モイネ・ボンテ 第5話
サンジェの方へ向かうともうすでに戦いは終わっていた。
「勝てたのか。」
「はい、剣の効果が運よく何度も発動したので。」
確か麻痺だったか?なかなかレアな効果だがあまり発動しないって言ってなかったか?
取りあえず二人の元、近くのチエンの方から向かうことにする。
チエンもすでに戦いは終えており、こちらに向かっている途中であった。
フェゾンは一番遠くにいるのでしばらく歩いていたのだが、ほこらに辿り着いても彼の姿はなかった。
「すれ違ったのか?フェゾンもサンジェの方に向かって真っすぐ来てたのかもしれない。」
チエンの方へ一旦向かってからこちらを目指したので、若干進路は弓なりになっていた。なのでフェゾンが真っ直ぐサンジェの方へ向かったとしたらすれ違っている可能性があるが、何とも嫌な予感がした。
「いないし中心に向かおう、フェゾンもいないことがわかったら中心に向かうだろ。」
ディニア湖にある4つの祠の中心へと向かう。
少し歩くとそれは見えてきた。
4つの祠と同じように半球状の建造物、蒼がより一層映えるその建造物の上に一人の人物が鎮座していた。
「マデラ!?」
「あぁ、遅かったね。」
その不気味な後姿二つい反応してしまう。後ろを向いていた彼が振り返った手には髑髏の剣が握られており、その剣の先にはフェゾンが突き刺さってた。フェゾンは両腕が喪失しており、その肩口からは禍々しい髑髏のオーラが溢れ出しており、腹に突き刺さった剣に吸い込まれていく。
「サンジェ!」
チエンが叫び、そのまま大槌を構え突っ込んでいく。
「まだ生きているから動くな。」
チエンにむけマデラが放ったその言葉は冷たく、だが反抗を許さない強い力が込められていた。
「それと交換だ。こんな回りくどいやり方は嫌いなんだけど、あ、あとここのお宝は僕がもらっといたから、ご苦労さん。」
「なっ!?」
マデラはユニコーンの紋章のついた剣を掲げ、すぐに祠の上へと置く。
それと指されたサンジェはどうしようかと一瞬悩んだあと、前へと踏み出す。
「そうそれでいいんだ、まったく、一人にこんな時間がかかったのは久しぶりだよ。」
祠を登っていくサンジェにマデラは先ほどのユニコーンの剣を鞘から抜き、フェゾンを刺している右手の髑髏の剣と持ち替えた。
「さよなら。」
ユニコーンの剣を勢いよく振り、サンジェの首を跳ね飛ばす。
「アッハハハハハハハハハハァ!!いいぜ!いいぜぇ!こいつは極上だァ!!」
髑髏の剣が喚起の声を上げる。
「これは返すよ。」
マデラが髑髏の剣に刺さったままだったフェゾンを放り投げたのをチエンが受け止める。サンジェの首からは先ほどフェゾンの肩から出ていた髑髏が出てマデラの持つ髑髏の剣に吸い取られていく。フェゾンの方はもう肩から髑髏は出ておらず、腕も再生していた。
「でもやっぱり、自分で殺したかったぜ…。」
吸い寄せられていく髑髏をバクバクと食べながら愚痴を垂れる髑髏の剣。二つの剣を鞘に納め、俺たちと反対の方へ向かって降りていくマデラ。
「フェゾン!おい大丈夫か!?」
「チエン…、すまない。」
フェゾンが無事なのを見届け、俺は祠の頂上へと向かった。もうサンジェの体は消えていた。
目線の先にはのんびりと西へと向かっていくマデラ。
月牙を構える。とっておきだ、一発撃つと反動で今日はもうスキルを打てなくなる。だがマデラの首を狩るために全力でスキルを放つ。
構えたスキルは<月牙>、刺股を祠へと突き刺し、穂先を天へと向け両手で柄をもつ。月牙が次第に金色へと色を変えていき、全体が金色になると祠から抜き去り、マデラのいる方向へと振り下ろす。
金色の光が一直線にマデラの方へ飛んでいく、マデラの少し手前で水面へと到達し大量の水しぶきを上げる。
音もなく近づいてきていた金色の光だったが、水しぶきの音でマデラが気付き振り向くが、その時にはもう金色の光は湖の氷を引き裂きながら、巨大な水しぶきを上げながら目前へと迫っていた。
金色の光はそのまま水平線まで湖を裂きながら進んでいった。
高く舞い上がった水しぶきとは裏腹に、水面の水は突如あいた溝になだれ込んでいく。
マデラは左半身に重傷を負った、ユニコーンの剣はどこかへと弾き跳び、肘から先は見当たらない。全身から煙を上げて、立ったまま硬直していたが、右手で髑髏の剣をぬく。
「おい、マデラ、わかってんのか今使ったら、また最初からだぞ、おい!」
髑髏の剣が何やら喚いてるが、マデラは気にせずこちらに向かってくる。
俺も祠から降りとどめを刺そうと向かっていたので、対峙する形となる。
こちらはもうスキルを使えない、マデラはそれを知らない、なので手早く気づかれる前に倒しきる。
そう決意したのは無駄に終わった。
「<松殺>」
そうマデラがつぶやいたと同時に、凄まじい勢いで突っ込んでくる。スキルを発動すると色々な色の軌跡がつくが、マデラのスキルには黒い軌跡が伴い、月牙で受け止めるが一瞬でへし折られ、腹へと深く髑髏の剣が突き刺さる。
瞬間視界が真っ暗になった。
のちに聞いた話だと、体中から髑髏が噴き出し、ボロボロと端から崩れ去っていったそうだ。
徐々に手足の感覚が失われていき、絶命する。




