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7日目 アリーシェ・メッゾタリア 3

三日続けての投稿です。


これはパート3です。

 俺はアリーシェから、俺達がここにいる理由を教えてもらった。

 それをまとめると――――今日はもう仕事が終わったからどうしようか、と俺とアリーシェが話していると、アリーシェの母、ナタルが『ならノクファーン湖にでも行って、羽を伸ばすというのはいかがかしら』と提案してくれたようだ。

 父のバルモアもそれに賛成し、俺達はここへやって来た――――ということらしい。


 グッジョブです、アリーシェのお母さん、お父さん。

 言われてみれば、俺もそんな気がしてきた。


 いやぁでもさ、俺ってかなり悪いようなことをしている気もするんだよね。

 毎日、別な女の子とイチャイチャして……ただのモテない童貞大学生がこんな人間、いや、吸血鬼になるなんて思わないよね。

 そう考えると、何も知らないであろうアリーシェのご両親には申し訳なく思えてくる。もちろん、アリーシェにもだ。


 重婚が可能なヴァルレイ王国。

 このまま突き進んでしまいたいと思っているのは、確かに俺の本心だ。

 最終的に、“グロワール”の少女達に問うことになるだろう。俺はもう、彼女達を手に入れることしか頭にはないのだから。


 女の子を“手に入れる”とか“欲しい”とか、俺は相当な悪になっているんじゃないだろうか。

 俺は(まさ)しく、母親似なんだろうな。


「ジン陛下? 何か可笑(おか)しいことでもあったのですか?」


 おっと、俺は1人で笑っていたようだ。

 俺は視線を前方にある湖面から、右にいるアリーシェに移した。


「ううん、なんでもない。ちょっといろいろ思い出していただけだよ」

「そうでしたか」


 アリーシェはそう言うと、太陽が反射して煌めくノクファーン湖を、穏やかに眺め始めた。

 俺も彼女と同じ景色が見たくなり、再び湖面へと顔を向けた。


 ノクファーン湖から気持ちいいそよ風が吹いてきて、俺の髪を揺らした。

 俺達の周りは木々に囲まれ、足元に感じる草が冷たくて心地いい。

 森と湖の爽やかな香りと、近くにいるアリーシェの甘い香りが、俺を安心させてくれる。


 俺はこのヴァルレイ王国に来てからずっと思っていたことがある。


「実はね、俺の実家が“ある”故郷(こきょう)も、このヴァルレイ王国みたいにたくさんの自然、畑、それに田んぼや川があったんだ」


 正確には“あった”かな……現状を見ていないからわからないけど。地球の時間では、俺が死んで100年以上経っているだろうから、家なんてなくなっているだろう。

 俺に兄弟はいないし、歳が近い親戚の子供は大分少なかった。これぞ少子高齢化。俺の家を継ぐなんて人もいないだろう。

 もしまだ俺の家があったとしたら、それは空き家かな……他人様(ひとさま)のご迷惑にならないように潰しておいてほしいんだけどなぁ。 


「ジン陛下の故郷と言われますと、チキュウの二ホン、という所でしたか。とても不思議なお話です。世界が他にもあるだなんて……」

「俺の予想だけど、世界はもっとたくさんの数があると思うよ」

「はわぁ……想像がつかなくて、なかなか難しいお話ですね」


 右隣からアリーシェの唸り声が聞こえてくる。

 そうだな、難しい話はやめよう。


「俺はこの国の景色を見ていたらね、たまに思い出すんだ。夏になったら、近所にある爺ちゃんと婆ちゃんの家に行って、トウモロコシとか、ジャガイモとかの収穫の手伝いをするんだ。それでね、たまに親戚の農家の人からメロンとかスイカとか、いろいろな物を貰って、家族全員で美味しく食べるんだ」


 アリーシェは俺の話に耳を傾け、聞き手に回ってくれるようだ。


 俺はそのまま話を続ける。


「収穫のときは暑くて、喉がカラカラになってね。貧弱な俺は、もうダメだぁ、ってなっちゃうんだけど、そこで婆ちゃんが冷たい飲み物と甘いお菓子を持ってきてくれるんだ。冷たい飲み物が乾いた体に染み渡って、甘いお菓子を食べたら元気が戻ってくるんだ」


