ミュゼ・クリトン 第3話
完全に通路が洞窟の岩から、遺跡のレンガのようなものに変わった。
出てくる魔物も変わったようで、犬が出てきた。正確にはベガドッグと言ったはずだ。彷徨う犬みたいな意味だな。普通の大型犬と変わらない大きさで、シベリアンハスキーのような見た目だが、爪は鋭く、牙は骨すらかみ砕くという。正確には落っこちている骨食ってるだけで、人間を直接噛んで骨まで食いちぎるわけじゃない。
こいつはまだかわいい魔物だ。
面倒なのは骨で動く魔物スケルトンだ。白骨たちが動き出すわけだが、剣と盾持って攻撃してくる割に、あいつら骨だけだし、五体満足じゃないやつもいるしで、攻撃がしづらい。
両足片腕無くて剣を振ってきたときは犬っころ投げて対処したもんだ。
そしてこの遺跡はとてつもなく広い。少しマッピングをしてわかったが、おそらくピラミッド状の建物で、まだ3階までしかマッピングが完了してない時点で、恐らく夜になったので一旦仮眠をとることにした。
2時間ごとに片方は見張をしつつ仮眠をとる。二人が4時間ずつ仮眠を取りおえ、探索を再開する。
上に進む階段は3か所ある。そのうちの1か所で仮眠をしていたので、そのまま上へと進む。
昇ってすぐの部屋でベガドッグ2匹がスケルトン1体を食べていた。
こちらに気付くと咥えていた骨をかみ砕きこちらに向かって唸る。
1匹ずつ相手をする。といっても俺は飛びかかって噛みつこうと大口を開けたベガドッグに拳をねじ込み、そのまま顎を反対の手でつかみこじ開け、そのまま下顎を外し、さらに力を加え顎を頭から引き離してやる。浮いていた胴体を蹴り、壁へと叩き付ける。とどめに頭へ正拳突きである<勇猛果敢>をお見舞いする。
俺が一匹退治し終わっても、ベーダは若干手こずっている。もちろんベーダには顎を引き裂く握力も<勇猛果敢>で頭を潰す筋力もないわけだから、当然なのだが。
ベガドッグによる噛みつきをよけ、胴体へ拳を叩き付け、離れ、今度はベガドッグが攻撃する前に顔面へと拳を打ちつける。ふらふらと体制を崩すベガドッグに追い打ちをかける。拳による5連撃<獅子奮迅>を放ち茶色い軌跡とともに吹き飛ばされるベガドッグ。
地面に打ち付けられそのまま動かなくなる。
「ベーダくん時間かかりすぎじゃないですかぁ?さっき起きたばっかりで寝ぼけてるんですかぁ?」
「チッ。」
「えっ舌打ちだけ?反論とかしないの?」
無視して先に進むベーダ。
意外と気にしてたりするのかな、弱いことを、でも確かLV15くらいならあんなもんな気がするけどな。
このACSでは10レベルごとに大きく人のできることが変わってくる。なのでトエスクから離れるにつれ魔物のレベルは高くなったりするのだが、大体LV18の魔物を相手にするとしても知識さえあればLV10の冒険者が相手にしても問題はない。LV9だときつかったりするのだが、それはLV10になった途端に覚えれるスキルが増えるのと、ステータスが倍近く伸びるからだ。これはLV10ごとに起こり、俺のLV27も正直LV20の奴と大して差はないステータスになっているはずだ。
だから俺とベーダで比べても何の意味もないのだが、からかった俺が言うのもおかしいか。
4階もスケルトンやベガドッグを倒しつつマッピングが完了したが、おそらくもうすぐ夜になる。また仮眠が必要になる。
このピラミッドの構造は下の階程おおきな部屋があり、通路が少なくマッピングが簡単なのだが、上に行けばいくほど、部屋が増え、通路が狭くマッピングに時間がかかってしまう。
それでもさすがに上に行けば狭くなっていくので、これ以上の階はもしかしたら明日ですべて探索できるかもしれない。
なので、早めにまた交互に仮眠をし終え、5階へと進む。
いままで遺跡にしては謎解きが少ないと思っていたのだが、5階から謎解きが出てきた。
これに関しては俺は正直何もできない。その為にベーダを連れてきたといっても過言ではない。魔物の情報や、冒険に必要な知識を覚えたりすることはできるのだが、こういう謎解きはどうにも頭が固いらしく、解けたためしがない。今まで遺跡にもなんどか潜ってきたのだが、どれも一人でクリアできたことはない。
ベーダは部屋に仕掛けられた何匹もの蛇の置物を台座に数匹ずつ並べ、3つの台座すべてに蛇が乗ると扉が開いたり、壁画のくぼみにはまってあった宝石を取り出し、嵌め変えると扉が開いたりと、サクサクと謎を解いて進んでいく。
「お前なぞなぞとか得意そうだな。」
「はぁ?なんだよいきなり。」
「赤い体で一本足、二つの口、このポストなーんだ?」
「は?ポストじゃないのか?このポストなーんだってなんだ?」
「はっ…!しまった。」
「おっさんバカだろ。」
「バカではない!お前より知識も持ってるぞ。」
「はいはい、行くぞ次に。」
ベーダは水を桶から救い、像の前においてある瓶へと注いでいき扉をひらく。




