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主な登場人物紹介
主人公
名前 黒米 嶺奈
ニックネーム れーな(れいな)、れい(れー)ちゃん、れいな(れーな)ちゃん、くろめし
学年 中学3年
誕生日 7月7日
身長 149cm
学校に通うJC。
親は両方仕事で単身赴任中。
特技 料理から洗濯など家事全般こなすこと。
性格 とにかく自分に気を遣い、自分を磨くことを怠らない可愛さを追求している
モットーはとにかく明るくいること、笑顔でいること。
密かによく家に入り浸っている兄、夏向の友人の蓮斗に想いを寄せている。兄のことも大好き
勉強の方は全然だめ。容量は悪くないので、丁寧に教えれば理解出来る。運動はそこそこ出来る
主人公の兄
名前 黒米 夏向
ニックネーム かなた、かなたくん、かなくん、黒米くん、おにぃ
学年 高校2年生
誕生日 8月5日
身長 168cm
嶺奈の兄。高校2年生、
頭は普通ぐらいだが、運動神経抜群。料理、洗濯などの家事全般こなせるがほとんど嶺奈に任せっきり。そこそこイケメン、割とモテる。妹思いで、とても妹を大事にしている
嶺奈のことが大好き。なので、嶺奈を誰にも渡したくない。接近するものはいくら親友でも許したく無い。
主人公の兄の友人
名前 佐伯 蓮斗
ニックネーム れんくん、れんと、佐伯くん
学年 高校2年生
誕生日 5月20日
身長 171cm
佐伯蓮斗を知らない人はいないくらい学校の人気者で女子は誰もが皆恋してしまうほどのイケメン。友人は多く居るが、夏向と1番仲良し。学校一のイケメンで1番モテる。頭がいい、運動神経抜群
嶺奈のことが大好き。嶺奈に会う為に友人である夏向の家に入り浸っている。
親は離婚していて父親は大きな会社の社長でほとんど家におらず1人のことが多い。
嶺奈に勉強をおしえている
主人公のクラスメイト兼友人
名前 松垣 新
ニックネーム 松ちゃん、まつ、あらた
学年 中3
誕生日 4月1日
身長 174cm
まつは 仲の良い男友達の中の一人で、その中でも1番仲が良い。
唯一の女の子の友達
名前 松野 苺花
ニックネーム いちかちゃん、いっちゃん、いちご
学年 中学校3年
誕生日 3月14日
身長 158cm
嶺奈の唯一の女の子の友達。蓮斗は嶺奈達の代にも人気で蓮斗とと仲の良いことで女の子たちは避けるようになったが、唯一苺花だけは離れていかなかった大事な友人。
名前 渡来 楓
ニックネーム 渡来さん、楓ちゃん、楓さん
学年 高校2年
誕生日 11月12日
身長 160cm
夏向の彼女。
超美人。すごくモテる。
蓮斗が元は好きだった。でも見向きもしない蓮斗に冷め、夏向と付き合うことに。
その他嶺奈のクラスメート、
夏向のクラスメート
夏向の友人
蓮斗が好きな親衛隊
「...れーな、ココア。」
帰るなり...いや、自分の家ではないのに自分の家のように帰ってくる佐伯蓮斗。蓮斗が家のように帰る場所は黒米家。この家の長男の夏向の友人。そして夏向が居なくても勝手に入ってくる蓮斗の目当ては、この物語の主人公、夏向の妹、嶺奈。
「...もう、れんくん。帰ってきてすぐにそれはないよ、ただいまくらい言ってよ。」
「...ただいま。れーな。」
「うん。おかえり。...はい甘いココア。」
甘いのが好きな蓮斗には毎日帰ってくる度に嶺奈特製のものを作るのも今や日課。
さて、なぜ毎日蓮斗が黒米家に入り浸るようになったのか。それは小学生低学年の時まで遡る。夏向が初めて蓮斗を家に招き入れたとき、学年が2つ下の嶺奈が兄の周りをうろうろする姿が可愛くて、一目惚れだった。でも兄を大好きすぎる嶺奈をどうしても自分に振り向かせたくなった蓮斗は夏向と1番の仲良しとなり、何かと口実作りで家に来るようになった。ほぼ毎日のように中学校に上がった頃からは上がり込むようになっていた。それと同時に黒米家の両親が両方単身赴任で家を開けることになってしまい、2人もついて行く話が出たようだが、夏向も嶺奈も転校するのが嫌だと頑なな拒否をしたため、2人は行かず両親だけが単身赴任することになった。蓮斗はその時期からほぼ毎日来ていて両親からの信頼も得ていて、夏向と嶺奈をよろしくされている。その結果冒頭のような、毎日の日課になっているのだ。
