表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

ヒーラークエスト【読み切り版】 ~はみ出し者の白魔道士達が4人でパーティを組んでみたが案の定キツかった~

作者: しいたけ

【読み切り版】って付けると『続き希望!』って書いて貰えるってばっちゃが言ってた。

 【白魔道士】と聞いて、皆さんはどの様なイメージを浮かべるだろうか?


 癒やしの力?

 大事な回復役?


 しかし、他のメンバーが回復技を覚えた途端に白魔道士は役目を終える。


 そう……白魔道士は戦闘面においては非力過ぎて足手纏いなのだ…………




「またパーティをクビになったわ…………」


 昼下がりのカフェテリア。優雅にティータイムを嗜むマダム達の片隅で、白いローブを身に纏う少女達が重苦しい空気を放っていた。


「私達の様な低レベル白魔道士じゃ、そもそも声すらかからないですからね……」


「金の無い駆け出し冒険者がその場凌ぎで雇う程度しか需要無いんですよ」


 少女達は思い思いの飲み物を片手に、愚痴や不満を口々に漏らしている。それくらいにやる事が無いのだ。


「いいわよね【戦士】や【シーフ】は。幾らでも需要があって」


「ジョブチェンジでもする?」


「まさか! 装備すら買うお金無いのに!?」


「ははは…………」


「…………」


 ついには沈黙してしまう少女達。先のことを考えると必然的に暗い雰囲気へ…………


「いっその事私達4人でパーティを組んでみる?」



 それは冗談交じりの一言だった。


 暗く重苦しい空気を変えようと発した一言に、以外にも他のメンバーは乗り気の様相を見せた。


「それ良いわね」

「このまま暇するのも……ね」

「やってみますか?」


 4人は早速行動に出た。なけなしのお金で冒険者ギルドへ行き『職業写真』を撮る為である。


「職業写真でステータスを確認するわよ。いいわね」


 職業写真とは、パーティを募集する際もしくは応募する際に必要となるカードの事である。職業写真には各種ステータスやスキルが掲載され、それを参考に雇用契約が結ばれる事が多い。なお、冒険者ギルドに登録した者は半額で撮れるがそれでもコーヒー一杯分程度の値段はする。


「皆撮ったわね。『せーの』で見せるわよ?」


「「「「せーの」」」」



名前 リゼリア  名前  フユハ

職業 白魔道士  職業 白魔道士

Lv.  3   Lv.  2

STR  3   STR  2

INT  9   INT 12

VIT  4   VIT  3

AGI  5   AGI  6

LAC  9   LAC  5

スキル 無し   スキル 無し

 

名前 フランシス 名前 マニエル

職業 白魔道士  職業 白魔道士

Lv.  1   Lv.  2

STR  1   STR  2

INT 10   INT  9

VIT  2   VIT  5

AGI  8   AGI  7

LAC 10   LAC  8

スキル 無し   スキル 無し


 ※一般的な成人男性のステータスは全て7~8程度である。



「……酷いわね」


「…………」


「で、これで勝てるの?」


ゴリラ(STR 3)が居るから大丈夫じゃないかしら?」


「誰がゴリラじゃい!! Lv.1のくせに偉そうに」


「まぁ、でもこれで役割が決まったわね」


「「え?」」


リゼリア(STR 3)は戦士(白魔道士)。フユハ(INT 12)は白魔道士(白魔道士)。(LAC 10)はシーフ(白魔道士)。マニエル(VIT 5)は……肉壁(白魔道士)ね!」


「私だけ酷いっ!」


 こうして、少女達は半分ヤケクソの気持ちでダンジョンへと向かった。行き先は当然の如く初心者向けの難易度が一番低いダンジョンだ。それでも少女達はは死地に赴く様な気分であった…………




