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2話 珈琲は甘いのがいい。

件の『友達できた?』事件から一週間が経っていた。

あの日以降は、隣の席の子(失礼な女)には

話しかけられることもなく平穏な日々を

送れている。

まぁ、話しかけられても何も変わらないんだけどね。

ふと、時計を見る針が十二時近くを指していた。

机に置いていた参考書を閉じ、部屋を出る。

んんっーと伸びをした。あと一時間は頑張るか。


「眠気覚ましに、コーヒーでも飲むか」


トントンと階段を降り、一階のリビングに向かう。

コーヒーを飲むと言っても甘いやつしか飲めない。

前にブラックコーヒーを試しに飲んだが

にっがとなってやめた。

飲み物なのに苦いとかわけわからん。

ゴーヤかよ。まぁ、ゴーヤは野菜なんだけどね。

リビングに入るとソファーで妹──凛が寝ていた。

それを横目に、湯沸かし器に水を入れ

スタンドに戻しボタンをカチッと押す。

お湯が沸くまでの手持ち無沙汰な時間を

寝ている妹の隣に座って待つ。

隣を見ると、妹が白いTシャツにホットパンツと言う夏!って感じの格好をしていた。

おいおい、風邪引くぞ。

近くにあったバスタオルをかけてやる。

カチッとボタンが上がる音がした。

マグカップにインスタントコーヒーを入れて

お湯を注ぐ。

ティースプーンでぐるぐると回すとあっという間にコーヒーの完成だ。

そこに俺は、砂糖を1杯、また1杯と入れていく。

合計3杯で、俺好みのコーヒーになり飲んでいると凛がんんっーと伸びをしていた。


「ありゃ?お兄ちゃんどしたの?」


「どうしたのはお前だお前。ソファーなんかで寝てないで部屋で寝ろ。風邪引くぞ。」


そう言うと凛は視線を下に落とす。

そうするとにやにやしながら話しかけてきた。


「バスタオルかけてくれてくれたのお兄ちゃん?」


あぁと小さく返事をすると、うりうりーと肘で突っついてくる。

痛いっていうか恥ずかしいんですが…

突っつくのが飽きたのか私も飲もーと凛はせっせと

コーヒーを準備していた。

マグカップを持ちながら、俺の隣に腰をかける。


「ほんとにどしたの?こんな時間に」


「勉強しててな、その息抜き」


「えらいねー」


「まぁ、こんな時じゃないとしないしな」


今日が夜遅くまで勉強をして、明日を昼まで寝て自堕落に過ごしても月曜日も休みなので

全く無駄にならない!

素晴らしい3連休。なんていいんだ。

一番いいのは毎日勉強する事なんですけどね。


×××


3連休明けの火曜日。

俺は呼び出されていた。


「えっと、何かしました?」


俺を呼び出した、張本人である神山静は

静かに口を開く。


「部活に入らないか?」


「いや、入らないです」


ぼっちということを忘れないで欲しい。

2年生になるともう部活内のグループは

確立しているだろう。

そんなところにぼっちの俺が入れるわけがない。

仮にぼっちじゃなくても入りたくはないが。


「まぁ、そう言わず見学だけでもどうだ?」


「見学だけなら…」


ここで断る理由がないのがつらい。

放課後の予定があれば断れるのだが、生憎

友達が居ないので基本的に放課後の予定というものが存在しない。

もっと言うと、休日も予定は基本的に存在しない。

たまーに、凛の買い物に付き合わされるだけ。


「行こうか」


職員室を出て、階段を上がっているとあることに気づく。

今日も神山先生は、パンツスーツなのだが

階段を上がるたびに尻が強調される。

くっ、くそ!1回見てしまったら視線が

離れなれない。

階段を上がり終えても自然と視線が下に下がってしまう。

傍から見たら、先生の後ろを下を向きながら着いてきてるただのやらかした人である。

自分を客観的することによってなんとか

視線を正面に戻すことが出来た。

あっぶねー。このままだったらなにかに目覚めるところだった…。

尻に思いを馳せてると先生が空き教室の前で止まる。


「着いたぞ」


そう言い、先生はノックもせずに扉を開く。

入って、目に飛び込んだのは1人の美少女だった。

訂正。あの失礼な女だった。


「見学者を連れて来たぞ。ほら自己紹介。」


「2年C組 片桐蓮かたぎりれんってゆーか何部だよここ…」


先生は手元にある時計を見ながら言う。

「それは、彼女に聞いてくれ。私はまだ仕事があるからもう行くぞ」


そう言うと先生は教室を出て行ってしまう。

教室には二人っきり。

カチッカチッと掛け時計の針の音がこの場を支配する。

えぇ、どうしよう。帰りたいなぁ。


「突っ立ってないで座ったら?」


そう言われ、空いている椅子に座る。

空き教室と言うこともあり彼女が座っている椅子、その間に少したて長い机の向かえに

俺が座っている状態である。


「ここ、何部なの?」


彼女は読んでいた文庫本を閉じ、少し不愉快そうに答える。


「文芸部よ」


へぇ。確かに本を読んでいることが部活内容と言うわけか。なるほど。

で、あなたの名前は?

未だに知らない。クラスでは隣の席ではあるがまともに会話をしたことがなく。

知る機会がなかったのだ。


「そういえば、名前なんて言うの?」


水谷織慧みずたにりえ


今度は文庫本を閉じることはなく小さくそう答える。

水谷織慧か。これでやっと隣の席の人の名前が知ることが出来た。

これ以降は特に会話はなく。ただ、時間が過ぎていった。

キーンコーンカーンコーン。

ここで、最終下校時間を知らせる鐘が鳴る。

鐘が鳴るとほぼ同時に水谷は教室を出て行ってしまった。


「俺も帰るか」


×××


家に帰ると、凛がご飯を作って待っていた。

両親は今日も帰りが遅いらしく俺と凛が先にご飯食べることになっている。


「やっと帰ってきた。今日遅かったね。

寄り道?」


「いや、学校にいた。」


「なにしてたの?」


そう凛に言われ、しばらく考えるがよく分からん。

先生に呼び出され、見学させられた。

でも、特に何もやっていない。

なんだったんだあの時間は。


「俺もわからんわ」


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