ラニア・サウィルダ 第5話
樹の影に隠れたフォレストビーストを一突きで倒し、みんなの元へ戻る。
森林での戦闘はキホン俺が担当している。ヤキヤが早く使える様にするためにそう命じた。
今のところそれで問題はない。というより、ここには高くてもLV5くらいの魔物しか出てこないので、余裕があるくらいだ。
だが途中でフォークが折れてしまった。
流石に農具なので何十体の魔物相手に耐久度が持たなかったのだろう。それからはヤキヤから斧を一本借りて戦っていた。
そして無事森を抜け草原に出る。辺りは夕焼けに包まれておりとてもきれいだ。トエスク王国までもうすぐだ。
草原にいる魔物はこちらが大人数だからか近づいてくることすらせず、戦闘なくトエスクにつくことができた。
「お前ら!ごうくろうさん!護衛はここまでだこれから一か月は自由とする。では解散!」
「「「「「「了解!」」」」」」
「おっと、ラニア、てめえは俺と一緒に修行だ。ついて来い!」
「了解!」
まじかよ…。
まずヤキヤに連れてこられたのは、工業地区の中にある一つの工房だった。看板にはテック工房と書いてある。工房に入ると多くの武器が並べられていた。だが一般的に想像する剣といったものが一切なく、あるのは斧や槍、メイスに鞭などである。
カウンターには誰もおらず、奥からふいごのおとが聞こえる。ヤキヤは店内を見渡すと大声を上げる。
「おい、親父!こいつに武器と防具を作ってやってくれ!」
「大声出すんじゃねえ!しばらく待ってろ!!」
と奥からなのにヤキヤと大してかわらない声量で返事が返ってきた。どれだけ声大きいんだ。
しばらくするとゴーグルに白髪、キセルを加えた小柄なおじいさんが出てきた。あまりヤキヤとは似ておらず、ヤキヤは少し白髪の混じった髪を短く刈り上げており、彫が深く眼力がすごい。対して老人は髪型は似ているが、鍛冶師というより整備士といった風貌に見える。細いが引き締まった筋肉がついており、顔には深いしわがいくつも刻まれており、歳を感じさせる。
「で、なんだってぇ?そいつに武器だぁ?何がほしいんだぁ?」
キセルを吹かしながらこちらの顔を覗き込んでくる。
「槍をお願いします。」
「あぁ?なんだってぇ?」
「槍をお願いします!」
「あぁ?」
「槍を!!お願いしますっ!!!」
「っるせえなぁ、大声出すんじゃねえよ!」
なにこのジジイ、しばいていいかな?
「素材は何か持ってんのかぁ?」
「クイゾンっていう熊の骨と毛皮があります。」
「親父、ついでに防具も作ってやってくれや!」
ヤキヤが横から口を挟む。
「クイゾンかあれで槍ねぇ、いいもん持ってきたなぁ。」
といってにやつき肩をバシンッと叩かれた。
「よこしなぁ、作ってやる。明日にでもきなぁ!」
そういって奥に引っ込んでしまった。
「よし帰るぞ!」
了解と返し、宿屋に向かう。道中先ほどの鍛冶師について話してくれた。
彼の名前はフォルジュ・テック、ヤキヤが7つの時にスラムから拾ってくれたそうだ。
年齢はヤキヤにもわからないらしく30年前から見た目が変わっておらず、人族ではないのか、聞いたところ、ほかの種族と一緒にするな、俺は崇高な人族だ!と怒られたそうだ。
細いがヤキヤより力はあるらしい。
宿について、部屋を取ったらすぐに街の外にむかい、ヤキヤと鬼ごっこをした。鬼ごっこといっても、ただの鬼ごっこではなく、ヤキヤに捕まえられると全力で殴り飛ばされるのでひたすら逃げていただけだが、10発殴られたところで、終了し、宿に帰りベッドに倒れこむようにして眠った。
夜明けとともに起き、ヤキヤとともに朝の訓練をして、飯を取り、そのまま午前中はずっと組み手をしていた。
ひたすら殴られたり、ひたすら避けられたり、カウンターばかり入れられたり。
昼飯を取った後、ひとっ風呂浴びてテック工房に向かった。
「親父きたぞ!」
「うるせえ!大声出すな!」
と入るなり大声を出したヤキヤに対し自身も大声で返すフォルジュ。
昨日は工房にだれもいなかったが今日は武器を見ている兵士が一人いた。兵士だけどプレイヤーじゃないかあれ?
「よし、坊主これだぁ。」
渡されたのは真っ白な槍、長さは2mくらいあるが、両手槍としてはやや短め、柄の部分は背骨のように凸凹しており、穂先は15センチほどの骨でできた刃がついてある。石突には血管のような赤い糸の装飾が施されており、なんだか全体的に少し悪趣味な感じがする。
「いい出来だろぉ!クイゾンは堅いからな、20レベルくらいまでの敵なら問題なく突き抜けるハズだぁ!」
お前の筋力が足りればだがなぁ!と付け加えられる。
正直デザインはあれだが確かに強そうだ。
「あとこれなぁ!」
投げ渡された黒い塊をひろげると、クイゾンの毛皮でできたポンチョだった。
感謝の言葉を伝えるが、これ正直二つ合わせて装備していると完璧どっかの蛮族だよなぁ…。
「そこの兵士さんから面白い事聞けるぜえ?」
そういってフォルジュは奥に引っ込んでいってしまう。




