キャラの名前は大切に!
初作品初投稿なので、誤字脱字はすみません。
ご指摘等はバンバンお願いします!(作者のメンタルは雑魚なのでお手柔らかに…)
おそらく2週間に1回のペースで投稿すると思います!
投稿は金曜日中を予定してます( ³з³)و グッ!
雲ひとつない青い空、ズラッと並ぶ建物、溢れかえる程の人。
「拝啓 お父さんお母さん 元気ですか?俺は今、よくわかんない場所に居ます・・・。」
目に涙を浮かべながら呟いてみたものの、何も変わらない。
俺は自分に何が起きたのか冷静に思い出していく。
今から遡る事2時間前。
「あーだめだ、気持ち悪い」
俺は保健室へと向かっていた。
ちなみに、俺の名前は清水春樹。都内の高校に通う2年生で、あと1ヶ月程で17歳になる。顔はどこにでも居そうなナイスガイである。
保健室に着き、スライド式の扉をノックすると中から声が返ってきた。
「開いてますよー」
その言葉を聞いてから扉を開ける。
もちろん美人で若い女の先生が居るわけでもなく、ある程度の年をとった優しそうな女性の先生が居た。
「すみません、気持ち悪くて・・・」
入ってからそう伝えると、
「あら、とりあえずここのイスに座って?」
と言われ、その指示に従う。
「何時から気持ち悪いの?」
「今朝からです、学校に来れば自然に治るかと思って登校したのですが・・・」
「そう、無理はしちゃいけませんよ。今日はもう帰ってゆっくり休みなさい、一応病院にもいってくださいね?」
「はい、わかりました。失礼します。」
保健室を出て鞄を取りに教室へ戻る途中にチャイムが鳴り、教室に着くとちょうど担任の先生が授業を始める所だった。体調が悪いので早退する事を伝えると、「気をつけて帰れよ」と言われ帰路に着く。
通学はいつも自転車のため、近くの病院に行ってから帰ろうと思い自転車をこいでいく。
病院に着き、受付を済ませ近くの椅子に腰をかけて待っていると、10分程で呼ばれた。指示された部屋にむかって行くが、俺にとってそこが運命の分かれ道だったことなど知る由もなかった。
扉を開けると、そこにはなぜか真っ白な空間と一人の女性が立っていた。その女性は、今まで俺が見てきた女性の中でも明らかにレベルが違うと言い切れる程、とても綺麗で美しかった。いや冗談抜きにマジで。
「中へお入りください。」
透き通った声につられて中に入ると、扉が閉まり消えてなくなる。しかし、あまりの美しさに我を忘れて扉が無くなったことに気づかなかった。そして、目の前に立つ女性は話し始める。
「あなたの名前を発表します。”あああああ”です。」
「・・・え、いや、え?」
戸惑う俺を無視して更に話を進めていく。
「今からあなたに違う世界へ行っていただき、暮らしていただきます。言語はこちらのほうで伝わるよう配慮しますので心配はございません。ちなみに、これから行っていただく世界にはあなたのように転送されてくるもの、されてきたものは居りませんので色々と気をつけてください。それでは、転送しますね。」
その言葉と同時に足元が光り輝いていく。
「あ、そうそうあちらの世界でお会いできるよう頑張ってくださいね?」
何か言おうと口を開くが、視界が光に覆われて反射的に目を閉じてしまう。
次に目を開けると、そこは洞窟の中だった。
そして目の前には、猪に角が生えたような生物が唸り声を上げて俺のほうを見ていた。何で猪に角?と思った瞬間、いきなり猛スピードで突進してきていた。
とっさに避けようとしたが間に合わず、腹部に激しい痛みが襲いその場に膝を突いてしまう。
「くそっ、めっちゃ痛てぇ!何なんだよいったい!!]
と叫んでみても何も変わらず、猪のような生き物は体制を整えて再び猛スピードで突進してくる。しかし、手負いの状態で避けられるはずもなく、無抵抗のまま二度目の激痛に襲われ数メートル程転がっていく。
周りは血で真っ赤に染まっていた。
「(あー、何でこんな目にあってるんだろ俺・・・。バカみたいに痛てぇし、つーかこれやばくね。意識が・・どんどん・・・・・・。」
こうして、異世界に転送されて一瞬にして死を迎えてしまった。
あれからどれほどの時間がたっただろう。なぜか声がする。
「・・・・・さん。」
ああ、とても綺麗な声だな。これが天使の声なのか?
「・・・ああさん。」
天国って本当にあったのか、それともまさかの地獄か?