 俺はチラッとアリーシェの方を見た。

 彼女は興味津々という顔をしていて、可愛い。


 俺はまた続けて話し始めた。


「夕方になって、だんだん手元が見えづらくなってくると、その日の作業は終了なんだ。そのとき空を眺めるとね、風で細長くなった雲が夕焼け色に染まって、夕日から遠ざかるにかけて底なしに暗くなっていく。小高い丘にあるその畑からは、とてつもなく広い空が、まるで自分に迫って来るかのように見えるんだよ」

「美しい光景なのですね」


 アリーシェの声はとても優しかった。


 俺は湖面を向いたまま、話し続ける。


「うん、とっても。このヴァルレイ王国の夕焼け空がね、似てるんだ、俺の見た―――――あの紅く壮大な景色に」

「ジン陛下は……故郷へ帰りたいと思われているのですね?」


 アリーシェは深刻そうな声色で俺に尋ねてきた。


「ううん、別に帰りたいとは思っていないんだ。戻っても、俺の知っている人は死んじゃっていて、今はもうそこにはいないだろうしね」


 アリーシェは『そうですか……』と小さく呟いたのを俺の右耳が感じた。

 俺は『ただね』と前置きし、再び口を開いた。


「寂しくなるんだ。俺は決して強いわけじゃない。どんなにすごい力があっても、俺は誰かに甘えてしまう。俺はいつまで経っても寂しがり屋で甘えん坊なまま、変えられないんだ」

「いいと思いますよ」

「え?」


 間髪を入れない予想外なアリーシェの反応に、俺は思わず聞き返してしまった。

 右隣に顔を向けると、彼女は少女とは思えない程、深く、温かい目で俺を見つめてきた。


「弱みがあったっていいと思うんです。“完璧で最強”、それは確かにかっこいいかもしれません。ですが、私は“寂しがり屋で甘えん坊の優しいジン陛下”の方が、可愛くて素敵だと思います」


