シアン・カラーズ 第6話
この世界にも海は存在する。
一応船などがあれば、船旅を楽しめるようだが、金貨2000枚も必要で、なおかつ乗組員も雇わないといけない。小さな船だと海の魔物に襲われるので、どうしても大きな船にする必要があるからだ。
私は今、アペティと一緒に海に来ている。トエスク王国から南に少し行ったところにあるシーモア海岸、たまに磯になっていたりもするが、基本的には白い小粒の砂浜だ。ところどころ大きな岩などがあり、サハギンの住処になっていたりもする。
サハギンはいうなれば魚人だ。青い皮膚に人間と魚の中間の顔に鋭い牙。尾ヒレや背びれもついており、逞しい筋肉をもっている。その魚人が二足歩行している。武器を持ってだ。あいつらが使うのは主に銛だ。
魚のくせに魚を食うらしい。
私たちは観光ついでに遊びに来た。
シーモア海岸はレベルが10前後の魔物しか出てこないので、私が<索敵>で先に見つけ、アペティがフランベルジュで斬って、焼きサハギンの完成だ。
あのフランベルジュは相当いいものだと思う。燃える確率はかなり低いらしいのだが、アペティはかなり運が高いので結構な確率で燃やすことができている。
ドワーフの国でもらってきたものらしい。
私とアペティは中々時間が合わず一緒にするのはこれで3回目くらいなのだが、いつのまにかほかの人とPTを組んで冒険していたようだ。
かくいう私も、ソロで団長からお使いを頼まれて洞窟に潜り、結果疾風のレザーという戦闘が長引けば長引くほど敏捷が上がる革防具とシグネメントという短剣を手に入れた。
この短剣は刀身が捻じれており、いくつか穴が開いてある。確率で出血ダメージが入るというものだ。
確立といっても成功する確率が高いのと、もともと私の運が高いので今まで出血が発生しなかったことはない。
砂浜をゆっくり歩きながら、アペティと会話する。
「晴れてよかったね。」
「そうだね!ふふふ、久しぶりにシアンと遊べて嬉しいな♪」
「そう?ありがと。」
「ついでにこのままダンジョン潜っちゃう?」
「ん?いいけど、この辺にダンジョンあるの?」
「町で聞けば、なんかわかるかも?」
それなら、と海の町コートに向かう。
それほど大きくない町で、漁師がたくさんいる。
まだ昼食を取ってなかったので、屋台で売っていたサハギンの串焼きを買って、食べながら聞き込みをしていく。
最近夜になると海からすすり泣く声が聞こえてくる。
船に乗って少し行くと、小さな島があるが岩に囲まれて入ることができない。
造船所の爺さんが人手を欲しがっている。
1時間ほど聞きまわった結果、町の人たちから発生するクエストはこれくらいだ。
冒険者ギルドにも行ってみたが、サハギンを倒せだの、造船に使う木を集めてこいだの、しょぼい依頼しかなかった。一応討伐系のクエストは受けてきたが。
恐らく小さな島がダンジョンになっているのだろう。
なのでそこを目指すために、アペティと小船を借り、海へ乗り出す。
しばらく漕いでると水平線に島が見えた。
島というか、真っ黒い壁?にしか見えない。
徐々に近づいていくと岩でできた島だった。
恐らくダンジョンなのだろうが、どうやって入ったものか。
「上る?」
「無理じゃない?」
「だよねー、何メーターくらいあるんだろ?」
「アペティなら掘れるんじゃない?」
「やだよ!フランちゃんが折れたらどうすんのさっ!」
「あんた、剣に名前つけてんの?」
「いいじゃん、別に。」
拗ねてしまった。
そしてそのフランベルジュを海に突っ込むと水蒸気が上がる。燃えて消えてを繰り返しているのだろう。
「船が燃えたらどうすんの、やめて。」
「はーい。」
とにかく島を一周してみる。
たしかに大きくはない島。いや、縦に大きいけど。
入口らしき場所はない。
アペティが飽きてきたのか、足を船の外にだしてパシャパシャと遊んでいる。かわいい。
何週かしてみるが、特に変わりはなかった。
帰ろうとしたところで、波の音がおかしかった。なにか吸い込まれるような音がするのだ。
ざざーんときて岩に当たり、ばしゃーんとはじける。そしてずぼぼと吸い込まれるような音。
たしかにさっきまではこんな音していなかったはずだ。
「どうしたの?帰るんじゃなかったの?」
「聞こえない?なんか吸い込まれるような…。」
「ん…?あっほんとだ!」
音のする方へ近づくと、水面近くに穴が開いていた。
「あったけど、どうする、潜る?」
「船どうするの?もうちょっと待ってみよ。」
時間経過とともに徐々に穴がせりあがってきて、広がっていく。
3時間ほどで入れるようになり、船ごと侵入していく。
「行き止まりだね?」
「もうちょっと待ってみよう。」
1時間後、表れた砂浜に私たちは降り立った。




