、と話した。僕は、素直に面白かったという意見を伝えた。


 眩しい太陽の下、木々の蔭で蝉がうるさく鳴いている。そんな緑道を二人で歩いていく。途中、上にかかっている橋のおかげで下が蔭になっている部分がある。そこは日が当たり続けている場所にくらべほんの少しだけ涼しかった。


「やっぱり暑いね、ちょっとそこで休まない?」


 なっちの提案に僕は乗り、その陰にあるベンチにふたりで腰掛けた。ふと、サビの一フレーズを思い出す。


「もう過去には戻れない でもそれでいい 坂道がつらくても ゴールは近い 運命は変えられる どんな夢も 必ずかなうから希望を信じて 未来へ」


「どんな夢も必ずかなう」と言っていたが、実際紫月の「失った恋人を取り戻す」という夢はかなうことがなかった。もしかしたらかなえてはいけない夢だったのかもしれない。あの映画がハッピーエンドかはわからないが、必ずしもすべてが登場人物の思い通りに行くという結末で終わるものでもないだろう。

 

 他にも、「運命は変えられる」というフレーズがある。実際彼女が運命を変えることができたのかはわからない。素直に解釈すればできていないことになるが、運命を変えた結果あのような結末になってしまったという可能性もあるだろう。


「歌詞に運命って出てくるけど、運命とかってあると思う?」


僕はなっちに聞いてみる。なっちは少し間をおいて答えた。


「どうだろ、あるって言われたら、確かにそうなのかなって感じはするかな」


 僕は、その理由を聞いてみる。


「うーん、去年のライブでしふぉんにショウの外見とかを話したみたいなこと言ったじゃん、そのときしふぉんがだいぶ前からショウの夢を見てたらしくて。ただ夢っていくらでも記憶で変わると思うし、ただ自分が都合いいように思い込んでるだけなのかなって思ってるみたいなことってしふぉんは言ってたから……」


 確かにあれは今思い返しても謎だ。


「逆に、ショウはどう思ってる?」


 なっちから逆質問を受ける。僕は素直に思うことを話した。

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