モイネ・ボンテ 第2話
特に警戒しているわけでもなく、普通に談笑をしているマデラと銀髪の青年。
もしかしたら今までやってきた犯行は一人ではなく複数人でしていたのかもしれない、銀髪の青年は仲間で次の殺しの打ち合わせでもしているのかもしれない。
だが勿論彼が仲間だという保証はなく、マデラの標的が彼なのかもしれない。
2人は立ち止まり、話を続けているが次第に剣呑な雰囲気へと変わっていく。
マデラが剣を抜くと剣がなにやら喋りだし、その様子に驚く銀髪の青年。青年も驚くだけでなくしっかりと剣を抜き構え、マデラに相対する。
マデラが剣を振りかぶったところで俺は間に割って入る。
剣を月牙で受け止めると。
「なんだぁ?コイツもくっていいのかぁ?」
剣の髑髏が喋る。
「まて、お前だれだ?そいつの仲間か?」
マデラが質問してくるが、もちろん銀髪の青年の仲間ではないし、いま見かけたから助けただけだ。
「違うね、君を狩りに来た賞金稼ぎのモイネっていうもんだ。」
「あっそ、じゃあ邪魔だからどいてよ、そいつを殺さないと。」
「だからさせるかっての!」
月牙で受け止めていた剣を勢いよく弾き、突きをお見舞いする。マントに当たるがガンッと音と共に弾かれてしまう。
「あ、ありがとうございます。」
銀髪の青年がお礼を言いながら、剣を構え俺の背後から出てくる。
「自分も戦えるんで。」
「ま、自分の身は自分で守ってくれ、俺は善人ってわけでもないからな。」
2人でマデラを見据える。
「あーあー、どうすんだよマデラぁ!二人とも食っちまおうぜ!んでそのままおまえもくってやるよお!」
「黙ってろ。おい禿、いくらだ?」
「あぁ?」
「俺の首はいくらだ?」
「金貨15枚だ。」
「それを渡したらどいてくれるか?」
金貨15枚渡してくれるってのか?なんだこいつは、無差別に殺しているわけじゃないってのか?
銀髪は心配そうに俺を見る。自分の身は自分で守れ、さっき自分が言ったことだし、俺も金が欲しいからってだけじゃないが基本的には金目的で賞金首を狩っている。
「いま持ってるってなら、金貰ってからお前を殺すかもしれねえ。」
「誓約書を書いてもらう。裏切るとすべて俺のものになるし、俺はお前の攻撃で死ななくなる。」
マデラは懐から一枚の紙を取り出した。あれはダンジョンで手に入るスクロールか。
「構いませんよ、逃げていただいて、自分の事ですから。」
「逃げる?俺が?いや無いな、そうだな、お前を助けに来たわけじゃないんだ、俺は賞金稼ぎとして、マデラの首を取りに来ただけだ。」
「交渉決裂か、じゃぁ、先にそいつを殺したいから待ってくれってのも聞きそうにないなこの禿っ!?」
マデラが喋ってる最中に月牙で斬りかかる。
僧侶の恰好をしているが、筋力は狂戦士に負けず劣らずといったところだ。凄まじい力で振った月牙は咄嗟に剣で受け止められる。
普段なら剣がへし折れるか、そのまま体ごと吹き飛ぶかするのだが、剣は無事でマデラ自身もその場から動いていない。
次々と連撃を叩き込んでいくがすべて剣で受け止められるか、受け流されてしまう。
「<苦竹>」
マデラがおそらくスキル名を口に出した瞬間に、マデラの剣が増えた様に見えた。一瞬の事だったので気のせいかと思ったのだが、こいつが剣を振るたびにかすかに残像が見える。一体どんなスキルなのか見当もつかない、くちくといったが、駆逐か?スキル名を口に出したものの、俺からの連撃を受け止めているだけで何も変わらない。
ならば、とこちらもスキル<五月雨突き>を放つ。8連突きをすべて剣で受け止めたマデラだが、顔には苦悶の表情を浮かべている。
こちらのスキルが打ち終わるその時を待っていたのだろう、一気に懐まで迫られ、突きを腹にくらう。だが法衣のおかげで斬れることはない、一発の剣での打撃だとおもっていたが腹に来た衝撃はすさまじく、通路の壁のレンガを破壊しつつ吹き飛ばされていく。4枚の壁を破壊したところでまた別の通路に落ち、ようやく止まる。
体中に走る激痛に呻く。大通りに出たようで、いきなり壁をぶち破って登場した俺に通行人たちは驚きの表情を見せている。
恐らく冒険者のPTが駆けつけてきたところで気を失ってしまった。




