シアン・カラーズ 第7話
船を砂浜に埋める。
恐らく、この島が浮上したんではなく、水面が下がったのだろう。
干潮にならないと現れない洞窟なのだと思う。
砂浜の先には木でできた扉があった。
開けた瞬間、剣が振り下ろされる。慌てて回避する、そこにいたのはゾンビだった。人の形をして肌は青く変色し、目は片方空洞で、口からはだらしなくよだれが垂れている。手にはカトラスという刃先が少し反っている剣をもっている。
首に向けシグネメントを突き出す。見事に突き刺さり、ゾンビは倒れる。
「シアンないすう!」
「びっくりしたぁ…。」
<索敵>はレベルがまだ2なのでアンデッド系には反応しにくいようだ。
ゆっくりと洞窟を進んでいく。洞窟内は光るコケがそこら中に群生しており、少し眩しいくらいだ。
カトラスということは海賊のアジトか何かなんだろうか、カトラス=海賊なイメージがある。
そうして歩いていると、<索敵>に反応があった。アペティ、と呼ぶと察してくれたらしく、頷きを返してくれた。
いくつもの分かれ道がある少し広めの空間に出たと思ったら、サハギンが上から降ってきた。
アペティがフランベルジュで斬りつけると、そこから延焼し慌てるサハギンにとどめを刺す。
適当に道を選択し進んでいくとなんどか、海賊ゾンビとサハギンとの戦闘になった。
サハギンは延焼が苦手なようで、慌てて消そうとする。私の出血は放っておくのだが、やはり火はきらいなようだ。
逆にゾンビは延焼にも関わらず突っ込んできたが、出血はダメなようで、私が攻撃をあてて、出血が発生するとすぐ死んでしまう。
この洞窟はただひたすらに通路が多い。
通路の先は行き止まりだったり、おそらく海賊たちが生活していたのだろう、食堂らしき場所や、寝室、講堂のような場所、さらには教会のような部屋まであった。
食堂と教会には金貨が数枚あったのがおいしいところではあったのだが。
一つ一つの部屋に行くまでの通路がただひたすらに長い。
そんなに大きくない島の中にどうやってこんなに部屋があるのか疑問だったのだが、アペティが通路で剣を壁にぶつけてしまい、崩れてしまった。その先にはさっき見た部屋があった。壁は数cmしかなかったのだ。
「ねぇねぇ!全部壊したら歩くの楽になりそうじゃない?」
「いややめて、潰れちゃう。」
アペティが物騒なことを言い出した。
徐々に上に向かっている気がする。下がったり上がったりしているので、いまどの辺にいるか詳しくはわからないが、島は縦に伸びていたので、きっと最上階を目指す作りになっているのだろう。
海賊ゾンビや、サハギンを倒しつつ進んでいると、両開きの大きな門があった。
「これは…。」
「シアン!ボスだよボス!この先には無限の可能性が待ってるんだよっ!」
いや、待ってるのはボスだとおもいます。
二人がかりで扉を開ける。
ぎぎぎとゆっくりとあいていく。
満点の星空が広がっていた。島の頂上にきたのだ。
そして中央には、大きな椅子に座り海賊服を身にまとい、つばの大きな帽子をかぶった人が葉巻を燻らせていた。
恐らくゾンビなのだろうが、目には力があり、鋭い眼差しをこちらに向けている。
「よく来たぁ。」
海賊が声をあげる。
「ふはははははは!私が死んで早100年!ここまでこれたのは貴様らが初めてだ!」
「俺の名は、キャプテン・ピラーテ!!!」
「残念だが、財宝は無い、強いて言うなら。」
懐から懐中時計をとりだす。
「お前たちが、ここまで手を取り合ってここまでやってくることができた。その間に育んだ友情が最高の宝だとは思わんかね?」
なに言ってんだこいつ…。懐中時計はなんで取り出したんだ。
「どうだ、お前たちもここで死に、おれと一緒に悠久の時をすごさないか?」
取りあえず、鬱陶しいので投擲用ナイフを<投擲>でキャプテン・ピラーテに向け放つ。
シミターというカトラスに似た武器で投擲ナイフを弾く。
私が投げた事で、アペティが突っ込んでいく。
フランベルジュで右下からの逆袈裟を、バックステップでかわされ、顔に思い切り葉巻の煙をかけられる。
「けほっけほっ!」
「安心しな嬢ちゃん、デバフじゃないぜ。」
メタいなこの海賊。
「そんなに俺と遊びたいってのか?困った子猫ちゃんたちだぜ。」
イラッ。
キャプテン・ピラーテに走り寄っていき、シグネメントで首を狙って一突きするが、腕でガードされてしまう。
「おぉー、いて。」
葉巻を口から放し、火のついた部分を腕に押し付け止血する。
「さてと、何年遊べるかな?」
キャプテン・ピラーテは目を爛々と輝かせ、笑みを浮かべながら呟いた。




