表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/21

まだ9夜

飛翔空ウィング・エアっ」

 ガッ。

 ソリスの襟首を掴んだアリシアが空に舞い上がる。


「飛ぶ前にはせめて一言かけなさいよね」

 親猫に運ばれる仔猫のようにぶら下がったまま、ソリスがボソリと呟いた。

 風に包まれたソリスは、風に乗るアリシアを中心にグルグルと壁に向かい振り回される。


解放リベレイション

 行っけぇ!」


 アリシアの力ある言葉に、魔力の外側に弾き出されたソリスは螺旋の風に包まれたまま、斜め45の角度で勢いよく壁の内側、鐘楼に向かい一直線に落下……と言うか墜落して行く。


「ふっざけんな、ゴラァ!

 コト起こす前に一言断れえぇぇぇっ!」


 空中で悠然ゆうぜんと見下ろすアリシアに向かい、ソリスの怒号が飛ぶ。


「んー。ドップラー効果」

「殺おおおっす!」


 壁のだいぶ上を通り過ぎ、ソリスの身体からだは一直線に鐘楼しょうろうを目指す。


(いけるか?

 っつうか、いくしかないし!)

 身体を捻り鐘楼に両足を向ける。


 ゴオオオォォォンン……。


 鐘楼を捉えたショートブーツの底が鐘を大きく揺さぶった。


「だあああぁぁぁっ」

 叫ぶソリスが両耳を押さえて揺れる鐘楼を蹴り上げる。

 大きくのけ反る身体が空中で円を描いた。


「足痛ってぇ!」

 鐘楼の真下のスペースに転がるように着地して身を伏せる。

 足は痺れているが鐘楼の音に鼓膜が破裂しそうになる以外、外傷らしい物はない。


「アリシアァァァ!」


 鐘の音にかき消されたソリスの声はアリシアには届かない。

 そもそも見上げた空にはアリシアの姿がない。


「どこ行った」

 魔力を(まと)ったままじゃ壁を抜けられないのはわかっているはず。

 キョロキョロと辺りを見回すソリスの目に階下にワラワラと集まり出す人影が映る。


「何者だっ」

「侵入者だ確保」


 衛兵たちが鐘楼を目指して、塔の内部へと続く扉をくぐり始めた。


「思いっきり不審者じゃないのよ」


 ここに居たら問答無用で地下牢行きだ。

 見回すと当然ここにも内部へと続く扉。

 ソリスはひとまず扉を開けると下へと続く階段を降り始めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