ラニア・サウィルダ 第4話
簡易テーブルの上にはビーフシチューのようなものと、フランスパンのようなものが数種類並べられていた。
「おぉ、うまそう…!」
「ナイレとセクレタは料理もうまいからな!」
セクレタさんは戦闘以外なら何でもできるので商会の秘書のようなポジションらしい、金髪でウェーブがかかった髪を腰まで伸ばしている。たれ目でなんともおっとりしていて、ナイレは快活に見えるため、清楚な奥様といった感じだ。あらあらまぁまぁとかいいそう。
そんなセクレタさんはわかるんだが、ナイレも料理ができることには驚きだ。任せておけ!とかいってゲテモノ出してきそうなのに。と、ナイレさんを見てみると笑顔を向けてくれたんだけど、なんだろう、なんか目が笑っていないような…、き、気のせいだよな、うん。
「ああ、美味しそうですねぇ!早く皆さん席について食べましょう!」
と涎を垂らしながらいそいそと席に着くコンタブさん。恰幅が良く頭はつるつるだ。なぜか眉毛もなく、目はキラキラと輝いた少年のようである。そんなに食いたいのか
「…。」
無言で席に着くマガゾンさん。眼鏡で目が細く根暗そうだ。アッシュ色の髪をオールバックにしているのだが、似合っていない。
「ラニア―、俺たちの分残しておけよ!」
にししっ、と笑いながらグーシュが声を掛けてくる。
俺達が食べている間見張りは、グーシュとドロイトがしてくれるそうだ。
わかったよ、と返事をして席に着く。
角に座ったのだが、隣にヤキヤが来てしまった。食事の時くらい静かにしてほしいんだが。
みんな揃ったようなので、いただきますと食材に感謝し食べ始める。
ビーフシチューはゴロゴロした野菜と、大きめに切ったお肉が入っており、肉は噛むとほろほろとくずれていき、ジュワァと口の中に肉汁が広がっていき、とてもおいしい。
人参のようなものは甘くシチュー自体もこってりしており、このフランスパンにつけて食べると、パンがシチューを吸い込んでパンの小麦の香りととてもマッチしており、あっという間に平らげてしまった。
「あらあらまぁまぁ、せっかちさんね。お代わりいるかしら?」
とセクレタさんが聞いてくる、ほんとに言ったよこの人。
遠慮なく器を差し出しシチューを注いでもらう。
「ラニアは熊の肉が好きなのか!ガッハッハ!」
うるせえよおっさん!てか、クマの肉なのこれ?
「ン?気づいてなかったのか?クイゾンの肉だぜ!俺が剥ぎ取ってやった!」
「そ、そうか、うまいな。シチューもうまいです。」
とセクレタさんとナイレに向けお礼を言う。
「あぁ、気にするな!もっと食って力をつけろよ、ラニア!」
とナイレから言われてしまった。
もらったシチューを食べきって、ごちそうさまをし片づけに入っていると、ニュメから手伝ってくれと言われたので、そちらへ向かう。
ニュメは御者の一人で茶髪がくるんくるんしている。よく馬のことを気にかけているようだ。
餌をやるのとブラッシングをするのを手伝うことになった。
「ラニアさんはどうしてうちに来たんですか?」
と聞かれたので、北を目指していることを伝える。
「北ですか。雪国ネイジ、グーシュさんとドロイトさんの故郷ですね。」
イイですよね、ネイジ。とニュメが言う。
何かいいものでもあるのだろうか?と思い聞いてみることにした。
「ご存じないんですか?雪国ネイジは動物がたくさんいるんです。この子たちもネイジで買ったんですよ!」
「へぇ?好きなんですね動物が。」
「はい!この子たちはいい子なんですよお!よく言うことを聞いてくれますし、わがままを言いませんし、それに、この毛並みすごくきれいだと思いませんか?あとこの逞しい筋肉!あとあとっ、」
「ニュメ、ラニアが困ってる。」
とクチェルさんが桶に水をもって現れた。
「あっ、すいませんつい…。」
ニュメさんは顔を赤くする。
クチェルさんは持っていた桶を馬に与え、こちらに向き直り
「ニュメがすいません、改めましてクチェルともうします、よろしくお願いします。」
と挨拶されたので、こちらも返す。
クチェルさんは黒髪で中肉中背、いつも手綱を握っているのはクチェルさんだった気がする。
「よし!そろそろ出発するぞ!」
「「「「「「了解!」」」」」」
合わせて大声出してみたけど恥かしいなやっぱり。
隊列は先頭にリオの代わりにヤキヤと、ナイレの代わりに俺が入った以外は特に変更はなく、フォース森林に向け出発する。