 こんな俺は呆れられるかな、と思い、アリーシェに話すのが少し怖かった。でも、ありのままの俺を彼女に見せないと、俺の気が済まなかったのだ。

 彼女は俺の能力ではなく、中身を見てくれている、ということだろうか。


「そっ……か。ありがとう、アリーシェ」

「ジン陛下」

「ん? 何?」


 アリーシェはお姉さん座りをしている足を左手でポンポンと叩き出した。


「私にもっと甘えてください。ジン陛下の望むことでしたら、なんでも致しますから」

「え!?」


 アリーシェからそんな大胆なことを言われるなんて、俺はまったく予期していなかった。


 甘えたい……で、でも……。


「日傘の影になって、後ろにいるフェンリルの兵士達からは、私達の姿がほとんど見えません。私達とその兵士達以外、ここには誰もいないようですし、いかがですか?」

「失礼します……!!」


 俺はアリーシェの膝に飛び込んだ。

 顔を彼女のお腹に向け、俺は彼女に膝枕をしてもらう。左の頬に、彼女の左足のやわらかい内太ももを感じ、そこに頬ずりした。


「はわぁッ……!! ジン陛下が、私の膝の上に……はぁあ、可愛いです」


 アリーシェは俺が隠れるように日傘を左後ろに置き、空いた両手で俺を撫でてくれた。

 彼女の左手が俺の右肩に、彼女の右手が俺の頭に置かれた。俺は彼女に優しくほぐされるように()でられた。


「アリーシェ……そろそろ『ジン』って、呼んで欲しいな。敬語も……なしがいぃ」

「はい! あっ、うん! ジン……こんな感じかな?」


 アリーシェの可愛い声がこんなに近くで聞こえる。


 俺はアリーシェの左わき腹から滑り込ませるように、両腕を彼女の背中に回し、抱き寄せた。顔全体に彼女のやわらかさとぬくもりを感じる。

 俺の髪を掻き分ける彼女の右手も気持ちよく、彼女を抱き寄せる俺の両腕の力が、自然と強くなった。

 彼女の左手が俺の背中をさすってきて、彼女に全身を包まれているかのような感覚に陥り、俺は彼女によって心の底から癒されていった。


「うん。アリーシェ……好き」

「ハワぁぁあああッ……!! 好き! 私もジンのこと、大好きだよっ」


 ◆


 ――――――陽が暮れ、吸血鬼の城へと戻った俺とアリーシェは、何気ない顔で“グロワール”の少女達と夕食を済ませた。


 今、俺達がいるのは、雪人とマンティコアの城の間にある、アルミラージの城。その塔の最上階にあるアリーシェの部屋の中、俺は彼女と昼間の続きをしていた―――――


 俺はアリーシェの部屋に入り、彼女が扉を閉めた瞬間、待ちきれなくなって前から彼女に抱き付いた。

 彼女は微笑みながら俺を抱きかかえ、ベッドの左側まで連れて行ってくれた。彼女は移動中に俺の靴を脱がしてくれた。


 ベッドに座ったアリーシェは、俺を膝の上に座らせ、俺の頭を両手で優しく撫でてくれた。

 俺は念願のアリーシェのおっぱいに顔を埋め、声も出ないくらい至福の時を過ごした。


 ワンピース越しのアリーシェのおっぱいはふかふかで、俺が顔を押し付ける度にその形を変えた。

 彼女の爆乳は俺の頭より遥かに大きい。彼女の深い谷間を、鼻先で探り、俺は奥へ奥へと潜っていった。

 彼女の甘い香りを鼻に強く感じ、俺の脳がとろとろに溶かされているんじゃないか、と錯覚しそうになる。 


「そんなに強くしがみついて……はぁあッ……私のおっぱい好き?」

「すき……ぜんぶすき」


 『乳幼児化』した俺は、服が少しダボダボになった。

 アリーシェが俺の胸元に右手を滑り込ませ、俺の服のボタンに触れた。俺のボタンに彼女の魔力が流れ込んでくるのを感じた。

 瞬間、俺の服がピシッと縮み、俺の体にフィットしていく。

 中の黒いシャツ、下の黒いズボン、上の紅いローブ―――――彼女の右手が、俺と彼女が密着している隙間をスルスルと滑っていき、少しこちょばしい。 

 小さくなった俺の体に合わせ、彼女が俺の服の大きさを調整してくれたようだ。


 俺はアリーシェの谷間から顔を出し、彼女の顔を見上げた。

 彼女の目は細まり、小さなシャンデリアの蝋燭の火が、その瞳の中で燃えている。 


 ぼーっ、という小さな火の音が、俺とアリーシェが見つめ合う空間を支配した。 


 アリーシェのふわっとしたピンク髪が香った。


 アリーシェが近づいて来る。

 彼女の息遣いを頬に感じ、俺と彼女との距離が、鼻先わずか数センチしかないことを実感させられる。

 目を閉じた彼女は、いつにも増して(うるわ)しい。


 アリーシェの温かい両手で俺の後頭部が支えられ、俺も目を閉じたそのとき、俺は彼女のやわらかい唇に触れた。

 彼女の愛が俺の心を救い上げるように包んで来る。


