ミュゼ・クリトン 第2話
ベーダは先制攻撃を仕掛けたが、当たりが悪く一発で仕留めることはかなわなかった。結果尻尾で叩き付けられ、軽く吹き飛ばされる。受け身を取りつつ着地し砂蠍を見据える。
砂蠍は追撃を仕掛けようと迫ってきていたが、ベーダも距離を詰め尻尾が動く前に尻尾をとらえ、胴体に向け拳を振り下ろす。
とどめになったようで砂蠍は動きをとめた。
俺は速攻石蠍にアッパーをお見舞いしてやり、沈黙させる。
「さてと、先に進むか。」
狭い洞窟の通路を進んでいると、何度か蠍とエンカウントしつつ、二股に分かれている場所へたどり着いた。
迷わず右を選ぶ。こういう場合、一番右から選択し探検するのが、俺のルールだ。正確には迷わないためのコツだ。
今度はサンドワームのお出ましだ。
サンドワームは2mほどの芋虫に頭の代わりにでっかい丸い口をつけた白い奴だ。
こいつはぶよぶよとしていて、斬ったりしようにも斬れなかったりする。
なので物理攻撃でどつきまくるのが一番効率よく倒す方法だ。
なんて、ベーダに説明しながら殴っていると、あっという間に息の根を止める。
「おっさん、そんな強いのになんで俺が一緒に潜らないといけないんだ?」
「あぁ?そんなもん一人では気づけないこともあるだろうが。」
「その分報酬は減るのにか?」
「それだけの価値を見出させてくれよ、頑張って働け少年。」
サンドワーム4体の群れが襲ってきた。
飛びついて噛みつく以外の攻撃ができないこいつらは弱い。何体出てこようが正直殴り殺すのに数分かからないので、問題ないんだが。正確には1分20秒、6発でKOだ。
蠍が4体5体と出てくると少し問題だ。蠍は堅く、また毒も持っている。囲まれると尻尾の機敏な動きについていけなくなる。主にベーダが。
囲まれないように注意しながら、時には引いて魔物たちを討伐していく。
洞窟を行ったり来たりしつつ進んでいると、金色に輝く虫を発見する。
「黄金虫だ。息を殺せ、そして動くな。」
「あぁ?」
「あいつを捕まえることができたら、なんでも奢ってやるよ。だから静かにしてろ。」
コガネムシではなく、オウゴンチュウと呼ぶらしいが、めんどくさいのでみんな黄金虫と呼んでいるそいつは、全身が金でできており、売れば金貨数十枚という大金になる。
だが、すばしっこく動いてる状態では捕まえることができない。正確には視認しても黄金虫だと分からない光の線が通るだけだからだ。
持っていたポーションの瓶を一つ空にするため飲み干し、ゆっくり近づいていく。
黄金虫は壁を登ってどこかへと向かっている。
その進行方向に瓶の入り口をそっと向け、入るのをまつ。
ゆっくりと昇ってきて瓶の入り口をスッと入っていく。
慌てずにゆっくりとした動きで蓋をする。見事捕獲に成功したのだ。
「っしゃあああああああああああああああああ!!!!」
「うるさっ!」
「やったぜ!黄金虫ゲットだ!もうこの洞窟に正直それほど興味はなくなっちまったけどな。」
「そんなに珍しい虫なのか、そいつは。」
「珍しいなんてもんじゃねえよ!ばっか!こいつはなぁ…。」
説明してやるとベーダも驚き、嬉しそうにニヤニヤしだす。
「やっぱなぁ、大金は冒険者の夢だよなあ!」
「そうだな、でもどうするんだ?本当に帰るのか?」
「いや、まだ帰り道は分ってないし、もしかしたらボスからもっといいのもらえるかもだしな。」
瓶を大切に懐にしまい、行くぞ。と通路の先をすすむ。
通路の端になにか白い塊があった。近づいてみるとそれは人の白骨だった。
「なんで骨なんかあるんだ?」
ベーダが疑問を投げつけてくる。
ACSでは死んだら、消滅するのが冒険者だ。だが一応生き返る選択をする時間は無限なので、その間消えることはない。
どれくらいの時間で白骨化するのかわからないが、もしかしたら死んだあと長時間放置すると白骨化するのかもしれない。
「ま、単純にNPCだろう。もしくは人型の魔物か。」
もっと単純に演出かも知れんがな。
奥に進むにつれ、白骨の量は増えていき、そのうち人型だけではなく、魔物の白骨も見かけるようになった。
そして通路にも変化が訪れる。徐々に黄色いレンガで組まれた壁に代わっていくのだ。
「これは、洞窟と遺跡が合体したダンジョンなのかもしれんな。」
「そんなのがあるのか。それはどっち基準になるんだ?」
恐らくボスのドロップがおいしいのか、謎解きのあとの報酬がうまいのかって話だろう。
「俺が経験したのは、…両方うまかった!」
増えていく白骨が武器や盾を装備しだしている。そして徐々に洞窟から変わっていく遺跡。
こいつは期待できそうだ。
遅くなりました。すいません。




