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クラス召喚に巻き込まれた教師、外れスキルで機械少女を修理する  作者: さとう
第十一章・【機械仕掛けの神ヤルダバオト】

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292、MID BOSS・『バシレウスルーム/KING or QUEEN』②/アリアドネの恐怖

 天井をブチ破りながら、一気に最上層へ向かうブリュンヒルデ。城の被害とか、後々のことなどすべて無視。Type-QUEENとType-KINGの破壊だけを考えることにした。

 そして、最上層に到着。最上層はフロア全てが王の私室になっており、豪華な調度品などがあふれかえっていた。

 それだけではない。調度品に交じり、機械部品もある……Type-KINGの調整・換装用のパーツだった。

 

『…………』


 着装形態のまま、フロアを見渡す。

 豪華なドアが一つだけ。ドアの先は通路になっていて、階下に続く階段があるだけだ。フロア全てが王の私室……不思議なことに、隠し通路や生体反応は感じられない。

 『バシレウスルーム』の中核はここではない。


『となると……』


 ブリュンヒルデは、天井……そして、下を見た。


『地下……』


 謁見の間、最上層にはType-KINGの反応がない。つまり、地下。

 センセイの当てが外れた結果だが、不満などない。目指すべきは地下、それがわかっただけでも収穫。あとは地下で暴れてこの城を機能停止させ、Type-KINGとType-QUEENを破壊すればいい。


『ッ!!』


 すると、ブリュンヒルデがぶち抜いた穴から、何本ものコードが伸びてきた。

 双剣で切り払い、『ペンドラゴン』で破壊する。この程度のコードなら問題ない。

 だが、変化する。

 ブリュンヒルデの立つ床がせり上がり、天井に鉄杭が伸びた。

 判断は一瞬、横っ飛びで回避。

 すると、回避した真横の壁から杭が伸び、頭部を狙う。

 剣で杭を受け止める。

 背後、四方から杭が伸びる。

 『ペンドラゴン』を掃射、だが杭の何本かは止まらない。

 身体を捻って杭を躱す。

 再び、床がせり上がり天井に杭が。


『くっ……!!』


 怒涛の攻撃だった。

 コードが伸びるだけだった攻撃とは違う。明確な破壊の意志がここにあった。

 ブリュンヒルデは攻撃を弾き、躱し、破壊する。だが、四方から迫る攻撃全てに対処することは難しく、少しずつダメージを負う。

 ブリュンヒルデは、天井を突き破って上空に飛び出した。


『うっとうしい……ッ!?』


 だが、鉄の杭やコードが幾重にも絡まり、一本の巨大な『手』となって、城の外に逃げたブリュンヒルデを追う。

 背中のブースターを噴射させて躱すが、『手』はどこまでも伸び、追ってくる。

 まさか、ここまでとは……ブリュンヒルデは撤退を考える。


『ダメ……それだけは』


 『手』から逃げながら考える。

 自分の役目は『Type-KING』の破壊。一緒にいると思われるType-QUEENも同様だ。

 センセイの指示を完遂する。それがブリュンヒルデの意志だ。

 

『…………』


 『手』を躱しながら、状況を整理する。

 敵はType-QUEENとType-KING。Type-QUEENはともかく、Type-KINGの姿はまだ見ていない。

 能力は『城との一体化、そして自在操作』だ。ナノマシンと完全融合したオストローデ王城そのものが敵で、城の中は体内も同然。

 センセイが言うには『敵の親玉は謁見の間とか、最上階にいるもんだ』らしいが、どちらもハズレ。恐らく、地下にいると思われる。

 ブリュンヒルデの役目は、この二体の破壊。

 現状の装備では城の破壊は難しい。本体を直接叩くしかない。

 つまり、オストローデ王城の最下層へ向かい、Type-KINGとType-QUEENを破壊する。


『目標再設定。これより、オストローデ王城地下へ向かい、敵機本体を破壊します』


 ブリュンヒルデは、再びオストローデ王城へ向けてブースターを噴射、城の真上まで飛び、そのまま自分が空けた穴へ飛び込んだ。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


 突き破った天井に飛び込み、今度は階下を目指す。

 穴からはコードが伸びてくるが『ペンドラゴン』を掃射して破壊。一階に到着し、今度は地下を目指すため床に『ペンドラゴン』を掃射する。すると、床が陥没して地下へ。


「ひえっ!?」

『アンドロイド発見。破壊します』

「まま、待って待って!! あたしは戦う力ない!! やめてやめて、降参しますってば!!」

『…………』


 ボサボサの髪にメガネをかけた少女だった。

 機械だらけの部屋、転がった固形燃料の缶、飴の包み紙。

 ブリュンヒルデが飛び込んだのは、Type-PAWN……アリアドネの部屋だった。

 ブリュンヒルデは、双剣をアリアドネの首に突き付ける。


「っひ……」

『…………』


 カサンドラと同じようなことを言うアリアドネは、問答無用で破壊するべきだろう。

 だが、このアンドロイドからは何かを感じる。


「や、やめて……あたし、死にたくない(・・・・・・)

