アペティ・グリード 第4話
ずずずという音が大きくなってきている。確実に近づいて来ているっぽい。
ユウキ君がタゲを取りつつ、隙ができたところをラニアが槍で攻撃、タゲの取り切れない分を私が倒す。
ベーダは新たに後ろから来た3体を相手にしている。
だが、数が多い。攻撃して、私たちに防がれたモールを踏み越えて新たなモールが襲ってくる。
攻撃がひっきりなしにつづくせいで、体に体当たりを食らったり、腕をひっかかれたりしている。
バーサーカーというのは、相手からの攻撃を受けてから本領を発揮する。なのでこのなるべく敵の攻撃を食らわないようにする、のが基本のACSでは敬遠されがちな職だ。ま、私みたいなもの好きもいるわけだけど。
徐々に体力を減らしていた私は、4割を切ったところで発動する。
「みんな、ここはアペちゃんにお任せっ♪<バーサークモード>!!」
全身から赤いオーラをふきだし始める。
体力が4割以下にならないと発動することができない<バーサークモード>。数分間(スキルレベルによって上昇、アペティは2分間)防御力はそのままだが、攻撃力と体力が2倍になる。そして最大の恩恵はスキル打ち放題だ。
両手剣を握りなおし、攻撃力を一分間上げる<フルパワー>を使い、正面の敵に<スラッシュ>を叩き込み、そのまま次の敵に<スラッシュ>、次は回転斬りの<スピンブレード>、<スラッシュ>、<フルスイング>、<フルパワー>、<スラスト>、<スラッシュ>…。
たっぷり二分間で暴れまわり、<バーサークモード>による発紅、スキルに軌跡、モールの血しぶきによって、通路は真っ赤に染まった。
17体ほど屠ったあたりで、<バーサークモード>が終了する。
そして一分間のスタン状態になっちゃう。
「いやぁ、倒しきれんかったね、あはは。」
力なく笑うアペティに残っていたモールたちが攻めてくる。
「<ヘイトハウル>!!」
守るように飛び出してきたユウキ君、そして遅れてラニアやベーダも参戦する。
徐々にモールの数を減らしていき、一分が立ち、アペティが復活したところで「プゥギイイィィィィィ!!!!!」と凄まじい叫び声をあげて、通路の奥からタルパが現れた。
全長3m、高さは2m大きな手には鋭い鉤爪、伸びた鼻、真っ赤な瞳、頭や胴体を守るようにできた鉱石の鎧、昨日ジョルドムさんから聞いた話と多少違うが、こいつがタルパで間違いないだろう。
まだモールは10体ほど残っている。
タルパに驚いたのか、モールたちは逃げようと私たちの間を通り抜けようとしていく。
あっという間に私たちの前にきたタルパは、鉤爪のついた大きな手を振りあげ、勢いよく地面に叩きつけた。
ドオオォォォン…。と音をたて地面とともに落下していく私達。
「うわあああああ!?」
瓦礫とともに落下していき、トロッコのレールに思い切り体を打ちつけてしまう。体力が残り1割を切ってしまう。
皆も落ちてきて、それぞれの位置に落下する、モールたちも一緒に落ちてきたみたいで、体力の少なかったモールは落下とともに死亡する。なむなむ。
そして最後にタルパが降ってくる。ドッシィィィンと砂埃を巻き上げながら着地する。
「プギイイイイィィィ!!」
と鳴いて、一番近くにいたラニアに鉤爪で攻撃する。
ポンチョを大きく切り裂かれながら飛ばされる。
ユウキ君もベーダもまだ起き上がらない。
ポーションを一つ飲み干し大剣を構え、タルパに向かい突進する。
振り下ろされる鉤爪に合わせ、<スラッシュ>を叩き込む。
ギイイィィンと鈍い音が鳴り響き、お互いに弾かれる。
長い鼻に向け剣を振り下ろす。命中して傷をつける。
弾いた方とは逆の手で攻撃してこようとするが、ユウキ君が割り込んできた。
<ガード>をして、受け止める。
ラニアやベーダも復活したようで、ベーダはケツを殴ってる。楽しそう。鬱陶しいようでタルパは「プッギイ!!」と手を後ろに振るが、絶妙な位置に陣取っておりベーダにぎりぎり当たらない。
あいた左手にラニアが突きを放つが、鎧に阻まれつらぬくことはできないようだ。
タルパに対し左後ろにベーダ、左側面にラニア、左手正面に私、右手正面にユウキ君だ。
ユウキ君が右手を抑えて、ほかの三人が順に攻撃し、隙のできた個所に大技を叩き込んでいく。
タルパに対して有効な攻撃を与えられてる気がしない。顔は割と効いているようだが、毛皮に覆われた個所や鎧に攻撃してもびくともしない、鬱陶しいようだが。
「アペティ!チェンジだ!鎧を破壊してくれ!」
「あいあいさー!」
鉤爪を大きくはじき、ラニアと位置を変える。
「<スラッシュ>!」
鎧に放つが、ガンッと弾かれてしまう。
それなら、と<フルパワー>をつかい、攻撃力を上げる。
「<フルスイング>!!」
全力で振り抜いた!ビキィッと音を立て鎧にヒビがはいる。
よし!と思ったと同時に大剣が半ばから折れてしまった。




