冒険者の隣人は生きるか死ぬかです 4
木製の長方形テーブルに四人が並んで座り、対面に村人風の青年――――ジンクさんを1人で座らせる形になっている。
この部屋は比較的損傷が少なく、入り口は一箇所のみ。
そこを塞いでしまえば外部からの侵入はほぼ防げる構造になっていた。
道すがら互いの名前に所属など、軽い情報交換の中でジンクさんが異界からの来訪者――――マレビトであると判明。
本格的な情報交換の場が必要だろうと言うことで、兵舎と思われるこの部屋を見つけたのだった。
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「勇者が死んでいる……!?」
衝撃的すぎる情報だった。
世界敵性存在である魔王と相打ちでの死亡。
確かに世界敵性存在との戦闘で有力な人材が居なくなったとは聞いていたが、まさか勇者まで居ないとは!
それも話から想像するに、自称勇者や転生勇者ではなく世界方正存在、いわば純正の勇者だ!
世界そのものを根本から崩すような力を持ち、相容れない存在に対抗する為の旗印にして手段そのもの。
多くの良性存在が集い、一丸となり意志を伝搬し、世界を前進させる力へと変える者。
それが世界方正存在としての勇者なのだ。
それは状況が落ち着いた後であっても変わらない。
むしろ落ち着いてからが本番と言っても良いかもしれない。
復興へ向けた流れの中で、彼の元に集まった良性存在達が活躍する際の核となるからだ。
役割としては非常に重要なのである。
なのに。
「……マジかー」
そりゃあ世界が衰退するのも頷けるし、どうにか復興させて欲しいとの嘆願も来る訳だ。
管理者の立場からすれば頭を抱えるどころか、数年ほど放置したくなる位の出来事である。
「半年ほど前の事です。当時から我々は魔王の軍勢に対して劣勢に追い込まれており、緩やかに追い詰められつつありました」
そう言って経緯を語ってくれているのはローレルと名乗った女性の僧侶だ。
落ち着いた雰囲気を漂わせた大人の女性、というような印象を受ける。