伝説の男・レンジ
マサシとシンジは、歩いてレンジの家を訪ねた。レンジの家は草ぶき屋根で、大きくもなく小さくもなく、村ではごく普通の家だった。レンジは、戸を開けて横になり、ぼんやりと庭を見ていた。
マサシ「こんにちわ、はじめましてレンジさん、ちょっと相談があるんですが。」
レンジは、横になったまま話を聞いた。
レンジ「ああ、たぶん嫁の相談だろ?噂で聞いたよ、だけど、タダじゃあなあ。」
レンジは、二人に右手で2のサインをして叫んだ。
レンジ「一人、相談料2000円ずつだ。」
マサシ「え?相談料がいるんですか?」
レンジ「当たり前だ!!2000円でお前らの悩みが解決するんだ、安いもんだろ?早く金を出せ、前払いだ、それが嫌なら帰れ!!」
マサシとシンジは、渋々2000円をレンジに渡した。
レンジ「よし、じゃあ、結論から言うと、お前らは東の村のブスな女を嫁にもらえ。お前らは、ブスな女を嫁にもらうために生まれて来たような男達だ。」
マサシ「はあ・・・・しかし、一生ブスと暮らすのはちょっと。」
レンジ「贅沢言うな!!お前らみたいな貧乏人は、嫁をもらえるだけでもありがたいと思え!!それに、ブスな嫁の方が世間は同情してくれるし、生きやすいってもんだ!!」
シンジ「あの・・・・レンジさんは結婚しないんですか?」
レンジ「しない、ブスと一緒に暮らすぐらいなら、独りでいる方がましだ。」
マサシ「あの・・・・レンジさんも俺達と変わらないような・・・・。」
レンジ「そうだ、だけど、お前らは俺みたいになりたくないだろ?村では誰にも相手にされず、学校では、教師が子供に"レンジさんみたいな大人になっては絶対にいけません"て教えてるんだぞ、お前らも、そうやって大人になった口だろ?」
シンジ「・・・・はい、学校でレンジさんみたいになってはいけないって習いました。」
レンジ「おいおいおいおい、じゃあ、相談に来るなよ!!」
マサシ「あの・・・・西の村の女は美人ばかりって噂は本当ですか?」
レンジ「さあな、なんせ西の村に行って、帰って来た奴はいないからな。西の村の女を口説いたとしても、またライオン・ロードを通って帰らないといけないわけだろ、しかも女を連れてだ、無理だろ、てか、女がライオン・ロードを通るのを嫌がるだろ、つまり、西の村に無事たどり着いたとしても、女は嫁には来ないってわけだ。」
シンジ「確かに。西の村に行った奴らは、ライオンに喰われたか、あるいは西の村にそのまま住み着いたか、あるいは、さらに西の村の向こう側に行ったか・・・・。」
マサシ「西の村に行くということは、もう二度とここには戻って来れないということか。」
レンジ「帰りのライオン・ロードも無事通り抜ければ、戻って来れるぞ、まあ、これで結論が出ただろ、お前らの選択肢は一つだけ、東の村のブスを嫁にもらうしかないんだよ。」
シンジ「はあ、やっぱり、ブスな嫁をもらうしかないのか、でも、俺達にはそれが妥当だよな。」
レンジ「そうそう、やっと納得したようだな。」
マサシ「だとしても、俺は西の村へ行く。」
レンジ「はあ?お前バカか?」




