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クラス召喚に巻き込まれた教師、外れスキルで機械少女を修理する  作者: さとう
第九章・【クラン戦乙女ルート*戦乙女型アンドロイドcode00ワルキューレ】
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197、いろいろ言いたいが、情報収集!

 いろいろ言いたいが、情報収集だ……と、考えていた時期がありました。

 戦いは終わり、なぜか俺たちは宴会の主役席で酒を注がれていた。


「さぁ吞め客人、このダイモンを倒した戦士とその仲間。我々オーガ族はお前たちを同志と認め歓迎しよう!!」

「……ええと、ありがとうございます」


 キキョウに斬られた傷がすでに完治したダイモンが、大相撲の優勝杯みたいな杯を俺に押しつけて酒を注いでくる……つーかこんなに呑めないっつの。

 ゼドさんはオーガ族の酒に興味津々で、優勝杯片手に満面の笑みを浮かべてるけどさ……。


 ダイモンは、優勝杯を掲げ、町の中央広場に集まったたくさんのオーガたちに演説した。

 

「新たな同志に……乾杯!!」


 そして、優勝杯を一気に飲み干し……オーガ族の野太い大歓声が上がった。

 こうして、歓迎会という名の宴会が始まってしまった……。

 ダメだコリャ。今日は話を聞けそうにないぞ。


「セージ、今日はもう吞むしかねぇな!!」

「ゼドさん、ご機嫌っすね……」

「そうか? ガッハッハ!! ちとオーガたちと飲み比べしてくらぁ!!」


 ゼドさんは、上機嫌でオーガたちの輪に加わる。

 ルーシアとキキョウは静かにチビチビ吞み、三日月とクトネは居住車からネコたちを呼び、料理にあった焼き魚を食べさせている。

 アルシェは、いつの間にか酔っ払ってオーガに絡んでいる……あいつ、酒癖悪いの忘れてた。

 ブリュンヒルデとジークルーネは馬の世話をし、ごま吉とジュリエッタにエサを食べさせている。


「まぁ、今日くらいいいか……」


 つーかこの優勝杯、デカすぎて吞みにくいっつの!!


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「…………」

『…………』

「…………あれ?」

『おはようございます。センセイ』

「…………ブリュンヒルデ? あれ、ここは……っつ」


 頭痛い……飲み過ぎたのか?

 

「あいてて……つーか、なんだ? 昨日の記憶がない」

『センセイは、オーガ族のアルコールを摂取後に酩酊、意味不明な言動と行動を繰り返しました』

「…………まじで」

『はい。その後、ルーシアとキキョウに酒を無理やり吞ませていました』

「…………」


 身体を起こすと、どうやらベッドの上にいるようだった。

 居住車ではない、オーガ族の町にあるベッドなのか。オーガ族専用だからかベッドがアホみたいにデカい。大人5人は余裕で寝転べそうだ。


「いてて……軽い二日酔いだな。ブリュンヒルデがここまで運んでくれたのか?」

『はい。着衣が汚れていたので脱がし、ベッドへ寝かせました』

「え……うぉっ!? は、裸じゃないか!!」


 俺は素っ裸。パンツも履いていなかった。

 おいおいまさかブリュンヒルデさん、俺のパンツも脱がせたのか!?

 そして。


「ん、んん~……朝か」

「ふぁ……私としたことが、飲み過ぎたようです」

「え」


 ベッドから、素っ裸のルーシアとキキョウが顔を出した。

 

「…………」


 ぷるんっ、ぽよんっ……二人とも素っ裸。


『おはようございます。ルーシア、キキョウ』

「ああ、ブリュンヒルデ……おはよう」

「おはようございます……うぅ、あたまいたい」

「……………」


 この状況、かなりまずい。

 

「ああセージ、おは…………」

「セージさん? ああ、おは…………」

「……………おはようございます」


 硬直するルーシアとキキョウ。

 裸の自分、そして裸の俺、ベッドで3人……ま、そう考えちゃうよね。


『朝食の支度ができています。着替え、リビングに集合を』


 朝ご飯……なにかなぁ?


