とある冒険者たち 第2話
竜が住まう山ドラグニド。
そこにレイドが押し寄せていた。NPCによる騎士20名と冒険者12名の混合レイドだ。
ドラゴンを一匹狩りに来たのだ。ドラゴンはとても強い、だがその討伐の報酬はおいしい。鱗は防具にすれば剣を通さないし、爪や牙は剣になる。肉は食えばほっぺたが落ちるほどで、骨は家に使えば絶対に潰れないと言われている。
だが逆に討伐も難しいのだ、鱗は剣を通さないし、爪や牙はこちらの防具をまるで紙切れの様に突き破ってくる。
だが竜にも種類がいる。今回は最下位種のドラゴン、ワイバーンを狩ることになっている。
比較的ほかのドラゴンに比べ柔らかく、毒や火を吐かず、物理攻撃しか持ち合わせていない、体も3~5mと小さめでまだ何とか人類が相手のできる範囲である。
世の中には一人でニブルヘイムという氷をつかさどる上位のドラゴンを狩ってしまう化け物がいるが、それは人でなく化け物だ。
ドラグニドは頂上に行けば行くほど、上位種が多くなる。ニブルヘイム等の手に負えないレベルのドラゴンは一匹で一つの山や城をもっていたりするが、大体のドラゴンはこのドラグニドに住んでいる。
ワイバーンは麓付近に巣を作って暮らしているので、そこに罠を仕掛け捕まえてから討伐する手はずとなっている。
この罠はNPCがすべてやってくれるので冒険者たちは何もすることがなく、武器の手入れなどをして時間を潰している。
このレベルのプレイヤーは、少し変わった武器を持っている奴が多い。それにドラゴン討伐ということで専用の武器を持ってきたやつも中にはいるのだろう。
そんなほかの冒険者を他所眼に自分の武器の手入れをする。
愛剣の手入れが済んだところで、罠を張り終えたようだ。
そして何時間かワイバーンが巣に戻ってくるのを待つ。ワイバーンは昼間の少しの時間狩りに出かける。
飯を食った後は昼寝をして、晩御飯の時間になるとまた狩りに出かけるといった具合だ。
しばらく待って飽きてきたのだが、ワイバーンはこない。
巣のように見えてた場所は巣ではないのか、もしくはワイバーンが死んだのか、何があったのかわからないが、もうすぐ晩御飯の時間である。
そのまま数時間待ってやっとワイバーンがやってきた。でかい牛を咥えて巣に近づいてくる。
ワイバーンは体が細く、手と翼が一体化しているドラゴンで、足と尻尾による攻撃がメインなので、それを封じれば、あとは一方的に攻撃し、仕留めることができる。
巣に入ったとたんに落とし穴にはまるワイバーン。
足と尻尾はもちろん、下半身のほとんどがはまり、落とし穴の底にあった竹に突き刺されているのだろう、凄まじい声量で叫び、口に咥えていた牛を放しのたうちまわるワイバーンに冒険者たちが躍りかかる。
一生懸命罠から抜け出そうと翼をはばたかせているが、返しのついた竹の杭が外れないようで、顔や翼に次々と冒険者やNPCの攻撃を受けるワイバーン。
ワイバーンも抜けることは一旦諦めたのか、鋭い顎で冒険者やNPCに噛みつきだす。
腕を噛まれればそのまま引きちぎられ、翼で殴られれば遠くまで吹き飛んでいく。
だが、流石に多勢に無勢。徐々に動きが遅くなっていくワイバーン。
翼は千切れもう飛ぶことはかなわないだろう、体のあちこちからは血を流し、叫ぶ声も最初に比べ大した大きさではない。こちらも無事というわけではなく、10人ほど死んでいる。
翼のはためく音が聞こえた。いくつもの音が上空から聞こえてくる。見上げた空には何匹ものワイバーンがゆっくりと降りてきていた。
そこからは一瞬だった。
逃げ惑うNPCや勇敢に立ち向かう冒険者を蹴り殺し、食いちぎり、尻尾で突き刺し、次々と抹殺していった。
俺はそれを上空から眺めていた。一匹のワイバーンに掴まれそのままドラグニドの頂上より高くまで飛んでいく。雲がもう目の前だ。高所恐怖症でなくてよかった。この素晴らしい景色が見れてよかった。
思わずシステムメニューからスクリーンショットを呼び出し、景色を収める。なぜこのワイバーンは俺を助けたのだろうか、そしてどこへ連れていくのか。
ワイバーンは羽ばたくのを辞め、真っ逆さまになりおちてゆく。
最初は力なく落ちていたのだが次第に滑空の姿勢になり、落ちるスピードを上げていく。
俺は勘違いしていた。このワイバーンは助けてくれたわけなんかじゃなかった。
ものすごい勢いで地面が近づいてくるのを見つめつつ、呆然と、死をまった。
地面近くで投げ捨てられ、勢いよく地面に叩き付けられ俺は死んだのだ。




