2話 のんびりした時間
前回、月一には更新すると言いましたが無事投稿出来て良かったです。
ガチャリという音と共に聞こえる足音。それは、村長が部屋から出て行く合図だと言うことを示す。
───それが不意に止まる。
「おお、そうじゃった。まだ話すことがあるんじゃったわい」
全く格好良く決まらなかっな.....
村長は部屋へと戻ると、再び俺の前へと座った。
「それで、話とは?」
「お主にまだ言うことがあったんじゃよ」
言うこと?何か重要なこと...?
「実はじゃな、ちょうどさっき魔女が死ぬ間際言っていた事を思い出したんじゃよ」
「....それで魔女は何て言ったんだ?」
「....確かその救世主には森に行かせろ。だったはずじゃ」
ん?今何ていった?森だと?
「確か森って妖精とかがいるんじゃ...」
「そうじゃの...」
「無茶苦茶危ねえじゃねえかよ!」
「まあそう言うな..妖精達はわしらに好意的に接してくれると聞いておる。おそらく大丈夫じゃ」
な、なら安心だな...多分。
「話すことはこのぐらいじゃ。お主はここに来てまもないと思うしこれからゆっくりしていってくれ。森に行くのはそれからでも構わんじゃろ。.....あとこの部屋自由に使ってもらって構わんぞ」
そう言うと、再び立ち、今度は本当に部屋から出て行った。
「これからどうするか....」
つまり暇だと言うことである。
それからふと俺のポケットに手を突っ込む。
スマートフォンを取り出したのである。
「あ、そうか...ここ圏外だから何もできないんだっけ。.....にしてもする事が無くなったらすぐにケータイ触るとか結構重症だな....あ、ついでに電源切っておくか...」
そう呟き、今度はスマートフォンを床に置く。
「そういや、こんな物もあったっけな...」
そう言い今まで存在を忘れていて背負っていたリュックサックを自分の前へと持ってくる。
「中には....お、俺タブレットも入れてたのか。まあ、ここじゃあ全くの無意味だけど...あとは飲み物とかだな」
大したものが入ってねえな...
そう思い、俺はリュックサックを部屋の端に置いた。
「ま、ちょっと暇つぶしに外に出てみるか....」
そう呟くと俺は立ち、ドアを開け外へと出る。
「──」
眩しい光と共に、風が頰を撫でるように吹く。
そして目の前には民家を奥に、土の色が見える沢山の畑がある。
「こんな風景だったのか...全く気付かなかった...」
....ここは村の端にあるせいか、人の姿が全然見えないな...
しばらく景色を眺めながら、
「それにしても...本当に異世界に来たんだな....案外良いところだな!....」
そう呟き、目の前に広がる景色をもう一度眺め、部屋に戻った。
「結局外に出てもする事が無かったな...散歩とかしても良いけどこんな狭い村でも1分足らずで迷う自信あるし....」
となるとする事は.....
「この家の中でも見て回るか」
なんせ、魔女の家である。いや、胡散臭い気もしなくも無いが.....村長が結構本気で魔族やら妖精やら言っている辺り、もしかすると....
「まあ、とりあえず見てみるか」
まず目についたのは、古そうな木材そのものの色がとても強い椅子と机である。
誰も椅子と机に興味が湧いたのではなく、机の上の両端に積み重なってある沢山の本などに興味があるのである。
「どの本も辞書並みに分厚いな....とりあえずこの本でも開いてみるか」
一番上に置いてある本を手に取り、重いながらも何とか両手で持ち、本を開く。
そして、その中には...
「なんか....予想通りだな...異世界の本が俺に読めるはずがないか...」
知らない文字で書かれていた。漢字のように、文字を見ると大体の意味を理解出来るような文字ではなく、アラビア文字のように文字を見ただけでは何も理解出来ない。
そんな事を思いながら、少しずつ1枚ずつページをめくっていくと、さらに新たな発見をする。
「何だこれは....?図形だよな...もしかしてこの世界で言う数学か?と言う事はこれは教科書......?いや、でも何かが違うような....」
書かれていた図形とは、二重丸の小さな丸と大きな丸の中に、文字が円を描くようにぐるりと書かれ、文字の向きが円の中心を向いている。さらに小さな円の中には、12本の等しい長さの線で作られた図形、つまり12芒星が書かれてある。
是非ともこんな正確に図形を書く方法を教えてもらいたいが、それより先に他の本を見てみたい。
そう思い、ペラペラペラと次々とページをめくっていく。
すると、今度はページによって図形にバツ印が付けられ、訂正したのか新しい図形を描いたページや、ただただひたすら読めない文字で書き殴られたページなどがあった。
「......もはや何の本かわからなくなってきたぞ.....」
そう呟くと、俺は手に持っていた本を置いた。
「まあ、今度村長にでも聞いて見るか。村長なら何か知ってそうな気もするしな........さて、次は二階にでも上がってみるか」
そう呟き、俺は階段を登り始める。
「.....この階段お洒落だけど少し登りにくいな...」
階段が部屋に巻き付くように伸びているため、普通の階段とは少し感覚が違う。
「お、結構普通だな」
二階に着いた俺は、そんな感想を漏らす。
二階にあるのは、キッチンと食事に使うのであろう、小さな机と1つの椅子がある。床には一階同様、絨毯が敷いてある。部屋の広さはもちろん一階と同じで、八畳弱位の大きさ。
.....結構散らかってると思ったんだけどな.....意外に綺麗だな。...もしかしたら殆ど使って無かったのかもな。
「さて、じゃあ最後に地下の部屋にでも行ってみるか。」
そう呟き、俺は半円を書くように伸びて階段の手すりを掴む。
「この家が魔女の家って聞いてたからどんなものかと思っていたけど意外と普通だな」
階段を降りて行くうちに一階に着く。そのまま地下の部屋へと繋がる階段を降りていく。
この階段は一階から二階へと続く階段とは違い、直線的な階段になっており、途中で直角に曲がっている。
....いや、そんな事よりも....
「当たり前と言っちゃ当たり前だけど日の光が入らないから部屋が暗いのか...」
地下部屋に着いた俺は、
「電気電気っと.....あれ?無いのか?.....無いな。まあ、日本で普通だった事はここではそうでもないよなでも明かりは欲しい...」
そう呟き、少しずつ歩こうと足を踏み出した時。
「ん?足に何か当たったな。........お、これはランタンか?これで明かりがつくな」
そしてランタンの取っ手を持つと、
「光がついた!火とか付けなくてもいいのか?..まあいいか。.....それより、さすがにこれは暗いだろ....」
光がついたのはいいんだが、その光の明るさはせいぜい物に近づけるとぼんやりと形がわかる程度の明るさである。
...ちょっと念じてみるか!
「もっと明るくなれ!..!なった!」
一瞬だけだが、少し明るくなった気がする。
....にしてもこれ、何か疲れるな。
「じゃあ少し見ていくか......ん?あそこの壁の方に何かほのかに光ってるのが見える気が...」
そう呟きながら、ほのかに光ってる物へと近づいていく。
そして、新たに何かの影も見えてくる。
「────!」
ほのかに光る物への前へと立った時。
───そこには
俺の顔があった。
「う、うえぇ!?」
俺は驚き戸惑い、ふらふらとしながらバランスを失い、その場へと座り込む。
「......何だよこれ...ん?これ、よく見たら鏡じゃねえか!」
暗いせいで見えなかったが、それは俺の身長位ある鏡だった。
「ま、まあ、これが鏡だとわかったし少し気をつけながら見ていくか...」




