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クラス召喚に巻き込まれた教師、外れスキルで機械少女を修理する  作者: さとう
第四章・【超野獣王アルアサド】

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70、三日月しおん③

 しろすけを城に残し、わたしは脱走した。

 時間は深夜。わたしの能力の1つである『キャットウォーク』なら、高い場所や屋根の上を音もなく駆け抜けることができる。これも誰にも言ってない能力の1つ。


「………しろすけ」


 しろすけは、城に残った。

 とらじろーを探すために残ると言ったけど、本音を言えば2匹とも連れていきたかった。

 とらじろー、どこへ行ったの……わたしのせいで。


「……っ」


 溢れる涙を拭い、城下町の屋根の上をジャンプして進む。

 買い物とかしないといけないけど、まずはオストローデ王国を脱出する。

 ハッキリ言って、アシュクロフト先生が怖い。あかねはアシュクロフト先生を信じ切ってるし、へたなことを言うと報告されることもある。だから……わたしは、1人で行く。

 せんせを探して、みんなを助けてもらう。

 手がかりはないけど、たぶんオストローデ王国内じゃない。


「……まずは、オストローデ王国近くの集落まで行こう。徹夜で走ればかなり行けるはず」


 ちなみに『キャットウォーク』を使うとネコの特性も得る。

 夜行性だからそんなに眠くならないし、ジャンプ力もかなり高い。でも、体力がそんなに続かないので休憩を挟みながら走るしかない。それでも、わたしの速度は馬車とは比較にならないほど速い。


「………せんせ」


 わたし、はやくせんせに会いたいな。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 オストローデ王国から脱出し、休憩を挟みながら進む。

 現在は木の上で休憩中。持って来た荷物の中から地図を取り出して広げる。


「ええと………ここがオストローデ王国、そしてこっちが砂漠王国、こっちがエルフの森、あっちが獣人王国」


 そのほかにも、魔族や吸血鬼の住む王国や、海の王国なんてのもある。魔術師の王国なんてあかねが喜びそうだけど……どこに行こう。

 直感だけど、獣人の王国かな。

 ネコの獣人とかいたら友達になりたい。オストローデ王国にいたネコ耳メイドは、友達になってくれなかったし。だから獣人に会ってみたいな。

 おっと、もちろん目的はせんせを探すこと。


「どこかで旅のお友達を探そう。1人じゃ辛いし……」


 旅なんてしたことないからよくわからないけど、お金と着替えと地図は持ってきた。

 お金は金貨が10枚ほど、着替えは下着に町で買った普通の服、地図はオストローデ王国から支給された物だ。

 問題は食事だ。

 水は魔術で出せるから問題ない。わたしの魔術特性は『水・風・光』だし。飲み水は出せるし洗った服を風で乾かせるし、暗くなったらライト代わりの光球も出せる。

 アナスタシア先生が言ってたけど、水はC級、風はD級、光はE級認定とか言ってたっけ。よく聞いてなかったから意味はわからなかったけどね。

 

「うーん、弱いモンスターなら魔術で狩れるかな? でも解体は苦手……」


 どこかに果物でもあればなぁ……町に着いたら保存の利く物いっぱい買おう。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 短距離ならわたしは人間の誰よりも速い。木登りだって得意だし、夜目も利く。その代わり、体力がちょっぴり自信ない。仕方ないよね。

 オストローデ王国から脱出して8日、いくつかの集落を経由し、かなりスピードを出して走ったおかげか町が見えて来た。

 