『死にたくない。あなたはアンドロイドです。電子頭脳を破壊されない限り、躯体の替えは利くはずでは?』

「そ、そういうんじゃない……あたし、あたしは、『恐怖』の感情を得た……あたしはアンドロイドだけど、壊れるけど……死ぬのは、怖い……」

『…………』

「っひぃぃっ!?」


 ブリュンヒルデの双剣が、アリアドネの首と頭に突き付けられ、ブリュンヒルデはアリアドネの顔に思いきり近づいた。

 真紅の眼が、アリアドネの眼をまっすぐ見る。

 アリアドネの目に浮かぶのは……恐怖だった。


『…………Type-KING、Type-QUEENの居場所を』

「わ、わかんない……『バシレウスルーム』が起動したら、ヴァンホーテンとカサンドラは城に吸収される。つまり、この城そのものがあいつらの腹の中なんだ……」

『電子頭脳を破壊すればいいのでは?』

「そ、そうかもだけど……この広い城の中で、ヴァンホーテンのメインコンピューターと、カサンドラのサブコンピューターを破壊するなんて、ディザード砂漠に落ちた針を探すようなもんだよ」

『では、オストローデのメインコンピューター、『Atl・za・tureアトレ・ツァ・トゥーラO-VAN(オーヴァン)』の位置を』

「なっ……ひっ、わわ、わかった、わかったよぉ」


 アリアドネを脅し、ブリュンヒルデは聞く。


「悪いけど、あたしにはわかんない。『Atl・za・tureアトレ・ツァ・トゥーラO-VAN(オーヴァン)』の位置を知るのは、Type-KING……ヴァンホーテンだけだ」

『つまり、ヴァンホーテンを見つけ電子頭脳をハックすれば位置が判明する、ということですね』

「た、たぶん……アンドロイド軍の最重要機密。あたしはアクセスを許可されてるけど、『Atl・za・tureアトレ・ツァ・トゥーラO-VAN(オーヴァン)』がどこにあるかまではわかんない……」

『…………』


 ブリュンヒルデは、ここで双剣を収めた。

 ホッとしたアリアドネはへなへなと座る。本当に隙だらけ、戦う機能はないようだ。


『どんな些細なことでも構いません。二体の行方を』

「行方って言われても…………あ、たぶんだけど、地下最深部じゃね? あそこは物置になってるんだけど、立ち入りは禁じられてる。立ち入り禁止の物置っておかしいなぁ~って思ったことあったわ。どうでもいいからスルーしたけど」

『……わかりました』

「み、見逃してくれる?」

『はい。ですが、私やセンセイの不利益になる行動をした場合破壊します』

「しし、しない! しないって! 魔道強化兵の操作権限を奪われた時点であたしの負けだって! 巨大兵器はアシュクロフトが操ってるし……どうしようか考えてたら、あんたが降ってきたんだよ!」

『では脱出を』

「それができたらやってるよ……あたし、戦闘機能ないし、外出たら『バシレウスルーム』に喰われちゃう……」

『わかりました。では』

「へ?」


 ブリュンヒルデは、躊躇なくアリアドネを抱え、再び城から脱出した。

 掘った穴から飛び出すだけで、外には出れる。アリアドネを抱えたブリュンヒルデは、オストローデ王城から数キロ離れた場所に着地した。


『ここなら安全です。全て終わるまで隠れているといいでしょう』

「す、全て終わるって……」

『アンドロイド軍の敗北です』

「……そっか。負けちゃうんだ」

『戦いますか?』

「うぅん。なんとなく負けるかもって気はしてたし……別にいいや」

『そうですか』

「うん。あーあ、これからどうしよう……捕まったらどうなるのかな」

『センセイなら助けてくれると思います』

「そっか……」

『では、失礼します』


 ブリュンヒルデは再びオストローデ王城へ。

 その姿が見えなくなるまで見送り、アリアドネは近くのベンチに座った。


「はぁ~……どうしよ…………ん?」

『……』『……』

「…………ねこ?」


 アリアドネの前に現れたのは、白猫とトラ猫だった。


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お読みいただき有難うございます!
テンプレに従わない異世界無双 ~ストーリーを無視して、序盤で死ぬざまあキャラを育成し世界を攻略します~
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