「...れんくん、お兄は?」
「...夏向はまだ学校だと思うぞ。あいつ友達多いから話してる。」
「……そっか。じゃあれんくんこれもどうぞ。」
相変わらずお兄が大好きな嶺奈。今くれたこのお菓子も夏向の好きなやつだ。夏向にあげたかったはずだ。でも張本人は友達...と嶺奈には言ったが彼女とデート中だ。兄が大好きな嶺奈への優しく悲しい嘘。
「...これ、美味いな。さすがれーな。」
「ありがと。れんくん食べちゃっていいよ?」
有難く貰ったお菓子を頂く。本当は全部兄にあげたいようだ。毎日本当は作っているお菓子は兄にあげたいのに帰ってこない兄。だから蓮斗に全てくれる。まだ蓮斗に対しても大好きなお兄ちゃん的な存在であることは変わらない。何かしらきっかけがないと代わりえないであろう。
「...くろめしー!はよ。お前の兄さんって彼女とかいるの?」
「...まつおはよ。なんで?知らないけど...」
「...んーなんかこの前女子と歩いてんの見てさ。それもかなり美人。」
「そう...なんだ。でもお友達じゃない?れんくんがお兄は友達いっぱいいる言ってたし?」
学校で嶺奈の1番仲の良い男友達の松垣新に気になることを言われて嶺奈は不安になった。
「...佐伯先輩がそう言ってたんならそういうことじゃない?あの先輩、れーちゃんには嘘つかないと思うよー?よっぽどじゃない限り?」
「...だよなー。あの人、くろめしのことしか見てない人だしなー。」
まつと女の子の中で1番仲の良い友達の松野苺花が納得し合うように話し込んでいる。その答えに嶺奈もホッとしてる。しかし、蓮斗や夏向が嶺奈を悲しまないために嘘をつくこともあることを知っている。特に蓮斗は悲しまないためになんでもしてくれるし聞いてくれることも知っている。なのでまつの言ったことは不安だ。
「...いっちゃん、まつの言った人が彼女だったらどうしよう。お兄取られちゃうの?」
「...そうなるよね...でも平気よ、れーちゃんのこと大好きじゃない。お兄さん。」
「嫌だよ、嶺奈のお兄なのに。不安だよ。お兄帰ってくるの最近遅いの。」
「...あれ?でも、いつも佐伯先輩が来てくれてるんじゃないの?」
1度不安になってしまうととことん不安になってしまう。けれど今つかれている優しい嘘もそういう嘘だと信じていたい。
「...来るよ。れんくんは毎日来る。嶺奈が寂しがり屋なの知ってるから。けどお兄が...」
「まっちゃん、れーちゃんのこと不安にさせないでくれる?」
「...くろめし悪い。けど、たとえお前の兄貴が彼女いたとして悲しいかも知れないけど、それ以上に愛してくれる人がお前にはそばに居るだろ。」
不安を取り除こうと必死に明るくかあてくれようとする2人。それはやっぱりありがたい。
「そうね!いてくれるじゃない。佐伯先輩♡」
「...え?そんなんじゃないよー?れんくんは」
「(こいつ無自覚?つうか、佐伯先輩可哀想だな。)」
「(...そーね、この子は恋愛音痴だからね。)」
無自覚で恋愛音痴なこの女。2人は知っている。あのモテ王子蓮斗が何年想い続けているのかを。そしてアタックしているのかも。最近はアタックそんなにしていなくて甘え作戦しているとかそういうことも。
「まぁいいや。それよりいっちゃん、まつ、ありがとう元気出た!」
「...よし、いつものくろめしに戻ったな。それでこそお前だよ。その笑顔。」
「そうね、れーちゃんには笑顔で居てもらわないと。」
笑顔で明るく振る舞うそれが嶺奈の取り柄であるからどんなに悲しくたって不安になったって笑顔でいるんだ。そして彼女がお兄に出来ていたとしたら負けてられないお兄がやっぱり嶺奈が一番だと言わせるために努力は怠らない。それが逆にお兄ではなく蓮斗へのアピールにやその他の男どもへのアピールに繋がってるなんて思いもしない嶺奈であった。