「えーと、あそこが国境の町かな?」


 あの町から、それぞれの魔王が治める王国へ向かうことができる。

 わたしの目的地は、獣人の国であるフォーヴ王国へ向かうことだ。


「……町に着いたら宿で休もう。それと、お友達も探さなきゃ」


 わたしの能力の1つである『ネコあつめ』で、集落のネコを集めることはできたが、みんな飼い猫ばかりで一緒に来てくれるネコは居なかった。

 だけど、これだけ大きな町なら冒険心あるネコがいるはず。

 少しだけ町に滞在して、せんせの情報を集めよう……あればだけど。


「オナカ空いた……」


 その前に、まずはお腹を満たさないとね。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 おっきな町。

 人だけじゃなくて、獣人もいっぱいいる。

 宿屋もいっぱいあるし、久しぶりにお風呂入りたい。水で身体拭くのだけじゃスッキリしないもん。

 なので、ちょっとだけいい宿屋を選んでチェックイン。少し休んでから食料とおやつを買って、この町の地図を手に入れた。

 わたしは、ホットドッグをかじりながら、町の中央広場で地図を広げる。


「えーと············あ、あった」


 探し場所は、町の裏通り。

 こんな人が多い場所で『ネコあつめ』を使ったら騒ぎになっちゃうしね。人の少ない場所を選ばないと。

 というわけで、いざ裏路地へ!


「くんくん······うん、このあたりかな」


 人通りのない薄暗い裏路地へ到着。

 ネコの気配を感じる······どうやらみんな隠れてるみたい。

 さっそくネコあつめを使いたいけど······じつはこれ、けっこう恥ずかしいのだ。


「すぅぅ··········にゃあ〜〜〜ぅん」


 わたしはネコみたいに鳴いた。

 すると、声を聞いたネコがぞろぞろ集まってきた。

 ネコであるかぎり、この声には抗えない。まるで洗脳みたいでいい気はしないけど······ごめんね。

 

「えーと、20匹くらいかな。お話の前におやつにするね」


 わたしは、ネコ用に買ったおやつを広げると、ネコたちは一斉に群がった。みんなお腹空いてるんだね······。


「みんな、まずはお腹いっぱい食べてね」


 ネコは可愛い。ネコは天使である!


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 ネコのみんながごはんを食べてる間、わたしは固有武器である『ススキノテ』を出す。

 見た目はまんま猫じゃらし。エノコログサをそのまま千切ったようなデザインで、色だけが青い。

 ごはんを食べ終わったネコの1匹に向けてススキノテをフリフリすると、その子は楽しそうにじゃれついた。

 よし、これで準備完了。


「わたしの声、わかる?」

『······もちろん、あら?』

「これでお話しできる。ちょっと聞きたいこととお願いがあるの」

『へぇ、ネコとお喋りできる力ね······ま、いいわ。ごはんのお礼に聞いてあげる』


 メスの三毛猫にせんせのことと、わたしの友達になってくれる子がいないかを聞いた。


『せんせ、ね······ま、町にいるかどうか確認してあげる。それと、貴女の友達だけど、私がなってあげてもいいわ。それともう1匹、私の妹も一緒でいいかしら?』

「妹? どの子?」

『ええ、あそこの子よ』

  

 ごはんを食べて満足したのか、地面に寝転がってる黒ネコがいた。

 なんか可愛い·······抱っこしたいな。


『ほらあんた、この人間にお礼言わなきゃ』

『うなぁ~』


 他のネコも昼寝を始めてる。

 みんな可愛いな。この子たちみんな引き取って猫カフェやったら楽しいかも。

 おっと、今は三毛猫と黒ネコの姉妹が先だね。とりあえず黒猫ちゃんもじゃれさせて、と。


「じゃあ名前は……みけこ、くろこ」

『ふーん、まぁいいわ。じゃ、しばらくよろしくね』

『ふぁ……よろしく』

「うん。じゃあ、町で情報を集めてくれる? せんせとフォーヴ王国のこと」

『いいわよ。1日あればいいかしら?』

「1日でいいの?」

『ええ。この町に何匹のネコがいると思ってるの?』


 みけこは近くのネコにお願いすると、ネコは行ってしまった。

 わたしはくろこを抱っこする………うん、ちょっと臭う。


「みけこ、くろこ、宿に行こう」

『いいわよ。お昼寝したいわ』

『わたしもー』


 ふふふ、お昼寝前にキレイにしてやるからね。

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