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クラス召喚に巻き込まれた教師、外れスキルで機械少女を修理する  作者: さとう
第九章・【クラン戦乙女ルート*戦乙女型アンドロイドcode00ワルキューレ】
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188、地下通路

 翌日。

 キキョウは顔を隠すのを止め、黒い編み笠は紐で引っ掛け、頭の後ろに置いていた。

 今日は買い出しをして、そのまま遺跡に出発する。朝食は町の露店で済ませることにした。

 

 朝食と買い出しを済ませ、町を出る。

 向かうは、ラミュロス領土へと繋がる遺跡だ。

 俺は御者席に座り、手綱を握るブリュンヒルデとのんびりしていた。


「それにしても、キキョウはすんなり馴染んだな……」

『センセイのおかげです』

「そ、そうかな……どっちかと言えば、ごま吉や猫たちだと思うが」


 居住車内では、動物に囲まれて笑うキキョウや、キキョウと楽しそうに話すクトネやアルシェの姿があった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 昨夜は、素顔を晒したキキョウと話した。

 キキョウは、二階の空き部屋の一つを使わせることにした。

 昨日のうちに宿から荷物を引き上げ、特に仲間と交流することなく部屋に籠ってしまう。何度か様子を見に行ったが、座禅のような座り方で微動だにしなかった。

 なので、刺客を放った。


『きゅう』『もきゅう~』

「…………」


 座禅を組むキキョウの部屋に、ごま吉とジュリエッタを投入したのだ。

 初めて見るキキョウに興味津々なのか、二匹はのそのそとキキョウにじゃれつく。


「…………」

『もきゅ?』『きゅうう』

「…………ふふっ」


 おお、キキョウが微笑んだぞ。

 二匹の頭をなでなでしてる。


「セージさん、気になるのでしたら中へどうぞ」

「……バレたか」

「当たり前でしょう。この子たちは守護獣ですね? なぜ二匹いるのでしょうか?」

「ああ、旅の途中で拾ってな……」


 部屋に入り、ごま吉を抱っこして座る。

 ジュリエッタはキキョウにじゃれつき、おなかを見せて甘えていた。


「何度も言うけど、お前が女だってことは誰にも言ってない。ブリュンヒルデやジークルーネは最初からお見通しだろうし、三日月は鼻が利くから……」

「もういいです。それより、私のあげた剣は使っていますか?」

「ああ。さっきは言いそびれたけど、あれがなかったらマジで死ぬところだったんだ」


 せっかくなので、これまでの旅の話をした。

 フォーヴ王国で超野獣王アルアサドやその部下と戦ったこと、ディザード王国でオストローデ王国の秘密兵器『ウロボロス』や、アンドロイドのハイドラと戦ったこと、ユグドラシル王国でライオットと戦い死にかけたこと、その後すぐに巨大兵器『カラミティジャケット』と戦ったことを話した。


「と、戦いの連続だった……いやはや、みんながいなかったら何度か死んでるわ」

「…………」

「ん、どうした?」

「いえ…………とても楽しそうだな、と」

「ははは。楽しいかどうかはさておき、強敵との連戦だ。たぶん、これからもっと大きな戦いになる。キキョウに鍛えてもらってもっと強くならないと」

「…………いいでしょう。厳しくいきますよ」

「ああ、頼む」

『きゅう~』『もっきゅ~』

「よしよし、ふわふわな奴だよ。ほらキキョウ、ジュリエッタが腹を見せてる、なでてやってくれ」

「え……こ、こうですか?」


 キキョウは、ジュリエッタのお腹をサワサワなでた。

 ジュリエッタは、気持ちいいのかトローンとしてる。すると、部屋に三日月とアルシェ、シリカを抱いたクトネが入ってきた。


「せんせ、楽しそう……」

「そーよそーよ! アタシにも抱っこさせなさい!」

「いやはや、あの『夜笠』がジュリエッタをなでなでするとは……」


 アルシェにごま吉を渡し、三日月はキキョウの隣に座った。

 クトネもシリカを抱っこしたまま座る。


「わたし、三日月しおん。しおんでいいよ」

「し、シオン……」

「アタシはアルシェよ。あんたの名前は?」

「き、キキョウです」

「キキョウね。よろしくっ!」

「アルシェさん、ホントに怖いもの知らずというか、フレンドリーというか……あ、あたしはクトネですー」


 すると、女子会が始まってしまい、俺の居場所がなくなった。

 立ち上がり、部屋を出てポツリとつぶやく。


「ゼドさんとルーシア誘って、軽く飲みに行くかな」


 あとは仲良く、ごゆっくりどうぞ……。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 てな感じで、キキョウは馴染んだ。

 馴染んだと言っても、アルシェやクトネの問いにボソッと返すくらいだが、今までみたいに編み笠を被って無視するよりは全然ましだ。


「そういえば、オルトリンデたちは元気かなぁ」

『問題ないと考えられます』

「まぁ、どんな敵が出ようと瞬殺しそうだな。ライオットもいるし」

『はい。オルトリンデお姉様とヴァルトラウテお姉様の連携は最強です。現在の私では勝率がほぼ0%です』

「前はバグってたしなぁ」

『はい』


 他愛ない話をしながら、馬車は進む。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 半日後。

 オリジンが教えてくれたという遺跡に到着……遺跡?


「な、なぁブリュンヒルデ……ここ、だよな?」

『はい、センセイ』


 俺の見間違いでなければ、何もない更地なんですが……。

 遺跡どころか建物すらない。街道から外れた林の中で、ラミュロス領土に続く断崖絶壁が見える。

 ラミュロス領土は不可侵地域と聞いたが、不可侵もなにも道がない。

 断崖絶壁の向こうに陸がある。こんなのどうやって進めというのか?

 

「おいおい、まさか穴を掘れとでもいうのかよ?」

『…………』


 御者席から降りると、ジークルーネも降りてきた。


「センセイ、どうやら地下通路があるみたい」

「地下通路も何も、それっぽい目印もなんにもないぞ」

「うーん、完全に土で埋まってるね。場所は間違いないんだけど……」

「掘るしかないのか?」

「うん。あ、そうだ。お姉ちゃんなら開けられるかも!」

「え、ブリュンヒルデが?」

「うん。お姉ちゃんお姉ちゃん、ちょっと来て!」

『はい、ジークルーネ』


 ブリュンヒルデとジークルーネが何かを話し合うと、ブリュンヒルデはゆっくり歩きしゃがむ。そして、いきなり土の中に腕を突っ込んだ。


「ちょ、ブリュンヒルデ!?」

「大丈夫。お姉ちゃんに任せて」


 おいおい、ブリュンヒルデが腕を肩まで突っ込んでるぞ。おかげでお尻を突き出すように寝そべっている。

 ジロジロ見るのも悪いと思い、顔を逸らした。


『見つけました。このまま引き上げます』

「え」


 すると、ビシビシビシっ!! と地面に亀裂が入る。

 ブリュンヒルデの腕が持ち上がると、地面がボゴボゴっ!! と割れた。そして……地下へ続く道が現れたのである。

 つまりブリュンヒルデは、地面に埋もれた地下通路の扉を、地面ごと持ちあげたのだ。

 とんでもない力技だよ……。


「お姉ちゃんの腕の長さ程度に埋まっててよかったぁ。もっと深ければ、最悪扉を破壊しなくちゃいけないところだったよ」

「そ、そうなのか……」

『任務完了です。では、行きましょう』


 こうして、ラミュロス領土までの道が開かれた。

 たぶん、戦いは避けられない。俺もがんばろう!


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お読みいただき有難うございます!
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