ある日の約束の日、前々から蓮斗と夏向と3人で出かける約束をしていた。だが、前日になって夏向が急遽行けなくなったと言い出した。
「...ごめん、嶺奈。」
「バカ。お兄と行きたかったのに。」
「...悪い、俺抜きで行って。」
自分抜きでいけと言う夏向に呆れかえるしかできなかった、蓮斗。仕組んだのか、完全に忘れて約束したのか彼女とのデートに行くようだ。結局2人で行く直前まで嶺奈と夏向の言い合いが続き、なかなか
出発出来ず時間だけが押す。膨れっ面の嶺奈を連れて2人で結局約束の場所へ出かけた。その場所に着いても兄と来たかった嶺奈は完全に楽しくなさそうだ。蓮斗が楽しませなければこれは楽しくなかったと、このままだと兄、夏向には勝てない。今日こそアピールすべき日であろう。
「...なぁ、俺と2人で楽しもうよ。」
「・・・・・・・・・。」
「...約束破るお兄のことは忘れてさ、俺と2人で楽しもうよ。あいつにさお前居なくても楽しかったよってメールでも送り付けて仕返しはどう?」
ありったけでお兄のことを少しでも忘れさせられるような、そして怒りを発散出来るようなことを提案してやれば楽しもうという気になってくれるだろうか。嶺奈は意外と単純なのでこれで楽しく遊んでくれるだろう。
「...仕返し...いいね、れんくん!そうしよう!」
「よし、じゃあいこう!」
あっさりとのっかってくれる嶺奈にホッとした。これで自分との時間を楽しんでくれる。そして夏向への恨みも晴らせるのでご機嫌であろう。夏向には悪いが、利用させて貰う。今頃、彼女とイチャついてるだろうが、これから楽しくする嶺奈の写真を送らせて貰うが悪いが許してほしい。そう思いながら彼氏とデート風の楽しい写真を撮っては送り付けて嫉妬心を植え付けるんだと言う嶺奈の望み通りしてやっている、自分が1番嫉妬心が生まれていることに気がつきながらも嶺奈の望みに逆らえない自分がもどかしい。ふと考えたら俺はこいつと付き合って万が一結婚とかしたら尻に敷かれると言うタイプなのだろうか。考えただけで腑に落ちない。それでも何故だろうかこいつの笑顔を見てしまうと癒されどうでも良くなる自分がいるのだ。
「...れんくん、送ってくれてる??」
「...うん。送ってるよ。見る?夏向からは返事ないけどね?」
「お兄返事ないのー?まだじゃあ足りないかぁー」
何気にこいつはひどい。彼女とデート中の今だろうと彼女が1番だろうと妹は夏向にとって最高に可愛くて大事で大事で仕方がない存在でたとえ親友でも渡したくないと思うほどに大事なやつをこんな彼氏デート風の写真を送り付けられるのはかなり辛いものでは無いかと。返事がないからとさらに送り付けようとしているこの妹。だいぶ鬼畜すぎる。この妹のせい蓮斗は夏向が蓮斗が泣きつく姿が目に見えて切なくなった。
「...まだ送んの?次はどんな?」
「うん。嶺奈は怒ってます!次はねぇー♪」
悪魔だこの子...と蓮斗は鳥肌が立ち怖い気分になった。ここまで悪魔な部分を見てしまうと、覚めるのではと思うが、そうでも無いらしい。惚れた弱みだろうか、そんな姿も可愛いと思ってしまうのだ。悪魔ちゃんはどちらかと言うともう俺とのデートを楽しんでくれるようだ。それからはとても楽しかった。実は夏向の返信があったのに気が付かないくらい、2人でデート風の写真を撮ったり(まだ続いていたのか...)、大好きな場所へ2人で行ったり、それはもう楽しくて仕返しの為に送っていた写メのことはすっかり忘れていた。しいてあげるのなら夏向の存在も一瞬消えていた。それだけ楽しかったという事だ。
楽しかったお出かけから帰宅路ににつき、家の目前で気がついた携帯電話。
「...あ。夏向から来てた。」
「お兄?えーもう家に着いちゃったもん。直接聞こう。いるでしょお兄?」
「...あ、いや、まっ...」
止めようとした時にはもう遅い。嶺奈は扉を開け...いや、中から夏向が開けたのだ帰る彼女を送るために。開けようとした嶺奈も開けた夏向も驚いて顔を見合わせポカンとしている。やばいと思ってももう遅い。ポカンとしている夏向の後ろから彼女がひょっこりと顔を出した。完全に計算違い。恐る恐る顔をあげ夏向は蓮斗を見た。「ごめん」と謝ることしか蓮斗は出来ない。