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 リビングでは、ダイモンがエプロンを着けて料理をしていた……朝からなんだよ、マジで。

 クトネたちも困惑し、やたらデカい椅子に座って料理を待っている。


「起きたか。もうすぐ準備が終わる、座って待っててくれ」

「は、はぁ……その、ダイモン、さん、が……朝ご飯を?」

「ああ。そうだが?」

「…………」


 とりあえず座り、ダイモンが卵を焼く姿を眺める。しかもめっちゃ様になってる……すげぇ。

 美味しそうな料理が完成し、ダイモンを含めた全員で食べる。ちなみにここ、ダイモンの家らしい。

 

「う、美味い……」


 ダイモンのご飯は、めっちゃ美味しかった。

 食後のお茶を飲み終わると、ダイモンが言う。


「ところで同志たち。お前たちは人間のようだが、何をしにここへ来たのだ?」


 エプロンを外せエプロンを。

 つーか、こいつがオーガ族最強の戦士なんだよな? キキョウがあっさり倒したから強いとか弱いとかわからなかった。

 とりあえず、ここに来た目的を説明する。


「………なるほど。オーガ、ラミア、龍人を倒して王になるとはな」

「ああ。一応キキョウがあんたを倒したけど、何か手続き的なことは必要なのか?」

「いや、そんな必要はない。キキョウ殿がオレを倒した時点で、オーガ族の敗北は決まった。オーガ族は、今回の王争奪戦はリタイヤだ」

「じゃあ……」

「うむ。オーガ族はキキョウ殿に従おう」

「では、最初の命令です。私ではなくセージさんに従いなさい」

「わかった」

「え、ちょ、キキョウ!?」


 お茶を啜りながらあっけらかんと言いやがった。

 ちなみに、朝の『裸ベッド事件』はなかったことになっている。


「では同志よ。オーガ族はお前に従おう」

「ど、どうも……とりあえず、ラミア族や龍人族の情報をください」

「わかった」


 場所をリビングではなく客間に変え、ダイモンの話を聞くことに。

 

「まず、ラミア族だが、奴らは魔術とは違う妖術を使う」

「妖術?」

「ああ。魔術は属性に縛られるが、妖術にはそれがない。オレらも詳しいことは知らんが……毒を使ったり幻覚を見せたりするらしい。直接的な攻撃は、手に持った武器や強靱な尾による締め付けだな。特に、エキドゥナの尾に捕まったら最後、力自慢のオーガでさえ絞め殺せる」

「こわっ……」

「そして龍人族は、その名の通りドラゴンの血を引いた種族だ。オーガ族の身体能力に、ラミア族の妖術を兼ね備えた種族と思えばいい。ハッキリ言って強敵だ。さすがのオレも5人同時に相手はできない。それと、龍人族最強の戦士ヴァルトアンデルスは、ドラゴンに変身できるそうだ。だが、用心深く勝利を確信した時しか表に出てこない」

「なーんじゃそりゃ、臆病モンか!!」


 ゼドさんが言う。

 いや、勝つための手段だろう。臆病とは違う。


「地図はあるか? ラミア族の拠点なら数カ所は知っている。そこに向かえばエキドゥナの情報が手に入るかもしれん。ヴァルトアンデルスについては不明だ。ここ数百年、見てすらいない」


 ダイモンは、俺が渡した地図にマークを入れて俺に返す。

 

「とりあえず、こんなところか。聞きたいことはあるか?」


 質問タイムだ。

 みんながダイモンに質問し、わかる範囲でダイモンは答える。

 エキドゥナやうヴァルトアンデルスの強さ、これまで受けたラミア族の攻撃、ラミア族の弱点、このラミュロス領土にネコはいないのか、などなどだ。

 ネコはともかく、聞くべきことは聞いた。


「さて同志よ。オレたちはこれからどうすればいい? お前の指示に従おう」

「んー……じゃあ、いつも通り生活してくれ。助けが欲しい時に呼ぶからさ」

「……わかった。従おう」

「よろしく」


 ダイモンと握手し、話は終わった。

 次の標的はラミア族だな。ダイモンから教えてもらった拠点を回ってみよう。

 というか、オーガ族かここまで楽勝なら、ラミア族も簡単かも。


 なーんて……そう甘くはないんだよなぁ。

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