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クラス召喚に巻き込まれた教師、外れスキルで機械少女を修理する  作者: さとう
第十一章・【機械仕掛けの神ヤルダバオト】

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287、俺はセンセイだから

「ふん、くだらん玩具だ……あれは私が相手をする。お前たちは雑魚を始末しろ」

『ちょ、シグルド姉!?』

「お、おいシグルド姉!!」


 シグルドリーヴァは、騎熊王ウルスス・アークトゥルスを従えて飛び出した。

 全長数百メートルはある漆黒のメカドラゴンは、質量を無視して浮き上がる。雄大な黒翼にはジェットエンジンが組み込まれており、文字通り火を噴いて飛び上がった。


「ッチ……デカすぎる」


 シグルドリーヴァは騎熊王を第二着装形態へ移行させ、一本の巨大剣にする。そして、目の前に迫るType-JACKを無視して飛び上がり、漆黒のドラゴンことINFINITY・OVERLOADへ向け飛んでいく。

 その間、Type-JACKとカラミティジャケット、ウロボロスの妨害がないわけがない。


「ああもう、レギンレイブ、援護しろ!! ヴァルトラウテはシグルド姉のガード、アルヴィートはアタシと雑魚を蹴散らすぜ!!」

『りょ、了解っす!』

「わかりましたわ!」

「はーいっ!」


 レギンレイブは飛空艇からミサイルを発射、オルトリンデはモーガンの第二着装形態で一斉砲撃、ヴァルトラウテはクルーマの盾でシグルドリーヴァをガードし、アルヴィートは紅蓮覇龍サンスヴァローグの波動粒子砲で周囲のアンドロイドを薙ぎ払う。


「ふ、いい援護だ!!」


 第二着装形態『魔愚真神剣ベアー・オブ・カリスト』を肩に担いだシグルドリーヴァは、王城からオストローデ王国の正門まで移動していたINFINITY・OVERLOADの足下まで迫っていた。

 そして、跳躍。

 電子頭脳のある位置……INFINITY・OVERLOADの頭部を狙う。


「破壊する!!」


 戦乙女型最高のボディスペックを持つシグルドリーヴァは、一度の跳躍でINFINITY・OVERLOADの頭部まで到達した。

 そして、巨大剣ベアー・オブ・カリストを振り落とし……。


『ミラーコート・展開』

「なっ……」


 ドラゴンの頭部に、薄い膜が張った。

 物理攻撃を無効化するミラーコートは、失われた技術のはず。ヴァルトラウテのクルーマ・アクパーラにしか搭載されていないはず。

 そう考えたが、すでに遅かった。


『衝撃砲・発射』

「な、にぃぃぃぃっ!?」


 大剣が弾かれ、体勢を崩したシグルドリーヴァ。そこに、ドラゴンの咢がガパッと開き、巨大な砲身が顔をのぞかせた。

 チャージ時間は一瞬。あり得ない速度で放たれた衝撃波は、剣を盾にしたシグルドリーヴァの身体を数キロに渡って吹き飛ばす。


「シグルドお姉さまっ!!」


 ヴァルトラウテの盾で受けとめられたシグルドリーヴァは、ボロボロになっていた。

 ベアー・オブ・カリストは粉々に砕け、ヴァルトラウテの盾も砕かれた。ボディはひしゃげ、四肢が弾け飛んでいる……盾と大剣がなかったら、ヴァルキリーハーツも砕かれていただろう。

 

「センセイ!! シグルドお姉さまを!!」


 すると、シグルドリーヴァの身体が修復されていく。

 センセイの保険をさっそく使ってしまった。あと使えるのは、アルヴィートとレギンレイブだけ。

 

「っく……ミラーコートだと? 物理反射障壁は失われた技術のはずだ」

「ヴァルトラウテの盾にしか搭載されてねぇはず……つーか、あのバケモンはなんだよ。アタシらのデータにも、ロキ博士のデータにもねぇぞ?」

「…………アンドロイド軍の最終兵器、ですわね」


 INFINITY・OVERLOADのデータはない。

 失われた技術の結晶であるということに気付き、対策を練る。


「おそらく、ミラーコートだけじゃない。光学兵器やそれ以外の未知の兵器も搭載している可能性が高い。迂闊に飛び込むのは危険だ」

「じゃあどうすんだ……遠距離攻撃しかねぇぞ。アタシのモーガンには『空間掘削砲』があるけどよ」

「なら使え。準備時間が必要なら、私とレギンレイブで稼ぐ。アルヴィート、お前は雑魚の掃除を続けろ」

「う、うん。でも……数が多すぎて、全部はカバーできないよ」

「それでもいい。多少の被弾は覚悟の上だ。ジークルーネ、お前はあのアンノウンの弱点を探れ」

『わ、わかった……でも、センサー類が全てシャットアウトされて、プロテクトを破るのにかなり時間がかかるかも……間違いなく、あれはアンドロイドの最終兵器だよ』

「問題ない。いいか、あれを破壊すれば残りは雑魚だ。ブリュンヒルデもType-KINGを討伐するだろう。ここが正念場だ」

「……へへ、シグルド姉の言うとおりだ。やるぞおめーら!!」

「はいっ!!」

「私、みんなのためにがんばる!!」

『う、ウチはちょっと怖いけど……空から頑張るっス!!』

『姉さんたち、頑張って!!』


 悪龍INFINITY・OVERLOADとの戦いは、まだまだ続く。




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 ◇ ◇ ◇ ◇ 


 ◇ ◇




 ブリュンヒルデは、無数のコードに拘束されていた。

 

