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クラス召喚に巻き込まれた教師、外れスキルで機械少女を修理する  作者: さとう
第四章・【超野獣王アルアサド】

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78、三日月しおん⑦

今回、不快な描写があります。

 着いたのはフォーヴ王国。

 馬車は王城内に入り、中庭で停車する。

 わたしは、裸のまま中庭に降ろされ、豹の獣人に鎖を引かれて歩き出した。 もう、すっと服を着ていない……恥ずかしい気持ちも薄れてきた。


「さてさて、あなたは当たりですかね?」

「………」


 わたしは、豹の獣人を精一杯睨む。

 喋り方や歩き方はすごく丁寧だけど、この豹の獣人はわたしを人間として見ていない。

 首輪と手枷が外れれば、こんなやつやっつけてやるのに……。



「ふふ、いい顔をしていますね。それに、なかなかいい肉が付いてる……くくく、実に美味そうだ」

「………っ」


 豹の獣人は、わたしの身体を舐めるように見る。

 足からおなか、そして胸……最後に顏。豹の獣人はわたしを値踏みするように見て、ペロリと舌なめずりをした。

 羞恥もだが、怖気もする。

 性的な興奮ではなく、食物を見て美味しそうと感じてるような……まさかね。


「さて、まずは我が王に報告しなくては」

「………わたしの能力を知ってどうするの」

「ふふ、我が王はとあるチート能力を欲していてね……キミがそうだったら嬉しい。でもそうじゃなかったら……くくく」

「………わたし、死ぬの?」

「さぁ……きっと、死ぬより辛いことかもね」

「………」

 

 わたし………死んじゃうのかな。

 あかね、しろすけ、とらじろー、みけこ、くろこ………せんせ。

 こんなことになって、ごめんなさい。

 わたし、もう一度みんなに会いたい……。


「………」


 だから、ぜったいに諦めない。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 わたしは、生まれて初めて明確な『死』を感じていた。


「我が王、獣人貴族の町で偶然、指輪持ちの人間が売りに出されていた故、こうして連れて参った所存です」

「ほう……よくやったぞ、レパード」


 目の前にいるのは、ビルみたいな大きさのライオン獣人。

 とんでもない圧力。中津川くんやアシュクロフト先生よりも強い何か。

 わたしは、身体が震えるのを止められなかった。

 この人が、この国の王様……そして、魔王の1人。

 ライオン獣人が、わたしをじっと見た……。


「ひっ……」

「首輪と枷を外せ」

「はっ」


 豹の獣人ことレパードが、わたしの首輪と枷を外す。

 久し振りに解放されたが……逃げるなんてバカな考えは一瞬で吹き飛んだ。

 このライオンは、逃げようとすれば殺気だけでわたしを殺せる。

 

「あ……あ……」

「ふふっ、我が王、どうやらあなたの圧に押されてるようで……」

「ふん。レパード、そいつの能力を見せろ」

「はい」


 豹の獣人が、指輪のはめられてる右手を掴む。

 腰が抜ける寸前だった。

 わたしは………怖くて失禁した。


「……………おい」

「ひっ………っぐげっ!?」

「テメェ……王の前で汚ぇションベン垂らすとは、いい度胸してんじゃねぇかゴラァッ!!」

「ひっ、ぐげっ!? あぎっ!?」

「うす汚ぇ家畜が!! 王の前で!! きったねぇションベン垂らしてんじゃ!! ねえぞゴルァァァァッ!!」

「あがっ!? げぅっ!? ぶげっ!?」


 豹の獣人は、わたしを殴り飛ばし、蹴り飛ばし、頭を踏みつけた。

 わたしは痛みで涙を流し、身体を丸めることしかできなかった。

 ライオン獣人に会った瞬間、わたしの心は折れてしまった。

 ライオン獣人の隣にいた、トラ獣人が吠えた。


「ガルルッハハハハ!! レパードがキレやがったぜ!!」

「黙ってろバーグ、このメス……」

「レパード、嬲るのは後にしてチート能力を見せろ」

「は……はっ!! 申し訳ありません。おいメス!! さっさとステータスを見せろ!!」

「………」

 

 わたしは、震える手で右手をあげた。


********************

【名前】 三日月しおん

【チート】『猫使いキャットマスター』 レベル38

 ○ネコあつめ・ネコを使役可能(最大数30)

 ○ネコの目・使役したネコの目を借りる 

 ○ネコの首輪・使役したネコを操れる 

 ○キャットウォーク・ネコの身体能力を得る


【固有武器】ネコじゃらし『ススキノテ』 レベル38

 ○じゃれたネコと会話可能

 ○じゃれたネコの身体能力アップ

********************


「……………なんだ、コレは?」

「え………?」


 一瞬の静寂のあと、豹の獣人が言った。


「なんだこのクソチートはぁぁっ!! 舐めてんのかテメェェェェェェッ!!」

「うっげっ!? がぼっ!?」

「………ハズレか」

「ぎゃっはっはっはっはっは!! 残念だったなレパードぉ!! 大金つぎ込んで買ったメスがこれかよ? ぐはははははっ!!」

「黙れバーグ!! このクソメス……なぶり殺しにしてやる!! 我が王、申し訳ありません、見苦しい物をお見せしました!!」

「構わん……」

「来い!! テメェはすぐに殺さねぇ……たっぷり痛めつけてやる!!」

「あがっ……」


 わたし、なんでこんなめにあってるの?

 かみのけつかまれて、なぐられて、けられて、ふみつけられて。


 いたい、いたいよ、せんせ。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 さむい地下。

 わたし、豹の獣人にいっぱい殴られた。

 わたし、なにもしてないのに。

 わたし、せんせを探してただけなのに。


「このクソメス!! このクソがぁぁぁぁっ!!」


 この豹、なんでこんなにわたしをなぐるの?

 わたしが、なにをしたっていうの?

 いたい、いたい……なんで、こんな。


「…………」


 この豹、死んじゃえばいいのに。

 わたしをなぐるこの豹、死んじゃえばいいのに。

 せんせ、会いたいよ。

 わたし、もういやだよ。

 

「…………」

「はぁ、はぁ、はぁ……ひひひ、まだ殺さねぇ。オレに恥を掻かせたテメェは、死ぬギリギリまで遊んでやる。その後は挽肉にして、家畜のエサにしてやるよ!!」

「…………」


 死ぬ? 殺す? 

 わたしを、殺すの?

 

「…………」


 なんで、この豹は生きてるの?

 わたしを、わたしを殴ったこの豹……死んじゃえ。

 死んじゃえ。死んじゃえ。死んじゃえ。死んじゃえ。


「ふぅ~~~~~~~…………では、また明日。ごきげんよう」


 死んじゃえ………。

 

 ドクン──────────。


 わたし、死なない。


 ドクン──────────。


 死ぬのは。


 ドクン──────────。


 あの、豹だ。


 ドクン──────────。


「…………………し、ね」


 ドクン──────────!!


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇










********************

【名前】 三日月しおん

【チート】『猫使いキャットマスター』 レベル38

 ○ネコあつめ・ネコを使役可能(最大数30)

 ○ネコの目・使役したネコの目を借りる 

 ○ネコの首輪・使役したネコを操れる 

 ○キャットウォーク・ネコの身体能力を得る


【固有武器】ネコじゃらし『ススキノテ』 レベル38

 ○じゃれたネコと会話可能

 ○じゃれたネコの身体能力アップ


【チート覚醒】←New

《猫王チェシャキャット》←New

********************

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お読みいただき有難うございます!
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