ループ・サウィルダ 第18話
神父に連れられパイプオルガンの置かれている部屋についた。ベンチのようなイスが整然と並べられていて、隅には懺悔室が設置されいる。
席に着くように促され、従いそれぞれ座る。神父はパイプオルガンの方に向かい、咳ばらいをしてパイプオルガンを弾きだす。その旋律は聞いていてとても落ち着くもので、でもそこからか力が溢れてくるような素晴らしい曲だったのだが、神父が歌い始めるとそれはひどい不協和音となる。
「そなたたちに神のご加護があらんことを。」
弾き終わった神父が立ち上がりこちらを向いて祈る。
俺たちは何とも釈然としない面持ちで教会を出る。
城に向かいがてら、作戦会議というほどたいしたものではないが確認をする。
「ヴァンパイア2体、そいつらがこの町に残った最後のヴァンパイア。」
「そうですね、私たち二人が3人、そしてみなさんが3人倒したので間違いはないかと思います。」
「やっぱ強いのかな?ボス的なポジションだよね?」
俺のつぶやきにインスが答え、アペティが嬉しそうに問う。
「聖水のおかげで私の攻撃も通ったからそうでもないんじゃないかな?」
シアンが先ほどを思い浮かべながらシグネメントを撫でる。
緊張感のない会話を続けながら城へと着いた一行。門を開けると正面に階段があり、左右に扉がたくさんある。
「さて、どこにいるかな?」
「たのもー!!」
キングがバカでかい声で叫ぶ。
すると一斉にすべての扉が開き、人が出てきた。だが動きは緩慢で顔からは血の気が失せている。
「えっと、これは?」
ユウキが聞いてくるが俺にもわからん、ヴァンパイア二人だけしかいないんじゃないのか。扉から出てきた人はよく見るとレッサーヴァンパイアという名前で、100人近くいるんじゃないか?
「とりあえず逃げるか?上からは来ないみたいだし、上に行こう!」
みんなで階段にむかいつつ、途中でレッサーヴァンパイアを斬り倒していく。
「なんだか手応えがないぞ?」
キングがレッサーヴァンパイアの1人を斬り伏せながら疑問を口にする。たしかにいくら聖水がかかっているとはいえ弱すぎる気がする。レッサーって確か下級みたいな意味だったような気もするが、それにしても弱すぎないか?
レイがはっとし、みんなへ告げる。
「攻撃をやめてください!この人たち多分町の人たちです!」
眼の前のレッサーヴァンパイアを狼牙棒で殴り殺そうとしていたのを寸でのところで止める。
「本当か!?レイ!」
「うん!あっちの人さっき助けた夫婦だよ!」
レイの指すほうには先ほど噴水のある広場で助けた夫婦の男がいた。
「なるべく殺さずに階段に向かおう!」
指示を飛ばしたのはいいが、緩慢な動きとはいえ、徐々に行く手を塞いできているレッサーヴァンパイア達。シアンやアペティ、レイは武器での攻撃が致命傷になりかねないので3人を囲みつつ進軍する。
ユウキが盾で押しのけていくのをキングとインスが左右からサポートしつつ、おれがしつこいやつを石突で押しのける。
何とか階段まで辿り着いたが、昇ってこないというわけもなく追いかけてくるレッサーヴァンパイア達。
一番大きな扉をあけ、中に入りすぐに閉める。さすがに扉は開けることができないのか扉を叩いてるようだ。
どこかへ続く廊下だが、一行は察する。これはボスへ通ずる道なのだと。ボス前の独特の空気をみんな感じ取り、ゆっくりと各々装備を確認しつつ進んでいく。
そして扉の前につく。
ライオンの装飾がなされた大きな扉だ。皆の準備を確認し、扉を開ける。
中は広間になっており大きなシャンデリアが光を放っている。何処からか流れるBGMに合わせて部屋の中央で踊る一組のカップル。
「もう少し待ってくれ、曲が終わる。」
男の方が踊りながら言ってくる。2人はドレスコードで女は深紅のドレス、男は青を基調としたタキシード、踊りはとても優雅で見ていて美しいと思う。だがすぐに曲はおわり2人のダンスも終了となる。
「お待たせしてしまった申し訳ない、ヴァンパイアのアリストと我が最愛の妻アンリ―だ。」
「最愛だなんて、アリストったら。」
「君は世界で一番美しいよ。」
まぁ。と照れるアンリ―だがなんだこれ、なんで魔物同士がいちゃつくのを見せつけられてるわけ?
「おっと、失礼。君たちが我が同胞を殺してしまった張本人かね?なんでそんなことをしたんだい?私たちがこの町を守ってやらないとごぶりん達に襲われてしまうんだよ?」
「ゴブリンならもういない。」
「ほう、倒したのか、それは素晴らしい、それでつけあがって私たちも討伐しようということかね?」
肯定のため頷くとアリストは嗤う。
「そうか、なめられたものだな、全く。我々はヴァンパイアだぞ?言っておくがほかの6人とは一緒にしないでくれたまえ、彼らもまたレッサーから昇格したばかりの貧弱なヴァンパイアだ。」
「アンリ―少し離れていてくれたまえ、いまから餌を調理するから汚れないようにね。」
アンリ―は離れ、アリストは手をこちらに向かいかざす。掌から真っ赤な刀身の刀が出てくる。
「さぁ、踊ろうか諸君。」