 白いローブに木の杖を持ち、4人の少女達がダンジョンへと降り立った。前衛のリゼリアとマニエルは十字を切り、マニエルに至っては懐に遺書を忍ばせていた。


「やるのは一匹の時だけよ。それ以外は逃げるのみ!」


「リゼリア、もう既に来てるわよ……」


 チョンチョンと肩を指で押し、マニエルが指差した先には一匹のゴブリンが居た。ゴブリンはニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべ此方へ無防備に近付いてくる。


「おやおや、白魔道士4人でどうしたゴブ?」


 人語を有するゴブリンだったが、此処らでは決して珍しい事では無かった。人間とゴブリンの間で金品のやり取りをする商人や、好奇心旺盛なゴブリンから習ったりする稀な奴等がたまにいるのだ。


「ふふ、おあつらえ向きね。アンタ!私達の経験値になりなさい!」

「よっ!悪人!!」


 リゼリアがゴブリンに啖呵を切る後ろでフランシスが冷やかした。


「ゴブッ!? まさかの冒険者だったゴブ!!」


「うりゃーー!!」


 リゼリアは手に持っていた白魔道士用の木の杖を思い切りゴブリンのドタマに叩きつけた!!


  ―――ポカッ!


「痛いゴブッ!」


 見る見るうちにゴブリンの頭にタンコブが出来上がった。ゴブリンは頭を擦り、涙を一つ零した。


「流石ゴリラ(STR 3)ね。私達じゃあそこまでのダメージは与えられないわ」


「やかましいわね! このまま皆で袋叩きよ!!」


 リゼリアの声に他の3人も杖を振り回しゴブリンへと襲い掛かる。


  ―――ポカッ!

  ―――ポコッ!

  ―――コン……

  ―――ポコッ!


「ゴブ! 止めるゴブ! いっそ一思いに殺すゴブーーーー!!」


 全身痣だらけになり気絶したゴブリン。倒れた体から青白い光が少しばかり放たれ、4人の体へと均等に吸い込まれる様にして消えた。


「経験値ゲットよ!!」


「つ、疲れた……」


「きゅ、休憩ー」


「まだよ!」


 地べたにへたり込むフランシスに、リゼリアは倒れたゴブリンの方を指差した。なんとゴブリンの傍らには小さな宝箱が転がっているではないか……


「シーフ(白魔道士)の出番よ♪」


 ニヤニヤと不気味に笑うリゼリア。マニエルが宝箱を軽く振りフランシスへと手渡した。


「コインが数枚入ってるよ」


「…………」


 宝箱をまじまじと見つめるフランシス。しかしどれだけ調べようが罠があるのか無いのか、それすら分からなかった。


  ―――パカッ


 フランシスは意を決して宝箱を開けた。コイン数枚なら罠が掛かっていないと判断したのだ。


  ―――バチン!!


 すると突如フランシスの指が何かに挟まれた!!


「ギェェェェ!!!!」


 断末魔の叫びを上げるフランシス。宝箱の中から出て来た鉄の板に指を挟まれたのだ!


「あらあら、大変。直ぐに回復しないとフランシスちゃんが死んじゃうわ……」


「人差し指を軽く挟まれただけで死ぬシーフ(白魔道士)って……」


「フユハ早く!早く!!」


 宝箱を外し人差し指をフーフーするフランシス。その指は赤く腫れ上がり今にも死んでしまいそうだ。


「流石VIT2ね……」


 リゼリアは散らばったコインを拾い上げ懐へとしまった―――

読んで頂きましてありがとうございました!

(*´д`*)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] いいですねー。 女4人の珍道中なら、冒険しながらタピオカドリンク飲んだり、温泉に入ったり、色々な展開ができそうですね。
[良い点] ほっこりしました。 [一言] じっちゃもみんな続編希望といってました。隣組の主婦歴半世紀のおばさんも続編希望と言ってました。妹の旦那の従兄弟の子どもの嫁はんの実家で飼っている犬も続編希望だ…
[良い点] 続編希望です!!! 連載お願いします!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