1話 誕生
目を開けると、目の前に綺麗な女性の顔があった。
年の頃は二十くらい。前述したとおり綺麗な顔立ちをしていて、瞳は透き通るような青。髪はサラサラした金髪だ。
――誰だ?
「・―――・―――・・――」
「――――・・・―・・――・ー」
この女性はどうやら近くにいる男性と話しているようだ。
この男性も美形だが、女性には少し劣る。目鼻立ちはスッキリしているが、瞳は好奇心に溢れた茶色。髪も少し跳ねている薄茶色だ。
ふむ。この男性も見たことがない。とりあえず声を出そうとしたが、
「あうあう」
全然音として発音できない。というか、まず全然体が上手く動かせない。
これはどういう事なんだ?
「・・――――・・――――・・・」
「――――・・・――――・」
また何か言っている。私には喜んでいるように見える。
よくわからないが、とりあえず状況を確認しよう。
私の目の前には男性と女性がいる。
周りには木で作られたと思われる壁。さらにテーブルや椅子、台所らしきものもある。
私はあまり料理などはしないからな。はっきり台所だとは言えない。
窓から外を見ると、夕暮れ時なのか朝方なのか分からないが、昼というには暗すぎ、夜というには明るすぎという明るさだ。
窓から道も見えるが、人はあまり通っていない。
さっぱり訳が分からない。
分かったのは今が昼とも夜とも言えない微妙な時間帯ということと、ここが私の知っている場所ではないということぐらいだ。