「あああああさん!」
気が付くと、先ほどの真っ白な空間に戻ってきてしまっていた。
もう何が何だかわからなくなり、思考が停止してしまう。そんな時、先ほどの女性がクスクスと口元を手で隠しながら上品に笑っている。
「すみません、いきなり迷宮に転送しても行動できませんよね。一度死んでしまいますとその時点で終わりなのですが、今回だけ特別にもう一度だけ転送いたします。転送して一瞬でで終わりというのもあれですし、今のは私の判断ミスですので。」
「は、はあ」
何とか声を発したが、すぐに
「次は街のほうに転送いたしますね。あ、それと、今回は転送している間にキャラ設定を行っていただきますね?待ちに着いてからキャラ設定を行うのはおかしな目で見られてしまいますので。目の前に画面が出ますので、右手で触れて操作してください。それでは。」
と言われ、再び足元が光り輝き視界が光に覆われていく。
そして先ほどと違うのは、光に包まれたまま目の前にキャラ設定画面と書かれたものがスクリーンに映しだされているかのように展開されている。
「うん、訳がわからん。説明少なすぎる上に、俺何も言ってないし疑問しか残んねーし!てか、このキャラ設定画面ってなんだよ!名前とかまじで”あああああ”だし!変えらんねーのかよ!?」
光に包まれながらそう叫ぶ。
よくゲームをする時などに”あああああ”などとテキトーにつけていたが、自分が”あああああ”になるととても泣きたくなる上に、名付けたやつをぶん殴りたくなってくる。
「今までテキトーに名前付けてきてごめん・・・」
と、誰に謝っているのかわからないが、謝らずにはいられなかった。
しかし、何時までもそんなことを考えているわけにもいかないと思い直し、目の前の問題を片付けにはいる。
「確か右手で触れば動くって言ってた気がするけど・・・。」
試しに手を伸ばして、右手で触れようとする。すると本当に画面が反応した。
今まで数々のゲームをしてきたが、こんな技術は初めて見た。
「お!本当に動いたよ!えーと、名前は変えられないみたいだし、スキルもすでに書いてある。石変花?何だこのスキル??うわ、せ、性格まで書いてあるのかよ・・・。はぁ、決めるのは職業だけか。えーと、傭兵・盗賊・冒険者・村人・・・・いっぱいあるな。」
職業を決めようと右手を動かしスライドしてみていくが、数が多すぎる。
「つか、なんだよニートって・・・」
ぼやきながらも良い職業がないか探していく。実際こういう職業とかを設定して遊ぶゲームなどはよくやっていたし、ゲームはもちろんだがアニメやライトノベルなどもよく読んだりしていた。そのせいもあってか、一旦落ち着いてからは冷静に考えることができている。そこでふと落ち武者という職業が目に入った。
「さっき剣士とかあったけど落ち武者って・・・。なにか特別な力とかもってるのかな?」
内心馬鹿にしながらも、気になって説明文とか出ないかなと落ち武者をタッチしてみる。すると、職業を落ち武者に決定いたしました。というアナウンスが脳内に響き渡る。
「え!?いやいやいや!!まっってまってまって!普通は確認画面とか出るよね!?」
と叫ぶが、職業を変更することができない。しかし決定されてしまったものは今更どうしようもないので、溜息をつきながら説明確認画面と書かれたものに目を通していく。そこには、落ち武者とスキルについての説明が書かれていた。
職業 落ち武者
使用可能武器 刀
特殊効果
刀を装備している間、逃げ足が速くなる
スキル 石変花
効果
石を花に変える事ができる。花に変える場合、代償として使用者本人の体内から水分を摂取することで花に変わる。体内の使用できる水分は8ℓだが、使用するごとに身体能力が低下し、2ℓ使用するごとにランダムで体に異常が起き、8ℓ全て使い切ると衰弱死する。使用した分の水分を補給するで使用できる水分が回復する。ただし、使用できる水分の上限は8ℓを超えることはない。
「何だよ逃げ足が速くなるって・・・。それに、石を花に変えてどうしろってんだよ・・・。」
職業とスキルについての説明を読んだが、どちらも使うタイミングや役に立つような出来事が浮かばない。
また読み終わると、「冒険者ギルドの登録料と三日分の生活費をポケットに入れて転送いたします。補助として、言語通訳と名前と念じることで、相手の名前を見ることができます。しかし、相手の顔を視認していなければいけません。また、これでキャラ設定は終了となります。このタッチ式画面は今後使用することはできません。それでは、街の中に転送いたします。」という文字が書かれていた。そして読み終えた瞬間、目の前には街が広がっており現在に至るのである。
しかし、いつまでも呆然と立ち尽くしているわけにも行かないので、先ほど書かれていた冒険者ギルドへ、登録しに行くことにする。
「といっても、冒険者ギルドってどこにあるんだ?」
ま、そのうち見つかるだろうと思い適当に歩くことに決めたが案の定迷ってしまう。仕方がないので道を聞こう。ついでにどうやって相手の名前を見ることができるのかの確認もするか。どの人がいいかなー、と通りに出て優しそうな人は探してみる。
キョロキョロしていると優しそうなおじさんが居たので話しかけてみる。
「あ、あの、少し伺いたいことがあるのですが・・・。」
「お?どうした坊主?」
「冒険者ギルドに行きたいのですが、道に迷ってしまいまして・・・。」
