ユウキ・ナイト 第1話
西門で待っていると、ラニアがやってきた。
ラニアはレザーアーマーに黒い毛皮のポンチョ、骨でできた槍を持っており、なんだかどこかの蛮族っぽい。
「おはよう、ユウキ。」
「おはよう、ラニア、なんだか蛮族みたいだね。」
「騎士の格好しているお前と歩いていると、悪いことしたみたいな気分になるな。」
そういって笑いあう。
二人はロックス山脈にむけ出発する。
トエスク王国からロックス山脈の麓までは3時間、そこからドワーフがいると思われる街まで6時間ほどで着くようだ。ロックス山脈は木々が生えておらず、岩ばかりで形成されている比較的低い山が連なってできた山脈なのでそこまで時間はかからないようだ。
ユウキは騎士の装備として、全身鎧にマント、上半身を覆えるような大きさの大盾、新調した片手剣と結構な重量となっている。
普通の速度で歩くことは可能だが走ったりは出来そうにない。
草原の魔物はレベルが低く、ラニアがサッと走り寄って、一突きで倒していく。
自分の出番はなさそうだ。
3時間後無事にロックス山脈に辿り着くことができた。
「ここからは僕が前衛になるよ、カバーをお願い。」
「あぁ、わかった。」
ロックス山脈は、というよりトエスク王国から出て、草原と森林を抜けた先の推奨レベルは10以上だ。
中でもロックス山脈は出てくる魔物の平均レベルが最も高い。
事故死を免れるために草原とは逆に装備が堅いユウキが前に出る。
ユウキは騎士となって一月ほどたつ。訓練で前衛は幾度となく経験してきた。そのためのスキルもそれなりに覚えたのできっとドワーフのもとに辿り着くことができるだろう。
ここから北西に6時間、休憩を挟むといえ、気を抜かずに行こう。と気を引き締める。
しばらく岩だらけの道を進んでいると、道の向こうから3人組が降りてきた。遠目にも装備をつけているのが分かったし、同じように探索しているPTだと思ったのだが、こちらを見つけるとなんと、四つん這いになって凄まじいスピードでこちらにはい寄ってきた。数百mはあっという間に詰め寄ってきたのは、石の皮膚を持つ爬虫類顔、太い腕にはそれぞれ剣と盾をもち、腹を隠すような鎧に長い尻尾の生えたストーンリザードマンだった。
ユウキは叫んだ。
「<ヘイトハウル>!!」
3体ともこちらを向き、襲い掛かってこようとする。剣でまっすぐ振り下ろされた一撃を盾を使いガードし、左にいるストーンリザードマンが脇腹を狙って横なぎに剣を振ろうとしているのを見て、そちらにすぐ盾を構えなおす。無事受け止めることができたが、右にいるストーンリザードマンから<シールドバッシュ>を使い、盾で突進してきた。剣で受け止めようとしたが、防ぎきれず体制を崩してしまう。そこに正面のストーンリザードマンがもう一度剣を振り下ろしてくる。肩に剣を受けてしまう。
「う゛っ!」
鈍い痛みが広がる、我慢し正面のストーンリザードマンを<シールドバッシュ>で押し出す。
右のストーンリザードマンにラニアが<スラスト>を放ち、鎧ごと腹を貫き抜きざまに蹴り倒す。どうやら死んだようだ、残った2体が怒っているのか「グォアア!」と叫び、左のストーンリザードマンが、剣を横にし二段切り<十字斬>の構えを取る。そこに<シールドバッシュ>をあて、スキルを止める。正面のストーンリザードマンが<スラスト>を打ってくる。間にラニアが割り込んで槍で攻撃を反らす。あちらは任せて、左にいたストーンリザードマンを正面に見据える。ストーンリザードマンは苛立っているのか尻尾を地面に打ち付けている。そして盾を正面に構え<シールドバッシュ>で突っ込んできた。盾で受け止めようとするが、<ガード>が間に合わず体制を崩してしまう。そこに横から剣を振るわれ左腕に激痛が走り、盾を取り落としてしまう。
ストーンリザードマンは好機と見たのかとどめを刺そうと突っ込んでくる。慌てて剣で受け止めるが、何度も何度も打ち込んでくる。
(このままじゃ…っ!)
ラニアはラニアで苦戦しているのか、あちらでも打ち合う音が聞こえる。
なんとか攻撃の合間を縫って反撃をするが、あっさり盾で受け止められてしまう。
そのまま姿勢を低くし<シールドバッシュ>を打とうとしてくるストーンリザードマン。それに対しこちらは<スラスト>を構える。相手の発動に合わせこちらも発動し、スキル同士がぶつかることによって起こる<パリィ>をすることによって、お互いに弾かれ硬直する。
硬直が解けた瞬間、盾を取りに駆ける。半ば転がるように盾を取りしっかり構える。
ストーンリザードマンに駆け寄り剣を振り下ろす。盾で受け止められ、逆側から剣で攻撃してこようとするのをこちらも盾で受け止める。徐々に下にずらしていき<シールドバッシュ>の構えに移り発動する。
ストーンリザードマンは体勢を崩し、そこに水平に斬ってその軌道をそのまま戻る<ダブルスラッシュ>を発動する。盾で受け止めきれずに腹の鎧に剣が到達しストーンリザードマンが唸る。後ろが岩の壁になっているのをみて<シールドブッシュ>を発動。
「うぉぉおお!!」
盾をストーンリザードマンの腹に押し付け軽く浮かし、そのまま壁に押しつぶす。ストーンリザードマンの体が力がぬけ、倒れこむ。
一息つきラニアのほうを見ると、あちらも終わったところのようだ。
「お疲れさま。」
「あぁ、おつかれ。」
ふう、強かった。先がおもいやられるな。と苦笑する。




