ループ・サウィルダ第12話
相変わらずホブゴブリンの攻撃は循環の盾で受け止めてはいるが、手数が多いので攻めあぐねている。
循環の盾によってステータスを上昇させないと、盾で弾くことはむずかしそうだ。
そこにアペティたちがやってきた。
「アペちゃん参上!」
そう言いながらフランベルジュで横腹を斬りつける。
深い傷が走り、傷口から火が発生する。
ホブゴブリンはアペティの方へ向きこん棒を勢いよく振り回すのを、すんでのところで受け止める。
注意がこちらにそれたと思うと、ユウキが<ヘイトハウル>をして、攻撃がこちらに向かないようにしてくれた。
アペティの切りつけた傷は燃えていたのだが、すぐに消えてしまった。おそらく耐性があるのだろう。
そして背中からシアンがシグネメントを突き刺す。こちらはよく効いたようで、傷口から血がどくどくと溢れ出している。まだ<ヘイトハウル>の効果が残っているのか、ただひたすらにユウキを殴り続けるホブゴブリン。
そして循環の盾が光り、ユウキが力に変えていく。
ユウキは循環の盾を構えながら腰を徐々に下げ、<スラスト>の構えを取っていく。
俺たちは、ユウキの構えが邪魔されないように、キングが斬り、アペティが斬り、シアンが突き刺し、俺が叩く。
ユウキの循環の盾と剣がひときわ強く輝き、<スラスト>を放つ。
首めがけて放たれたそれは、見事命中し、ゴブリンの首を刎ね飛ばした。
少し休憩してからまたゴブリンの巣窟を探す。
思っていたよりもホブゴブリンの攻撃力が高く、少し不安になってしまう。ホブゴブリンが何体も出てきた場合の対処や、さらに上位の存在のゴブリンキングはどれほどの強さなのかと。
シアンが立ち止まり合図してくる。1体この先にいるようだ。
「種類は?」
「まだ見えない。」
ゆっくりと<索敵>に引っかかった魔物に向かって進んでいく。
「あれは…、何?みえる?」
シアンが指さす方を見ると、白い毛の生えた兎がいた。それは人の形をしており、腰には何やら布を巻いていて、上半身は鍛え上げられた筋肉が見える。顔は兎の顔をいかつくしたかんじだ。
「たしか、レプスっていう魔物のはず。」
「つよい?二人で倒す?」
「戦ったことはない、冒険者ギルドで依頼を見ただけだから。」
「あー、いけそう、ちょっとまってて。」
話しながらレプスの方をずっと見ていたので、そう言われシアンの方を見るとそこにはシアンはいなかった。
レプスの方に視線をやると、急に首筋から血を噴き出したかと思うと、シアンが現れた。
そのまま倒れていくレプスを念のためもう一度刺し、こちらに声を投げかけてくる。
「たぶん大丈夫。そんなに強くはなさそう。」
近付いていき、死体を見るとなにも武器を装備していなかった。戦闘系の魔物じゃないのかもしれない。
「それより今のはどうやったんだ?スキルか?」
「…秘密。」
行くわよ。と先を促されたのでついていく。
ゴブリンの群れはほかにもいくつかと遭遇し、戦闘になった。
だが、最初の戦闘程苦戦したものはなかった。
群れの数がそもそも2~3匹と少なく、ホブゴブリンがいてもあそこまで強くなかったのである。
だいぶ北上してきたので、ゴブリンの群れとの遭遇率も増えてきた。もしかしたらこの近くに巣窟があるのかもしれない。
水の音が聞こえる。とユウキが何度目かの休憩の時に言い出した。他の皆には聞こえておらず気のせいではないかと思ったが、探す当てもないので、ユウキについていくことにした。
しばらく進むとほかの皆にも水の音が聞こえた。おそらく川の音だと思う。
水の音のする方へ向かっていると、シアンが一行を止める。この先に4対魔物がいるそうだ。どれも小さく、おそらくゴブリンだそうだ。
シアンと俺が、PTから離れ、確認しにいく。
大きな川が見えた。西から東に流れているようで、川幅は5mほどでそこまで流れは速くない。
そんな川のほとりにバケツをもったゴブリン達がいた。
何やら話しながら水を汲みに来たようだ。
シアンと二人で目配せをし、動向をさぐる。バケツをどこに持っていくか調べることができるかもしれない。
シアンにゴブリン達を見てもらいながら、自分は襲われないように周囲の警戒をする。
ゴブリン達は水を汲み終わり、動き出した。
ユウキ達に追いつくように一旦自分だけ報告に戻り、シアンに監視を続けてもらう。
皆と合流し、ゴブリン達を追跡する。
追跡していると、滝の音が聞こえ始める。どうやらそちらに向かっているようだ。
ゴブリン達は滝のすぐそばでバケツをいったん起き、滝の端をめくり上げた。何か草か何かで編んだものでカーテンを作り、それを持ち上げることで入り口となるようだ。
4匹のゴブリン達が中に入っていくのを見届け、みんなに確認する。
「おそらくあの中がゴブリンの巣窟だろう。みんな準備はいいか?」
皆は頷き、滝の元へと向かった。