「...お兄その人は誰?」
「え、えっと...と...」
「夏向くんの妹さん??初めまして、夏向くんのか...」
慌てて彼女の口を塞ぐ。お願い言わないでくれという意味を込めて。その行動にムッとした嶺奈はおもわず、
「...なんで?なんでよ、お兄!正直に言ってよ!彼女なんでしょ!?」
「?!...はいそうです。」
「バカ!なんで言ってくれないの?言ってくれた方が良かった。お兄のバカ!大っ嫌い!」
「えぇぇ!大っ嫌いって嘘でしょ、れいなぁ〜!」
「...嫌いだよ!嘘つきお兄!離して!」
泣きつく兄を振り払ってご立腹の嶺奈は兄の横をとおりすぎ家の中に入り自分の部屋にこもってしまう。
「......俺が話してくるよ。バカお兄ちゃん。」
「...バカお兄ちゃんは余計...。お願いします。」
蓮斗の優しさに甘えてお願いしてしまう。喧嘩した時は蓮斗と知り合ってからはいつもそうして仲直りしているようなものだ。ほとんどが夏向が原因で嶺奈が怒っているからだ。
「...ごめん私よけいなことした?」
「...いや大丈夫。言わなきゃならないのはわかってたから。それより帰ろっか。」
「いや、あなた達が仲直りするまで帰れないわ。後味悪いもの。」
「...そうかもしれないけど、今日は帰ろう。1回怒るとあいつなかなか話聞いてくんねぇんだ。後で蓮もだいぶ文句言ってくんだわ。仲直りしたら連絡するから今日は帰ろう。送ってく。」
気にしてくれる彼女の優しさが嬉しいが、これは兄妹の問題で巻き込むわけにもいかない。既に1人は巻き込んでいるが、それは気にならないくらい自然すぎる。彼女まで巻き込みたくなくて納得させて送り届けに家を出た。その間に蓮斗に話を付けていることを願って。
「...嶺奈。俺だよ、れんくん。」
「......れんくんも知ってたんでしょ。」
「...そうだね。」
「...知ってて教えてくれなかった。れんくんもお兄と一緒よ。」
ご立腹の嶺奈は扉を塞ぎ開ける気がないらしい。扉越しに話を進めるがこの様子だと蓮斗にも怒っている。いかに面と向かって話すか。どう話せば嶺奈が機嫌を直してくれるのか考える。
「...そうだね。けどね、俺は夏向とはわけが違うな。俺はさ夏向俺が話すからお前は話さないでくれって口止めされてたんだ。それと...、」
「......それと何?」
「...夏向がなかなか話す気配ないから、話そうかとしたけど、俺にはできなかった。」
ゆっくり言葉を選んで慎重に話し、そっと語りかけるような声で、俺はあなたの味方だと理解して貰えるように。
「...嶺奈はさ、お兄のこと大好きだろ?だから俺が話して目の前で傷ついて欲しくなかったんだよ。」
「...れんくんのその優しさは、嬉しいよ。でも話してくれなかった方が嫌だったもん。」
「...そうだね。ごめんね?どうしたら許してくれてここ開けてくれる?」
扉を軽く叩きながら、語りかける。こんなこと聞いたらとんでもないわがままとか返ってきそうということが目に見えてもご立腹したら機嫌取りしないと兄と仲直りもしてくれないし、蓮斗にもずっと壁一枚隔てて心を開いてくれなくなる。だからどんな答えが返ってきても受け入れなきゃならない。
「...いつも見たいに一緒に寝て?」
「...それだけでいいの?」
「...あと、れんくん一緒にお風呂も入って。」
「....わかった。いいよ。」
了承するとゆっくり扉が開く。扉から顔を出した嶺奈の目には涙が溢れていた。蓮斗を見るなり飛びついて蓮斗の胸で泣き出す。それだけショックだったのであろうか。2つ目のとんでもないわがままはこれを聞かなきゃこのまままで許しくれないであろうと了承したが、蓮斗にとっては相当な生殺しだ。
「...お兄に彼女がいてショックだった?」
「...ショックではなかった。けど言ってくれなかった方がショックだった。」