『…………………………』


 自分は、『ブリュンヒルデ』ではなかった。

 code00のヴァルキリーハーツを搭載した、code00ではない『何か』。それが自分であり、センセイが呼んでくれる『ブリュンヒルデ』ではなかった。


『私は、誰?』


 ブリュンヒルデ、センセイはそう呼んでいる。

 確かに、この躯体は『ブリュンヒルデ』だ。見た目、性能、メインウェポン、近接戦闘型戦乙女code04ブリュンヒルデであることに間違いはない。

 でも、見た目だけでブリュンヒルデなのか。

 code00のヴァルキリーハーツを、『意志』を搭載した自分はいったい何者なのか。

 考えれば……『思考』すればするほど、身体が動かなくなる。


『……………………』


 絡みついたコードは動かない。まるで、『ブリュンヒルデ』を混乱させることがType-QUEENの目的であったように思えた。

 現に、城に踏み込んで数分、ブリュンヒルデは完全に拘束されてしまい、動けない。

 思考が、Type-QUEENの言葉が、何よりも鋭い棘となりブリュンヒルデに刺さっている。


『私は、センセイの望むブリュンヒルデでは、ない』

『私は、code00のヴァルキリーハーツを搭載した戦乙女型』

『私は、何者か』

『私は、』

『私は、』

『私は、』




「私は……私は、誰?」




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 ◇ ◇ ◇ ◇ 


 ◇ ◇






『おい!! 聞こえるか、ブリュンヒルデ!!』






 ◇ ◇ ◇


 ◇ ◇ ◇ ◇ 


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「ブリュンヒルデ、返事しろ、おい!!」


 俺は、ホルアクティの通信バンドから必死に呼びかけていた。

 オストローデ王城の変異と共に現れた巨大兵器、そしてブリュンヒルデの反応の消失。

 ジークルーネも、限界を超えた演算でアンノウン兵器を探っている。シグルドリーヴァたちはすでに巨大兵器と戦い始めている。Type-JACKとカラミティジャケット、ウロボロスを同時に相手しながら……。


「おい、ブリュンヒルデ!!」

『…………センセイ』

「あ……よかった、おい無事か? 反応が消えたから驚いたぞ」

『…………センセイ、私は』

「ん?」

『私は、『ブリュンヒルデ』ではありません。私は……』

「…………」


 ああ、そっか─────。

 ブリュンヒルデは、気付いてしまったんだ。


「ブリュンヒルデ、お前はお前だ。code00とかシグルドリーヴァとか関係ない。お前は……あの遺跡で俺を助けてくれたお前は、俺にとってのブリュンヒルデなんだ」

『…………』

「悩むな。お前はブリュンヒルデだ。俺の……俺の大事な生徒の一人なんだよ」

『…………センセイ』

「安心しろ。俺もそっちに行く。一緒に終わらせよう、何もかも終わらせて、平和な世界をみんなで生きよう」

『…………はい、センセイ』


 通信が切れた。

 俺の言葉がどこまで通じたかはわからない。でも……通じてなくても、俺の声を直に届ければいい。

 俺は、振り返る。

 そこには、俺の大事な生徒たちと、大事な仲間たちがいた。


「みんな、俺はこれからオストローデ王城へ向かう。あとは任せるぞ」

「なっ……しょ、正気かセージ!?」

「あのヤバいの見えるでしょ!? いくらあんたでも」

「大丈夫」


 ルーシアやアルシェの心配もわかる。でも……俺は行かないとだめなんだ。

 それに、もう怖くない。俺には、力がある。


「相沢先生、オレも……」

「ダメだ。中津川、お前はここで生徒たちをまとめてくれ。篠原、三日月、お前も一緒だ」

「そんな……」

「せんせ、わたしはまだ戦える!」

「ダメだ。その力は、ここにいるみんなを守るために使え」

「でも……せんせ」

「大丈夫」


 俺は、生徒たち一人一人の顔を見る。

 ネコやごま吉、ジュリエッタも、心配そうに俺を見ている気がした。


「……ったく、いい男になったじゃねぇか」

「ゼドさん……」

「セージさん、なんだか遠い存在になっちゃいましたね。あたしとブリュンヒルデさんの三人で旅してたころが何年も前みたいです!」

「クトネ……」

「……ふふ」


 ゼドさんは頭をボリボリ掻き、クトネは苦笑し、キキョウは微笑む。

 なんというか、仲間には見透かされているような気がする。

 

「……私たちは、何かを言える立場じゃないわ」

「はい。私は見守るだけ……」

「うーむ、さっさと修理してほしいがのぅ」


 アナスタシア、ハイネヨハイネ、ゴエモン。この三人は、これからのオストローデ王国に必要なアンドロイドだ。だから、一緒に連れていくわけにはいかない。

 俺は、行く。

 この戦いを終わらせるために。


─────ドクン。


「みんな、待っててくれ」


─────ドクン。


 決意が、俺の力になる。

 きっと最初からあったんだ。でも……ビビッてばかりの俺に相応しくなかった。

 この力、『機神の御手(ゴッドハンド)』はきっと、機械の神様がくれたもの。

 俺は、空に向かって手をかざす。


「さぁ、見せてやる……アンドロイドたちに、最高の授業をな!!」


 右手に付けていた『可能性の指輪(アビリティリング)』が砕けた。

 そして、俺の中にある神の力が覚醒する。






『チート覚醒』

機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナヤルダバオト》


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お読みいただき有難うございます!
テンプレに従わない異世界無双 ~ストーリーを無視して、序盤で死ぬざまあキャラを育成し世界を攻略します~
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