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クラス召喚に巻き込まれた教師、外れスキルで機械少女を修理する  作者: さとう
第十一章・【機械仕掛けの神ヤルダバオト】

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277、BOSS・『Type-SUSANO・八岐大蛇』②/決着

 空中に浮かぶ無数の剣。

 たった一本の巨大な剣。

 シグルドリーヴァとゴエモンの戦いは、最終局面に入っていた。

 離れた場所では爆音と銃撃音が響いている。だが、シグルドリーヴァとゴエモンにはまるで聞こえていない。

 あるのは、剣と剣の戦い。

 

「…………」

「…………」


 互いに、ピクリとも動かない。

 なにが切っ掛けなのか、先に動くと負けなのか、それとも同時に動くのか。

 シグルドリーヴァとゴエモンの視線がぶつかったまま、一分が経過した。

 このまま放っておけば、永遠にこのままかもしれない。


 だが――――――。


 きっかけは、ほんの小さな爆音。

 オルトリンデが放った銃弾が、Type-JACKの頭部を砕いた。そして、Type-JACKが静かに崩れ落ち―――――。


「「ッ!!」」


 シグルドリーヴァとゴエモンは、同時に動いた。




 ◇◇◇◇◇◇




「『千荊万棘(せんけいばんきょく)』!!」




 数万本の剣が、一斉に飛んできた。

 それこそ、雨のように、針のように、棘のように。

 無剣流の奥義。それは、バンショウが打ち倒し受け継いだ剣士の『魂』である剣を解放する技。つまり、飛来する剣全てが、バンショウの人生であり生き様なのだ。


「確かに、悪かった……」


 これは、本物だ。

 全てが、この何万本の剣全てが『本物』だ。紛い物などではない、生きた剣士の魂が宿った『生き様』だ。

 シグルドリーヴァは謝罪する。

 ゴエモンは、バンショウを打ち倒し、受け継いだのだ。

 この『無剣』は、今やバンショウとゴエモンの『生き様』なのだ!!

 ならば、引くことはできない。


「―――――参る」


 シグルドリーヴァは、『魔愚真(マグマ)神剣(しんけん)ベアー・オブ・カリスト』を肩に担ぎ、防御を放棄して突っ込んだ。

 そんなことをすれば――――。


「ほう!! こいつはすごい!!」


 ゴエモンは驚き、歓喜した。

 シグルドリーヴァの身体に剣が刺さる。だが、それら全てを無視し、頭部だけを守りながらシグルドリーヴァはゴエモンのもとへ向かう。

 天晴れな行動にゴエモンは笑った。


「だが、我が奥義を抜けられるものかぁぁぁぁぁっ!!」

「押して参る!!」


 バキン、ガキン、ビシギシッ。金属が擦れ、砕ける音が響く。

 シグルドリーヴァの左腕が吹き飛び、右足に剣が何本も突き刺さる。ボディにも剣が貫通し、穴だらけになる。部品が散乱し、シグルドリーヴァの身体はゴエモンの数メートル手前で完全に停止した。


『…………』

「見事……」


 シグルドリーヴァは、機能停止寸前だった。

 真紅の瞳はチカチカ輝き、左半身が殆ど消失している。

 それでも、一騎打ちを望み、ゴエモンに挑んだ。


『ま、だだ……』

「…………」

『お前、は、一人、じゃな、い……』

「…………?」


 シグルドリーヴァは、発声装置が傷んでいるのか、聞こえづらい音声で話す。

 ゴエモンは剣を構えたまま、最後の言葉を聞くことにした。


『お前と、その剣に込められた想い、見事、だった。でも、私は、知った。私、も、一人じゃ、ない。一人じゃ、できない、ことを』

「そうか……確かに、お前の一本は強い。だが、想いの差で儂の勝利じゃ」

『ち、がう。私は、一人、じゃ、ない』


 ギギギギギ、ビシビシ、グギギ。

 全身を軋ませ、シグルドリーヴァは立ち上がる。部品の四割を失った身体で、シグルドリーヴァは残された左手で大剣を握る。


『これ、が……私の、奥の手だ!!」

「なっ……」


 シグルドリーヴァは、大剣を振り上げた。

 ゴエモンは、すぐに反応できなかった。

 何故なら、あれだけ損傷していたシグルドリーヴァの躯体が、一瞬で『修理』されたのだ。まるで魔法のように、シグルドリーヴァのボディが発光、気が付くと、あれだけ損傷していたボディが完全に復元していた。


 そして――――ゴエモンの身体は、一瞬で斜めに両断された。

 双剣を構えたが、『魔愚真(マグマ)神剣(しんけん)ベアー・オブ・カリスト』の重さと勢いに負け、一瞬で叩き折られたのだ。

 ゴエモンの身体がずり落ち……地面に転がった。


「……いったい、何をしたんじゃ?」


 純粋な疑問だった。

 シグルドリーヴァは、無傷でゴエモンを見下ろし、自分の長い銀髪を摘まむ。


「センセイのかけた保険だ。ボディの一部……この場合は『髪』をセンセイに切って渡し、私たちの合図でセンセイは『髪』に『修理(リペア)』を使う。すると、切られて修理された髪は私たちのもとへ戻り、ボディの損傷も一瞬で回復する。戦乙女型全員の髪を採取すると言ったときは、さすがに驚いたがな」

「……なるほどのぉ。お前さんも、一人じゃなかったのか……」

「卑怯と言うか?」

「いんや、儂も一人じゃなかったからのう……おあいこじゃ。カッカッカ!」

「ふ……そうか」


 シグルドリーヴァも、ゴエモンも笑った。

 アンドロイドらしくない。まるで人間のような笑いだ。


「……さて、もういいじゃろ。儂を破壊しろ」

「…………いや、ダメだ」

「はぁ?」

「お前の元の躯体データはお前の電子頭脳の中にあるか?」

「お、おい。何言っちょる? 儂を破壊――」

「しない。お前にはまだ利用価値がある。戦ってわかった、お前には心が芽生えている……システムを打ち破り、人の心を持つアンドロイド。私たちと同じだ」

「…………」

「悪いな。お前は破壊しない……生きろ」

「……ッカ」


 シグルドリーヴァは、ゴエモンの半身を掴み、持ち上げる。


「一度、センセイのもとへ向かう……いいな?」

「好きにせい」


 どことなくゴエモンが嬉しそうに見えたのは……きっと気のせいじゃないだろう。


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お読みいただき有難うございます!
テンプレに従わない異世界無双 ~ストーリーを無視して、序盤で死ぬざまあキャラを育成し世界を攻略します~
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