 俺はアリーシェの胸の上に手を置いた。

 鎖骨の下近くに置いたのにも関わらず、俺の手からはふにふにとした感触が伝わり、俺は(もてあそ)ばれる。


 チュッという音と共に、アリーシェの唇が俺から離れた。

 彼女は嬉しそうに微笑み、両手で俺の頬を挟んだ。


「私の初めてのキスだったんだよ」

「ふふふ、もぅいっかい」

「うんっ」


 アリーシェは俺が頼んでも頼まなくても、何度も俺にキスをしてくれた。


 ◆


 俺は彼女に腕枕で添い寝してもらい、愛でられた。

 彼女のピンク髪が俺の右頬の上に掛かり、彼女がそれを()けてくれた。 


 そろそろしておこうかな。


 俺は右手を上に伸ばし、“アリーシェの頭を撫でた”。


「ハワぁぁぁああッ!!」


 アリーシェは悶えるような叫び声を上げ、きゅっと目を瞑った。

 そのまま、俺は無言で彼女の頭を撫で続けた―――――


 可愛いなぁ―――俺がそう思っていると、アリーシェが目を開けた。

 しかし、なんだか彼女の様子がおかしい。

 いつもの彼女は美少女でマドンナのような、ふわっとした印象だった。それが今では俺を誘うような妖艶な瞳で見つめてくる。


 アリーシェは舌なめずりし、その姿はまるで俺を狙う獣のようだ。


「あ、アリーシェ……?」


 俺は心配になって彼女に話しかけた。


「ジン……可愛い……食べちゃいたいくらいジンが欲しい」

「え?」


 やっぱり絶対に何かおかしい……!!

 どうしよう俺の『神の手』でアリーシェを豹変させてしまったとでもいうのか!?


 俺がいろいろ思考を重ねていると、突然、アリーシェが俺を押し倒してきた。

 彼女の両手が俺の肩を掴み、俺は彼女に馬乗りをされた。


 お姫様がそんなことしちゃいけません!!

 っ、フェリティア……いや、今はそれどころではない。どうしようどうしよう!!


 アリーシェの目は据わり、俺はその瞳を見ていると、胸が震えるようにゾクゾクさせられた。

 彼女の顔が俺に近づき、何をされるのかと思って俺はその行く末を凝視した。


 アリーシェの口から可愛い舌が出てきた。

 その舌が俺の左の首筋から頬にかけ、ツーっと俺は彼女に舐められた。


 俺は変な声が出そうになるのを必死に耐え、彼女に身を任せてしまった。

 彼女はそのままペロペロと俺を舐め、口の中にも入ってきた。それは激しく、俺の小さい口では彼女の全てを受け止めきれなかった。


 アリーシェは俺の紅いローブに手を伸ばし、手際よく俺の服を脱がし始めた。

 彼女が俺のズボンに手を掛けようとしてきて、それはまずい、と俺は『大人化』を発動した。


 下に伸びるアリーシェの手を止めてから、彼女を正気に戻そうと、俺は彼女の両肩を持って上下に揺すった。


「アリーシェ!! 戻ってきて!!」

「……はわ……あれ? 私……何してたんだろう?」


 ふぅ……元に戻ってくれたみたいだな。よかったよかった。


「急にアリーシェが人が変わったみたいになっちゃって、いやぁ、びっくりしたよ」

「えっ!? 押し倒した!? ご、ごめんね……!! もぅ……私、何やってるんだろう」

「かなりドキドキしちゃった。アリーシェに食べられちゃうかと思ったよ」


 俺が冗談っぽく笑ってそう言うと、アリーシェは顔を真っ赤にして俺に謝ってきた。

 俺は首を横に振ってから、彼女にキスをし、恥ずかしさで発狂しそうな彼女を(なだ)めた。


 あのまま豹変したアリーシェを止めていなかったら……危なかったな。

 俺の腐った童貞のプライドが、魅力的な少女達の誘惑にまだ勝っている。

 彼女達と結婚したらどうなるのだろう。すごく妄想が広がる。


 アリーシェは俺の左側に寝ころび、恥ずかしそうに枕に顔を(うず)め始めた。


 可愛い。こういう姿を見ると、ちょっとイタズラしたくなっちゃうんだよなぁ。


 俺は起き上がり、アリーシェの左耳に近づいてそっと囁く。


「エッチなアリーシェも可愛いよ」

「ハワァァァァアァァッ……!!」


 俺はニヤニヤとした表情で胡坐(あぐら)をかき、身悶えるアリーシェを横から眺めた。


 アリーシェはジタバタしながら声にならない声をひとしきり上げたあと、ピタッと止まった。

 彼女は両手をベッドに付けてバッと起き上がり、俺の胸に飛び込んできた。その勢いで俺はまたベッドに押し倒された。


「どうしたの!?」


 俺は目を白黒させ驚くと、彼女が顔を真っ赤にしているのがわかった。


「私の初めては、ジンにあげるからね」

「ぁ゛……ありがとう」


 これ以上はやばい……俺が我慢できなくなっちゃうからぁぁぁあああ!!


