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クラス召喚に巻き込まれた教師、外れスキルで機械少女を修理する  作者: さとう
第八章・【オルトリンデルート*大魔王サタナエル】
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167、ヴァンピーア王国

 15箇所目の遺跡調査を終えたオルトリンデ一行。


「はぁ~……ったく、碌なモンがねぇな」

「仕方ありませんわ。そう簡単に見つかるはずありませんもの」

「うっす!!」

「妹さん、ですよね……」


 女神の剣からもらった地図を基に、遺跡調査を進めていた。

 成果はイマイチだ。本当にただの遺跡か、アンドロイド軍が造った『兵器製造工場』のどちらかしか見つからない。しかも製造工場は完全に朽ちてガラクタしかなかった。


「センセイのヤツは、本当に強運なんだな」

「ええ。ブリュンヒルデちゃんにジークルーネちゃん、【戦乙女の遺産ヴァルキュリア・レガシー】をいくつも発見してますからねぇ……わたくしたちの運がないだけかもですが」

「ちっ……」


 現在、次の遺跡に向かうため、居住車内で地図を広げている。

 細かい場所はそこそこ周り、いくつかの可能性が浮上してきた。


「まず、ヴァンピーア領土にレギンレイブがいねぇ可能性もある」

「ええ。その可能性も強いですわね」

「え……妹さん、いないんですか?」

「可能性だ。もしかしたら、この領土にいないかもしれねぇ」


 セージたちも、マジカライズやフォーヴ、ディザードやユグドラシルを全て調査したワケではない。もしかしたら、今までの旅で見落としがある可能性も否定できない。

 そして、遺跡荒らしの件もある。


「遺跡荒らしにも遭わねぇし、アタシらってホントに持ってねぇよな」

「そうかもですわね……ふふ、ちょっぴり面白いですわ」

「笑えねーよ……」


 これには、オルトリンデも苦笑した。

 エレオノールは、ピーちゃんを抱きしめながら地図を眺めている。


「次はどこに行きます?」

「そーだな……」


 このまましらみつぶしに探すのもいいが、効率が悪すぎる。

 どうしたものかと、4人は思案する。

 すると、意外な声が上がった。


『きゅぴー』

「わわ、どうしたのピーちゃん?」

『きゅっぴ!!』


 エレオノールの胸からピーちゃんがテーブルの上に飛び降り、地図の上をペタペタ歩く。

 そして、地図の一部をペシペシ叩き始めたのだ。


「ど、どうしたのピーちゃん」

『きゅぴ!!』

「ん……なんだ? ヴァンピーア王国?」


 ピーちゃんがヒレでペシペシ叩いたのは、ヴァンピーア領土の中心にして主要国家である『ヴァンピーア王国』だった。

 地図には、王国内に遺跡があることが示されてる。


「なーるほど。おいピー助、ここに行けってことか?」

『きゅぴーっ!!』

「面白ぇ。いいぜ、オメーの勘を信じてやる。ライオット、進路をヴァンピーア王国へ向けろ」

「うっす!!」

「お、お姉さま!?」

「オルトリンデさん!?」


 さすがに、ヴァルトラウテとエレオノールは驚いた。

 だが、オルトリンデは特に気にしていない。


「どうせ調べるんだ。別にいいだろ」

「……はぁ、わかりましたわ」

「え、え……で、でも」

「ウダウダ言うな。もう決定だ」

「はぅぅ……」


 こうして一行は、ヴァンピーア王国へ。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 ライオットが居住車を引いて進むこと数日。

 一行は、ヴァンピーア領土の王が住む国である、ヴァンピーア王国へやってきた。

 

「見えてきました、ヴァンピーア王国です!」

「ああ。んなことより地図を確認しろ。このあたりにいくつか小さい遺跡があるようだぜ」

「はぁ······お姉さま、エレオノールちゃんの気持ちを考えてくださいな」

「はぁ?」


 仲間との旅にワクワクしてるエレオノールをぶった切るオルトリンデを、ヴァルトラウテは強めに叱咤する。

 だが、オルトリンデは構わず続けた。

 

「いいから見ろ。地図を見ると、町中に1つ、外に8つある。町を拠点にして手分けして探すぞ」


 ため息を吐きつつヴァルトラウテは同意し、エレオノールは苦笑した。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 ヴァンピーア王国。

 『大魔王(サタン・オブ・サタン)サタナエル』が治める王国で、吸血鬼の住まう王国。

 王国の中心にサタナエルの住まう『夜王城』があり、そこを中心に円が広がるように、吸血鬼たちの住居がある。

 もしセージや三日月がいたら、ドーナツのような王国だなと感想を漏らすだろう。

 ちなみに、位の高い吸血鬼ほど、夜王城の傍に住居を構えることができる。

 

「そーいえばエレオノール、オメーの吸血鬼としての位は?」

「わ、わたしですか? ええと······一応、『大公』です」

「大公と言うと······まぁ、最高位ではありませんか」

「は、はい······ギルドの人たちがサタナエル様に申請したみたいで、通っちゃいました」


 つまり、魔王、大公、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の順番から2番目である。

 夜王城に居を構える吸血貴族たちより上の位だった。


「じゃあオメー、領地を貰えるし貴族暮らしもできるんだろ? なんで冒険者やってんだよ」

「······わたしには誰も近づけませんし、冒険してた方が楽しいから。それに······」

 

 いつか、自分の力でも眠らない人たちに会えるかもしれない。


「それに? なんだよ」

「······いえ、もう叶っちゃいましたから」

「?」


 オルトリンデとヴァルトラウテは首を傾げる。

 エレオノールは笑い、ピーちゃんを抱きしめる。


「·····まぁいい。とにかく、町のギルドに居住車を止めて、二手に分かれて遺跡調査だ」

「はい。ではわたくしはエレオノールちゃんと一緒に行きますわ。お姉さまはライオットさんとお願いしますわね」

「おう。なんかあったら通信しろ」


 居住車は、ヴァンピーア王国へ。

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お読みいただき有難うございます!
テンプレに従わない異世界無双 ~ストーリーを無視して、序盤で死ぬざまあキャラを育成し世界を攻略します~
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