「ああ、それならここを真っ直ぐ行って・・・」
道を聞きながら、相手の名前と念じてみる。すると相手の頭の上に「(-_-)zzz」と浮かんできた。
「んで、ここの突き当りをー「!?!?!?!?はい!?」・・・どうした?」
思わずそう呟いてしまった。
「あ、いや、なんでもないです!大丈夫です!」
「ならいいんだが、でだ、突き当りを右に曲がってすぐのところにギルドがあるぜ」
「あ、はい、ありがとうございます。で、では・・・。」
お礼を言ってすぐにその場所を離れる。あまりの出来事にパニックに陥りながらも教えてもらった道を進んでいく。あれは何だったのかブツブツ呟きながらもギルド前に到着する。
「よし、さっきのはきっと見間違いだ。後でもう一回試すことにして登録をしちゃおう!」
そう意気込んで扉を開けると、沢山の人が居た。呆気に取られながらも掻き分けるようにして進んでいく。
奥には受付らしきカウンターが5つ並んでおり、どのカウンターにも綺麗な女性が立っていた。とりあえず、人の少ないカウンターに並んでおく。少しして自分の番が回ってきた。
「お待たせいたしました、本日はどのようなご用件でしょう?」
「え、えっと、ギルドに登録をしたいのですが。」
カウンターの女性は、髪が深縹色でセミロング程の長さだが、現代では考えられないほど似合っており、一目惚れしてしまいそうなほど可愛かった。歳は10代後半くらいだろうか?そんなことを考えながら、笑顔を向けられてドキドキしながらも返事を返す。
「登録には銀貨2枚頂きますが平気ですか?」
銀貨2枚?そういえばお金の数え方わからねーよ。
なので、ポケットの入っているお金を見せながら聞いてみることにする。
「えっと、田舎から来たもので数え方があやふやなんですが・・・。」
「え!?どちらの方からいらっしゃったんですか?」
あれ、やっぱり数え方わからないと怪しまれるのか?と思いながらも必死に言い訳を考える。
「た、たぶん言ってもわからないですよ?ほとんど交流とかを持っていなかった小さい集落ですので・・・。」
「そ、そうですか。まあいいです。数え方は銅貨10枚で大銅貨1枚分、大銅貨10枚で銀貨1枚分と10枚ずつで上がっていきます。」
話によると、白金貨まで存在するらしい。
「それで、登録には銀貨2枚が必要になりますが。」
「あ、はい。平気です。」
と、銀貨を2枚渡す。
「はい、ではこちらの用紙に血を数滴垂らしてください。」
そう言われ、果物ナイフのようなものを渡される。
え、ナイフできるの?針とかじゃなくて??絶対痛いじゃん。嫌なんだよなー、あ、でもさっき猪みたいなやつに思いっきり刺されてるからそれよりはマシか。などと思いながらナイフを受け取り指先を少し切る。血を数滴垂らすと文字が浮かび、受付の女性はその用紙を見ながらカードのようなものになにやら書き込んでいく。
しばらく待っていると、
「登録のほうが終了いたしました。こちらが冒険者ギルドのカードになります。お名前は”あああああ”さんでお間違いないですか?」
「あ、はい・・・。(うわあああああ、やっぱりおかしいよなあああああ!!!!)」
と思いながら返事をすると、受付の女性は何事もなかったように注意事項を話し始める。
「ギルドカードにはランクがあり、G・F・E・D・C・B・A・Sの8段階あります。Gランクが一番下で、Sランクが一番上となります。ちなみに、Sランクの冒険者様は今のところ、世界中で3人しかおりません。ランクは依頼を達成する又はギルドに貢献することで上がっていきます。ギルドカードを紛失した場合は、再発行に金貨2枚頂きます。ここまでで何か質問はございますか?」
あれ?なんで名前に突っ込まないんだ?と疑問に思いながらも質問する。
「依頼を受ける時はどうしたらいいですか?」
「依頼を受ける場合は、あちらに掲示板がございますのでそちらに張ってある依頼用紙をこちらまでお持ちになってください。依頼のほうは、自分のランクよりも1つ上まで受けることができます。依頼に失敗した場合は、依頼達成時の報酬金額の半分をお支払いいただくことになります。他に質問はございますか?」
「大丈夫です。ありがとうございました!」
そう言い立ち去ろうとして、聞いておかなければならないことが2つあったことに気が付き質問する。
「あ、すみません、2つだけお聞きしてもいいですか?」
「はい。何でしょうか??」
「あなたのお名前と、あとこの辺でお勧めの宿とかってありませんか?」
「あ、名前を言っていませんでしたね。私の名前はアンラッキーです!お勧めの宿でしたら、ここを出て右の2件目にある”ヨー”という宿がお勧めですよ!」
「あ、ありがとうございます。」
お礼を言ってギルドを出る。
「ふぅ、無事登録できてよかった。それにしても、名前がアンラッキーって・・。意味わかってて名付けたのか・・?あんなに可愛い人なのにかわいそうだな・・。人のこと言えないけど。あ、自分も名前がおかしいから突っ込まないでくれたのかな??」
そう呟くが、名前と念じてみる実験をすることを忘れたことに気が付き肩を落とす。
「ま、明日依頼を受ける時に試せばいいか。それよりも宿だな!右に2件目のはずなんだけどー。」
と呟きながら、教えてもらったとおり右から2件目のお店の前に来た。しかし、そのお店の看板には
"(´・Д・)」"と書かれた看板がぶら下がっていた。