「そっか。...お兄帰ってきたみたいだよ。仲直りしよう?言いたいこと言って。」
ガチャっと遠慮がちに玄関の開く音がした。仲直りの告げる合図。溢れだしていた涙を拭いて借りていた胸からも離れ、蓮斗と共にリビングへ向かった。そこにはしゅんと縮こまり反省した面持ちの夏向がいた。
「ごめん。彼女のこと言おうとしてたんだ。でも言えなかったんだ。」
「...言ってくれなかったことががショックだった。」
「ごめん。」
「...1週間、家事当番全部やってくれないと絶対許さない。」
妹に逆らえない夏向は聞くことしか出来ない。大好きな妹を怒らせた仕打ち。
「...わかりましたやらせていただきます。」
「...先に風呂よろしく。」
妹の指示に従って家事をやり始めた兄。出来るのに全て任せっきりだった兄。自分が帰っきたら用意されているご飯や風呂綺麗になっている部屋この全てが妹が頑張ってくれていたことなんて思いもよらない。
「...れんくん、お兄の彼女の名前」
「...渡来さん。渡来楓」
「渡来さん...いた。」
兄が家事をしている間に内緒で彼女に連絡し始める嶺奈。
「...あ、もしもしこんばんわ。夏向の妹の嶺奈です。先程はすいません。」
「おい...嶺奈」
「...シッ...兄とは仲直りしました。それだけ伝えたかったです。」
『...そうわざわざありがとう、良かったわ。お兄さんはその様子だと居ないのかな?けど佐伯くんがいるかな?ちょっとだけ話させてくれる?』
と、嶺奈は蓮斗に携帯を渡し変わる。嶺奈には何の話か分からない話なのであろう。蓮斗が百面相してるように見える。
「...あぁ、うん。そういう訳であいつは1週間早く帰宅しなきゃならない。うん、あぁ、来てもいいよ。」
百面相かと思えば急に真面目な話に変わって真剣に話していた。しばらく話すとじゃあねと携帯を切った。そしてもと置いてあったところに何事も無かったように戻し、戻ってきた夏向に気が付かれないように。
「れーなぁー洗ったよ、」
「...じゃあ、沸いたら入ろれんくん。」
「...うん。」
「...はぁ!?待って、一緒にはいるの?!」
問題だらけな発言が聞こえた気がして慌てて聞き返すが、慌てた様子もない2人を見て冗談かと思ったが、、。
「...入るよ。れんくん約束してくれたもん。」
「...はぁ?!蓮斗お前...。」
「...仕方ねーだろ。お前のせいでこうなったんだ口出しすんじゃねーぞ。お前に言われなくても安心しろ手は出さないから。それとたぶん俺泊まり決定な。」
コソコソっと耳打ちされて伝えられたその事実に何も口出しなんて出来ない。「悪い」と謝ることしか出来ない。沸いて2人で行っちゃっている間ご飯を作れと言う妹からのお達しをしている間も不安で仕方がない。そっちが気になって手に着きそうにない。なのに出てくるまでに作れと言うのに手軽に作れるものを作るしかないだろうと、1番手っ取り早くて嶺奈の好きなものはオムライス。手につかない頭で考えながら美味しくつくってやる。
「...お兄ー出来た?ちゃんと。」
「......出来たよ。蓮の分もあるよ。」
「わぁ!オムライスだ!1ポイント。」
ポイント制?!とっこみたくなったが、きっと嶺奈なりの今回の許し方なのであろう。3人で夕飯を食べ、お兄はお風呂へ蓮斗嶺奈は寝室へ。それぞれ寝る準備に入る。もちろん蓮斗は嶺奈の部屋へ。
「...れんくん、好き」
そう呟いて即刻寝る嶺奈。お風呂からの流れといいずっと生殺しだ。好きと言いながら寝る上に服を掴んで離さないし、もう勘弁して欲しい。
「...ったく、俺も好きだけど...な...」
そんなことも知らない、横で寝るこいつは朝まで起きないであろう。俺の苦労も限界も知らないであろう。
「...早く俺を恋人として好きになれ...よ。」
軽く頬にキスを落とし眠る嶺奈の寝顔を見ながら眠りにつく。もちろんドキドキの心臓のせいで眠は浅いが、気分は実は1番よく寝れる。こんな曖昧な関係も長くは続かない。きっと次生殺しされる時は恋人でありたい。その方がまだ耐えるのにも気分が楽な気がする。