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クラス召喚に巻き込まれた教師、外れスキルで機械少女を修理する  作者: さとう
第七章・【戦乙女型アンドロイドcode02・03 オルトリンデ、ヴァルトラウテ】
129/310

129、謁見前夜

 弱い酒でも、飲めば酔う。

 ゼドさんは平気そうだったが、俺はだいぶ酔ってしまった。気が付くと部屋は暗く、ゼドさんの部屋のソファで眠ってしまった。しかも毛布が掛けてある……ゼドさん、優しい。

 当のゼドさんは、ベッドでイビキを掻いて寝ていた。

 寝てるゼドさんに頭を下げ、音を立てないように部屋を出る。


「あ、戻ってきたのか」


 ベッドの上には、俺の服が畳んで置いてあった。

 どうやら洗濯が終わったらしい。俺はシャワーを浴びる。ちなみにシャワーの水は大樹ユグドラシルが吸い上げた水らしい。どうやって水を引いてるのかは知らんけどね。

 シャワーを浴びてさっぱりしたが、眠気も引いてしまった。


「えーと……今は夜の9時くらいか。ルーシアたちはもう寝たかな」


 そういえば、ホルアクティの操作バンドに通信機能があった。

 空中投影ディスプレイを呼び出すと、電話マークが追加されている。

 電話マークをタッチすると、通信可能な相手の一覧が表示される。


「えーと、ブリュンヒルデとジークルーネ、あとルーシアか」


 アンドロイド2人は当然として、ルーシアは通信機を持ってる。ディザード王国で渡したのがあったな。

 クトネたちは寝てるかも知れないが、ブリュンヒルデとジークルーネは起きてるだろう。

 

「……よし。ちょっと連絡してみるか」


 そうだな……ルーシアは寝てるかもしれないし、ブリュンヒルデは……うーん、ここはジークルーネで。

 ジークルーネの項目をタッチすると、すぐに繋がった。


『こんばんはセンセイ、どうかしましたか?』


 ディスプレイには、ジークルーネの姿が映った。

 背景が暗いので外にいるのかもしれない。


「いや、そっちの様子が気になってな。何か変わったことは? みんなはもう寝たか?」

『変わったことは特にないですね。みなさんならもう寝ちゃいました。わたしとお姉ちゃんは外でメンテナンス作業をしてます』

「あ、そうか。邪魔して悪かった。通信機能を使うの初めてだし、様子見がてら試してみたんだが……感度良好、よく聞こえます! なーんてな」

『あはは。わたしも、センセイの顔と声がよく見えて聞こえます。こちらは心配ないので、センセイも頑張ってくださいね』

「ああ、ありがとう。そっちも気を付けろよ」

『はい、センセイ』

「ブリュンヒルデにもよろしく伝えておいてくれ。じゃあおやすみ」


 通信を切る。

 どうやら、あっちは平和に過ごしているようだな。


「さて、寝るか……」


 俺はベッドに潜り込み、目を閉じる。

 酒が入っているおかげか、すぐに睡魔がやってきた。

 明日は、精霊王オリジンとの謁見だ。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 翌日。

 着替えをしてゼドさんの部屋へ行くと、ゼドさんも起きて着替えを済ませていた。

 運ばれてきたエルフ料理を食べ(やっぱり昆虫料理。俺は食べられるのだけ食べた)、宿を出ると、アシュマーさんと数名の護衛が待っていた。


「おはようございます。ではこれより精霊王オリジンのもとへ案内します。失礼のないように」


 いきなりだな……朝っぱらから真面目すぎる。

 とはいえ、ここに来た理由はオリジンの依頼だ。さっさと終わらせてしまいたい。

 なので、軽く会釈してアシュマーさんたちと歩き出した。

 現在の位置は中層。これから上層、そして最上層へと移動する。

 中層のエレベーターに乗り上層へ。


「ゼド様。オリジン様はドワーフの技師としての貴方様に期待しておられます」

「そうらしいな。なぁアシュマーよ、オリジン王はワシに何をさせるつもりなんじゃ?」

「それはわかりません。ですが、オリジン様の願いは『ドワーフの技師をここに連れてくるように』とのことです。我々はその命令を実行するだけでございます」

「ふん……まぁいい。だが、ワシにもできねぇことはある。それだけは理解しておけ」

「はい。ですが、それもオリジン様が判断すること」

「……ったく、精霊王オリジンってのはどれだけ偉いんだよ」


 まるでアンドロイドみたいに忠実だ。

 まさか、エルフはアンドロイドだった……なんて言わないよな。


「間もなく最上層です。この階層はエルフの王族のみ立ち入りを許可されています」


 最上層へ到着すると、護衛はエレベーターから降りず、アシュマーさんだけ降りた。

 エレベーターを降りてすぐのドアを開けると……そこは。


「な……なんじゃこりゃ!?」

「ほぉ、なるほどな」


 驚く俺、納得するゼドさん。

 エレベーターホールから出ると、そこは『枝』の上だった。

 そして、枝の先にはデカい城が建っている。まるで鳥小屋のような、でも形は城だ。

 枝と言っても、横幅の広さはハンパない。まるで高層ビルを横倒しにしたような長さと太さの枝だ。

 周囲は青空、見上げると緑の葉っぱが太陽の光を遮ってる。マジでここはユグドラシルの枝の上だ。

 枝もさることながら葉っぱもデカい。1枚1枚が小型船のように大きい。ホントに規格外の樹木だよ。


「この先が『精霊城』です。エルフ王族の住居であり、精霊王オリジンの間に続く道」


 すると、前から完全武装したエルフがやってきた。

 いまさらだが、エルフはみんなイケメン美女揃いだ。ここまでテンプレもないだろうよ。

 そして、完全武装エルフは右手を胸に当てる。


「精霊王と共に!!」

「「「「「精霊王と共に!!」」」」」

「うおっ」


 やべ、声が出ちまった。

 だっていきなりだし……って、誰も俺のことを見ていない。

 本当に、ここに来てから相手にされてない気がする。


「では、これより精霊王オリジンに謁見します」


 完全武装エルフが左右に分かれ、俺とゼドさんのガードを固める。

 アシュマーさんが先頭で、その後ろが俺とゼドさん、左右と後ろを完全武装エルフが歩くというスタイルだ。やっぱりこれ護送だろ。

 でも、緊張してきた。

 城の前まで歩くと、初めてアシュマーさんに話しかけられた。


「武器はこちらで預かります」

「あ、はい」


 俺はキルストレガ、籠手、レーザーナイフを預ける。

 ビームフェイズガンはガンベルトに入れたままにしてみたら、案の定なにも言われなかった。いざという時の用心として銃だけでも携帯しておきたい。銃の存在がない世界だから、これが武器だとわからないのは当然だ。ちなみにゼドさんも背負っていた大斧を預けた。

 そして、城門が開く。


「セージ、気合い入れろよ」

「はい……」


 ついに、精霊王オリジンとの謁見だ。

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お読みいただき有難うございます!
テンプレに従わない異世界無双 ~ストーリーを無視して、序盤で死ぬざまあキャラを育成し世界を攻略します~
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