「私もジンの初めてが欲しいけど、それは私の我が儘だよね……?」

「うっ゛」


 答えづらい質問だ……だけど、俺は俺の信念を貫くぞ。


 俺の言葉をじっと待つアリーシェに、俺は告げる。


「俺は“みんなが1番”だと思ってるよ」

「ん?……ジン、それってつまり……?」

「そのぉ……」


 アリーシェが俺に顔を近づけ、詰め寄ってくる。

 俺は気まずくて顔を左に向けた。


「っ!! も、もしかして!! みんなで……はわぁッ、ジンのえっち!!」

「ハ、ハハ」


 アリーシェは俺の紅いローブをムギュッと両手で掴んだ。

 彼女は俺を責めるでもなく、ただ顔を赤くしている。


「でも……そこに私も入れるなら、嬉しいな」

「もちろん、俺は最初からそのつもりだよ」


 俺はここぞとばかりに、イケメンな顔とイケメンな声を最大限に活用した。

 お腹に彼女の軽い体重を感じ、俺の微笑みがにやけ顔になりそうになったが、なんとか耐えた。


「もぅ……ジンの望みだもんね、私は断らないよ」

「ありがとう。でも、俺は暗に言ったつもりだったんだけど、すぐわかっちゃうなんて、アリーシェはやっぱりエッ――――」


 俺が話している途中で、アリーシェが物凄い勢いでキスをしてきた。

 長いキスをしたあと、彼女が離れた。


「言わせないよ? もしそれ以上言うんだったら、ここでジンを頂いちゃうから。私は……それでもいいんだけど?」


 アリーシェは冗談っぽい口調で、頬を赤くしながら言ったが、最後は本気感があった。

 俺は務めて冷静に笑い、俺に馬乗りになる彼女を見上げながら口を開く。


「結婚したらね」

「はわぁッ……」


 アリーシェが段々、エロ的な話題にオープンになってきたなぁ。

 彼女は兎……だもんな。兎の性質上、仕方ない。

 だからこそ、俺の独占欲が彼女を求めたのかもしれない。


「アリーシェは……俺のことだけを見てくれる?」

「うん、ジンのためなら何だってするっていうくらい、私はジンしか見えないよ」

「そっか……」

「あ……ジンは焼き餅屋さんでもあるんだね。だから私が今日、男の人と話していたとき、ジンがこっちを気に掛けるように見ていたんだね」


 アリーシェが昼間、あの農場主の男性と話していたときだ。


「気づいてたんだね。ごめんね……小っちゃい男で」

「ううん、それくらい私のこと好きって思ってくれてるんでしょ?」

「うん……とっても」

「私も、ジンのことが気になって見てたんだよ。私達、ちょっと似てるかもしれないねっ」


 アリーシェは身を屈め、俺の胸に体重を寄せてきた。

 彼女はにこやかな表情で、俺の両頬にキスをしてきた。


「うん。“本当にね”」


 俺は含んだ言い方をした。

 『エロ的思考も似てるかもね』なんて言えない。


 アリーシェにはなぜか俺の心の中がわかってしまったらしく、頬を膨らませてしまった。

 俺は再び、彼女の頭に右手を伸ばし、撫でた。


「だめぇッ……!!」


 豹変するのは恥ずかしいんだな。まぁ、そんなに何回も豹変するなんてことは起きないだろう。


「俺が撫でさせてほしいんだ。これは俺の望みだから、いいでしょ?」

「ジン、ずるいよぉ」


 アリーシェは俺を責めるように口を尖らせたが、とろんとした目は正直だった。


 今度は豹変しなかったアリーシェを、俺は思う存分、可愛がった。


 ―――――兎耳と兎尻尾を触ったときは、また豹変しかけたけど。



アレをお待ちいただいていた方には申し訳わけありません……まだまだお話は続くので、ご期待ください。

ジンはできる子だと思いますので!


次回はジンとの約束があるエイルのお話です。

お楽しみに!!


8月2日現在執筆中です。

もう少々お待ちください!!

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